『プロジェクト・ヘイル・メアリー』タイトルの意味は?“Hail Mary”が示す「最後の賭け」を解説
※この記事には映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のミッション内容と結末について一部ネタバレがあります。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』というタイトル。
作品を知らないと、
「ヘイル・メアリーって人の名前?」
「なぜ宇宙ミッションにこの名前?」
と思うかもしれません。
実は“Hail Mary”には、英語圏で使われる特別な意味があります。
結論|“Hail Mary”は「成功する可能性は低いが、ほかに手がない最後の一発」を意味する
本作での“Hail Mary”は、
失敗する可能性が高くても、もうこれに賭けるしかない最後の手段
という意味です。
人類がタウ・セチへ送る宇宙船の計画そのものが、まさにその状態でした。
もともとの“Hail Mary”は宗教的な言葉
“Hail Mary”は、キリスト教で聖母マリアへ祈る「アヴェ・マリア」を英語で表した言葉です。
そこからアメリカ英語では、別の意味でも広く使われるようになりました。
アメリカンフットボールの“Hail Mary pass”
特に有名なのがアメリカンフットボールです。
試合終了間際。
大きく負けている。
普通の攻撃では間に合わない。
そこで、
成功率は低くてもエンドゾーンへ向かって長いパスを投げる。
これを“Hail Mary pass”と呼びます。
「祈るしかない一発」
つまり、
成功したら奇跡。
でも失敗すれば終わり。
ほかに現実的な選択肢がない。
という状況です。
プロジェクト・ヘイル・メアリーもまったく同じ
地球ではアストロファージによって太陽が暗くなり始めています。
このままでは気候が変わり、食料危機が起き、人類文明が大きな打撃を受けます。
人類には確実な解決方法がない
アストロファージを完全に止める方法は分からない。
どこから来たのかも分からない。
何が弱点なのかも分からない。
唯一の手掛かりがタウ・セチ
近隣の多くの恒星がアストロファージによって暗くなっている。
しかし、
タウ・セチだけは大きく減光していない。
理由は分かりません。
「そこへ行けば何か分かるかもしれない」だけ
人類はタウ・セチへ行けば必ず地球を救えると分かっていたわけではありません。
あるのは、
タウ・セチだけ状況が違う。
という観測結果です。
それでも11.9光年先へ人間を送る
地球からタウ・セチまでは約11.9光年。
人類にとって前例のない星間ミッションです。
▶ ヘイル・メアリー号とはどんな宇宙船?目的・乗組員・航行方法を解説
乗組員が帰れる保証もない
タウ・セチへたどり着けるか。
答えを発見できるか。
発見した答えを地球へ送れるか。
どれも確実ではありません。
それでもやらなければ人類が危ない
だから、
「成功率が低くても、この一手に賭けるしかない」
プロジェクトになります。
まさに“Hail Mary”です。
日本版公式も「イチかバチか」と説明している
映画の日本公式紹介でも、プロジェクト・ヘイル・メアリーは、
人類の“イチかバチか”の計画
という意味で説明されています。
タイトルは宇宙船の名前でもある
計画名が「プロジェクト・ヘイル・メアリー」。
そしてグレースたちが乗る宇宙船も、
ヘイル・メアリー号
と呼ばれます。
物語の最初だけでなく、最後のグレースの選択も“Hail Mary”
ここからは考察です。
タイトルが面白いのは、地球側の計画だけではありません。
グレースは物語の最後にも、大きな賭けをします。
そのまま地球へ帰れば自分は助かる可能性がある
グレースはタウメーバを発見し、一度は地球へ戻ろうとします。
ミッションは成功。
地球へ帰還できる可能性もあります。
しかしロッキーが遭難すると気づく
ロッキーの宇宙船では、タウメーバが燃料のアストロファージを食べてしまう可能性がある。
グレースだけがその危険に気づきます。
グレースはもう一度「最後の賭け」をする
地球へは探査機を送る。
自分はロッキーを追う。
生きて帰れる保証はありません。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』グレースはなぜロッキーを助けに戻った?最後の決断を考察
地球の“Hail Mary”からグレース自身の“Hail Mary”へ
物語前半。
人類がグレースへ賭ける。
物語後半。
グレースがロッキーを救う可能性へ賭ける。
同じ構図が繰り返されます。
最初の賭けはグレース自身の意思ではなかった
しかもグレースは、もともと自分からヘイル・メアリー号へ乗ったわけではありません。
ストラットによって強制的に送り出されます。
最後の賭けは完全に自分で決める
ロッキーを救いに行けと命令する人はいません。
グレース自身が判断します。
だから最後の“Hail Mary”は、グレースの成長そのものでもあります。
ロッキー側のミッションも“Hail Mary”だった
さらに、ロッキーの故郷エリドも同じです。
エリドの恒星もアストロファージに侵されています。
解決方法は分からない。
それでもタウ・セチへ船を送る。
二つの文明がそれぞれ最後の賭けをした
地球。
エリド。
互いの存在を知らない二つの文明が、同じ危機へ直面。
そして、
同じタウ・セチへ最後の希望を送ります。
その二つの“Hail Mary”が宇宙で出会った
グレース。
ロッキー。
本来なら会うはずのなかった二人です。
しかし、それぞれの文明が最後の賭けをした結果、同じ恒星系で出会います。
だからタイトルは物語全体を表している
単に宇宙プロジェクトのかっこいい名前ではありません。
地球。
エリド。
グレース。
何度も、
「もうこれしかない」
という選択が繰り返されます。
原作者は別タイトルも考えていた
アンディ・ウィアーは映画化後のインタビューでも、執筆段階では別タイトル案があったことを明かしています。
最終的に『Project Hail Mary』となったことで、作品全体の構造を非常に分かりやすく表すタイトルになりました。
まとめ|「人類最後の一発」がタイトルの意味
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の“Hail Mary”とは、
成功する可能性は低い。
でも、ほかに手はない。
だから最後の可能性へ賭ける。
という意味です。
地球から11.9光年先へ人間を送る。
そこに解決策があるかも分からない。
乗組員が帰れる保証もない。
それでもやる。
だから「ヘイル・メアリー」。
そして物語の最後にはグレース自身も、ロッキーを救うためもう一度大きな賭けをします。
タイトルは人類の作戦名であると同時に、最後まで何度も「可能性へ賭ける」この物語全体を表した言葉
なのです。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を原作で読みたい方へ
タイトルにもなった計画がどう立ち上がり、グレースが宇宙へ送り出されるのかは原作上巻から詳しく描かれています。
