※この記事は映画『真夏の方程式』の犯人と事件の真相を完全にネタバレしています。

映画『真夏の方程式』を見ていて、最も分かりにくいのが、

「結局、塚原を殺した犯人は誰なの?」

という点です。

川畑重治が自首する。

でも供述には不自然な部分がある。

恭平も事件の仕掛けに関わっている。

さらに成実と仙波の過去まで出てくる。

そのため、

「重治が犯人?」

「恭平が殺したことになるの?」

「成実が犯人なの?」

と混乱しやすい構造になっています。

結論から言うと、現在の塚原殺害事件と過去の事件では犯人が違います。

結論|塚原殺害の犯人は川畑重治

塚原正次を殺害する計画を立てたのは、

川畑重治。

です。

重治は緑岩荘を営み、成実を娘として育ててきた人物です。

塚原が過去の事件を調べ始めたことで、成実の秘密が明らかになることを恐れました。

その結果、重治は塚原を殺すことを決めます。

塚原は何を調べていた?

塚原は元刑事です。

過去に三宅伸子が死亡した殺人事件を担当し、

仙波英俊

という男を犯人として逮捕していました。

しかし後になって塚原は、その事件へ疑問を持つようになります。

仙波は本当に殺人犯だったのか。

なぜ事件の関係者と玻璃ヶ浦がつながっているのか。

その真相を確かめるため、塚原は緑岩荘へやって来たと考えられます。

過去の事件では仙波が犯人ではなかった

塚原が以前逮捕した仙波。

しかし実際には、仙波は真犯人ではありませんでした。

本当に三宅伸子を死なせたのは、

川畑成実。

です。

仙波は成実を守るため、自分が罪を背負いました。

ここが現在の塚原殺害事件につながります。

成実と仙波にはもう一つ秘密がある

川畑家には長く隠されてきた秘密があります。

成実は、重治の実の娘ではありません。

成実の実父は仙波。

です。

仙波と節子の間に生まれたのが成実でした。

重治はその事実を知ったうえで、成実を自分の娘として育てています。

つまり重治にとって成実は、血のつながりがなくても大切な娘でした。

重治は成実が過去の事件に関わったことも知っていた

さらに重治は、成実が過去の殺人事件の真犯人だったことにも気づいていました。

仙波が罪を引き受けた。

成実はそのまま人生を歩んだ。

川畑家もその秘密を抱え続けてきた。

ところが元刑事の塚原が突然現れ、仙波のことを調べ始めます。

重治からすれば、

長年守ってきた成実の秘密がすべて暴かれるかもしれない。

という状況でした。

だから重治は塚原を殺した

重治が塚原を殺した最大の理由は、旅館を守るためではありません。

本当の動機は、

成実を守るため。

です。

重治が最初に警察へ語る「旅館で事故死が起きたので隠した」という話は、事件のすべてではありません。

実際には塚原の死は偶然の事故ではなく、重治が意図的に作った状況でした。

殺害方法は一酸化炭素中毒

塚原の死因は、

一酸化炭素中毒。

です。

旅館のボイラーから出る排気。

老朽化した建物の構造。

塚原が眠っていた部屋。

そして煙突。

重治はこれらを利用します。

煙突を塞ぐことで排気を逆流させ、塚原の部屋へ一酸化炭素が入り込む状態を作ったのです。

しかし重治は自分で煙突を塞げなかった

ここで問題があります。

煙突は屋上にあります。

重治は足が悪く、自分で屋根へ上がって作業するのが難しい。

そこで利用されたのが、

少年・恭平。

でした。

恭平には「花火の準備」だと思わせた

事件の夜、重治は恭平とロケット花火をします。

そして花火が旅館へ飛び込まないようにするという理由をつけて、恭平へ建物の開口部を塞がせます。

その中に煙突も含まれていました。

恭平は何も疑いません。

重治に頼まれ、

濡れた段ボールで煙突を塞ぎます。

その結果、ボイラーの排気が外へ出なくなり、塚原の部屋へ一酸化炭素が流れ込みます。

▶ 『真夏の方程式』恭平は何をさせられた?花火と事件の仕掛けを解説

恭平が犯人ということではない

映画の真相を説明するとき、

「実際に殺人の仕掛けを動かしたのは恭平」

という言い方がされることがあります。

しかし、ここは非常に重要です。

恭平には殺意も、殺人へ協力している認識もありません。

恭平はただ、大人から頼まれた花火の準備をしていただけです。

殺害を考え、状況を整え、恭平を利用したのは重治。

したがって事件の責任を恭平へ負わせるのは違います。

塚原の遺体はなぜ堤防へ移された?

塚原が旅館の部屋で一酸化炭素中毒死したと分かれば、警察は当然、緑岩荘を詳しく調べます。

それでは計画が露見する可能性が高い。

そこで塚原の遺体を旅館から運び出し、

堤防から転落したように見せかけます。

最初は事故死に見えたのは、この偽装のためです。

重治の犯行は二重の意味で「家族を守るため」だった

重治は、成実の実の父親ではありません。

それでも成実を娘として育てます。

そして過去の事件の真相まで知りながら、成実を守り続けます。

今回、塚原が現れたことで、その平穏が崩れようとしました。

重治は再び、

「成実を守る」

という選択をします。

しかしその結果、今度は別の子どもである恭平を殺人へ巻き込んでしまいます。

ここに重治の犯行の最大の矛盾があります。

仙波も重治も「子どもを守ろうとした」

過去の事件では、仙波が成実を守るために罪を背負いました。

現在の事件では、重治が成実を守るために塚原を殺しました。

二人とも出発点は、

成実を守りたい。

という気持ちです。

しかし秘密を隠し続けることで、さらに大きな事件が起きます。

そして最終的には、何も知らない恭平まで巻き込まれます。

『真夏の方程式』は「誰が犯人?」だけでは終わらない

ミステリーとしての答えは、

塚原を殺害した犯人=川畑重治。

です。

しかし作品が本当に描いているのは、その先です。

愛する人を守るためなら、真実を隠していいのか。

誰かの罪を代わりに背負えば、その人は本当に救われるのか。

秘密を守るために別の人間を犠牲にしていいのか。

そうした問題が、川畑家と恭平を通して描かれます。

まとめ|塚原を殺したのは重治、恭平は利用された

事件を整理すると、

塚原殺害を計画したのは川畑重治。

重治は成実の過去が暴かれることを恐れ、塚原を殺害しました。

殺害方法は一酸化炭素中毒。

そして煙突を塞ぐ作業に、何も知らない恭平を利用します。

そのため、

恭平は殺人の仕掛けの一部を実行してしまったものの、犯人ではありません。

一方、過去の三宅伸子殺害事件の真犯人は成実。

仙波は成実を守るため罪を背負っていました。

過去に仙波が成実を守り、現在では重治が成実を守る。

その「守るための嘘」が積み重なった結果、恭平へまで重い秘密が渡ってしまった。

そこが『真夏の方程式』の最も切ない部分です。


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