※この記事には、漫画『キングダム』17巻以降の秦趙同盟、山陽攻略戦、合従軍編についてネタバレがあります。

合従軍編を見ていて疑問になるのが、秦と趙の関係です。

李牧は以前、自ら秦の王都・咸陽へ出向き、呂不韋との交渉によって秦趙同盟を成立させています。

ところが後になると、趙は合従軍の一員として秦へ侵攻します。

「同盟していたのに、李牧が裏切ったの?」

という疑問が出るのは当然です。

結論からいうと、秦側から見れば裏切りに見えますが、秦趙同盟は永続的な友好関係ではなく、双方の利益が一致した時期に成立した外交上の協力関係です。

そして同盟成立後、秦が山陽を獲得したことで中華の情勢が大きく変わります。

この記事では李牧個人の思想や合従軍の軍構成ではなく、「秦趙同盟成立→山陽攻略→合従軍」までを時系列で整理します。

この記事でわかること

  • 秦趙同盟はいつ成立したのか
  • なぜ李牧は秦と同盟したのか
  • 同盟後に秦が何をしたのか
  • 山陽攻略がなぜ重要なのか
  • 李牧は本当に同盟を破ったのか
  • なぜ趙が合従軍へ参加したのか

結論|「永久の友好同盟」ではなく情勢に応じた外交関係だった

秦と趙は原作17巻で正式に同盟を結びます。

しかし、秦と趙が今後ずっと仲間になるわけではありません。

もともと両国は戦国七雄の競争相手です。

秦には秦の狙いがある。

趙には趙の狙いがある。

その時点で互いに利益があったため、一時的に協力する。

これが秦趙同盟の基本です。

秦趙同盟は原作17巻で成立

秦趙同盟が描かれるのは原作17巻です。

李牧は馬陽の戦いで王騎を死へ追い込んだあと、秦の王都・咸陽を訪れます。

集英社公式の17巻目次では、

  • 第175話「李牧、咸陽へ」
  • 第176話「提案」
  • 第177話「交渉」
  • 第178話「祝宴」

と続きます。

李牧の訪問から提案、交渉、同盟成立後の祝宴までが一連の流れとして描かれています。

王騎を倒した李牧が、なぜ秦へ来た?

馬陽の戦い直後の秦から見れば、李牧は最大級の敵です。

その李牧が自ら秦の王都へ来るのは非常に大胆な行動です。

それでも李牧が外交交渉へ動いたのは、秦と趙の双方に同盟による利益があったからです。

戦国時代の外交では、昨日まで戦っていた国と今日手を組むこともあります。

敵か味方かが永久に固定されているわけではありません。

秦趙同盟の目的は「ずっと仲良くすること」ではない

秦趙同盟を現代の友好関係のように考えると分かりにくくなります。

重要なのは、両国が一定期間、互いの方向を強く警戒せずに別の戦略を進められる点です。

秦は趙との大規模衝突を避けられる。

趙も秦方面へ全戦力を向け続ける必要がなくなる。

双方が別の場所へ動くための外交的な余裕を作ることに大きな意味がありました。

同盟成立後、秦は魏へ向かう

秦趙同盟成立後、秦が本格的に攻めるのが魏です。

そして重要になるのが、山陽です。

TVアニメ公式でも、秦趙同盟成立後、秦が要衝・山陽を奪うため魏へ侵攻する流れが紹介されています。

秦趙同盟→魏への侵攻→山陽攻略

という流れです。

山陽はなぜそんなに重要?

山陽は、単に土地が一つ増えたというだけではありません。

中華の中央方面へ進出するうえで重要な位置にあります。

秦がここを押さえることで、今後さらに他国へ軍事的な圧力をかけやすくなります。

つまり山陽の獲得によって、周辺国から見た秦は、

「強い国」から「本当に中華の中心へ伸びてくる国」へ一段階進んだ

わけです。

同盟が結果的に秦の山陽攻略を助けた

ここが皮肉な部分です。

秦は趙方面への警戒をある程度抑え、魏攻略へ戦力を向けることができます。

そして山陽を獲得します。

李牧が提案した同盟によって生まれた外交上の余裕を、秦側も有効に利用したことになります。

山陽獲得後、秦を見る各国の目が変わる

秦が山陽を手にしたことで、ほかの国から見た危機感は強まります。

秦は領土を広げている。

中華中央へ進出している。

嬴政は中華統一を目指している。

このまま放置すれば、秦がさらに有利になる。

そう考える材料が増えていきます。

李牧は「同盟を守ること」と「趙を守ること」のどちらを優先する?

李牧は趙の宰相です。

そのため、外交上の過去の約束だけではなく、現在の中華情勢を見なければなりません。

同盟を続けている間に秦がさらに強くなり、最終的に趙まで滅ぼされるのであれば、趙側にとって同盟を維持する意味は薄れます。

李牧にとって最優先なのは「同盟を守った人物と評価されること」ではなく、趙を存続させることです。

では李牧は本当に「裏切った」の?

見る側の立場によって答えが変わります。

秦側から見れば、裏切りに見えます。

同盟を結び、祝宴まで行った趙が、後に秦へ攻め込んでくるからです。

一方、国家間の外交として考えると、「一度同盟したから永久に攻撃しない」という関係だったとは限りません。

情勢が変わり、両国の利害が一致しなくなれば関係も変わります。

原作には同盟の全条文が示されているわけではない

ここは重要です。

原作には秦趙同盟の交渉過程が描かれていますが、読者向けに詳細な条約全文が掲載されているわけではありません。

そのため、

「合従軍参加時点で李牧が有効期間中の条約第○条を破った」

といった形で断定することはできません。

確実なのは、趙が合従軍へ参加して秦へ侵攻した時点で、秦趙同盟という協力関係は事実上終わったということです。

「昨日まで同盟、翌日攻撃」という話ではない

秦趙同盟と合従軍の間には出来事があります。

流れを簡単に整理すると、

時期 主な出来事
原作17巻 李牧が咸陽へ来訪し、秦趙同盟成立
その後 秦が魏へ侵攻
山陽攻略戦 秦が重要拠点・山陽を獲得
その後 中華における秦への警戒がさらに高まる
合従軍編 趙を含む連合軍が秦へ侵攻

つまり、同盟成立後に中華の勢力関係そのものが変化しているのです。

山陽攻略では秦の若手も成長する

秦が得たものは領土だけではありません。

山陽攻略戦では信、蒙恬、王賁も武功を競います。

つまり秦は、

領土を広げる。

重要拠点を得る。

若い武将も成長する。

という形で、国全体として力を増しています。

李牧から見れば、秦を放置する危険性が以前より大きくなります。

秦趙同盟は李牧の失敗だった?

結果だけを見ると、そう感じる部分はあります。

李牧が同盟を提案する。

秦が魏攻略へ動く。

山陽を取る。

秦がさらに強くなる。

その後、李牧が秦を止める側へ回る。

かなり皮肉な流れです。

ただし、同盟を結んだ時点での判断そのものが失敗だったと断定することはできません。

外交は、その時点の国際情勢と国益で決められるものだからです。

李牧は方針を固定しない

秦との同盟が趙に利益をもたらす時期なら同盟する。

その後、秦の成長が趙にとって危険になれば別の方針へ切り替える。

この流れから見えるのは、李牧が過去の自分の判断に固執しない人物だということです。

目的は「秦と仲良くすること」ではありません。

趙を守ることです。

なぜ李牧が秦をそこまで危険視したかは別記事へ

この記事では、秦趙同盟から山陽攻略、合従軍までの外交上の流れに絞りました。

そもそも李牧が、なぜ秦を中華最大級の脅威と判断していたのかについてはこちらで詳しく解説しています。

▶ 『キングダム 魂の決戦』李牧の目的とは?なぜ秦を最大の脅威と見たのか解説

合従軍の仕組みや参加国は別記事へ

合従軍にどの国が参加したのか、誰が総大将なのか、なぜ函谷関で戦うのかについてはこちらで整理しています。

▶ 『キングダム 魂の決戦』合従軍とは?参加国・総大将・函谷関の戦いを解説

まとめ|秦趙同盟は情勢の変化によって役割を終えた

秦と趙は原作17巻で同盟を結びます。

しかし、それは両国が永遠の友好国になるという意味ではありません。

同盟成立後、秦は魏へ向かい、重要拠点・山陽を獲得します。

秦は中華中央へ進出しやすくなり、周辺国から見た危険性も高まっていきます。

その後、趙は合従軍へ参加し秦へ侵攻します。

秦側から見れば「同盟していた趙に攻められた」という意味で裏切りに見える。

一方で、秦趙同盟は戦国時代の国益によって成立した外交関係であり、永久の友情ではありません。

秦がさらに巨大な脅威となれば、趙側が方針を変える理由も生まれます。

そのため、

「李牧が突然気まぐれで秦を裏切った」のではなく、同盟成立後に中華情勢が変わった結果、戦略を切り替えた

と整理すると分かりやすいです。

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