※この記事は映画『真夏の方程式』の殺害トリックと犯人を完全にネタバレしています。

映画『真夏の方程式』を見終わったあと、

「恭平は結局、何をさせられたの?」

「花火がどう殺人につながったの?」

「煙突を塞いだだけで塚原が死んだの?」

と疑問に思った方もいると思います。

この事件の仕掛けは、

花火・煙突・ボイラー・旅館の老朽化

がすべてつながっています。

そして最も重要なのが、

少年・恭平は自分が殺人へ利用されているとは全く知らなかった。

ということです。

結論|恭平は煙突を塞がされた

事件の夜、川畑重治は恭平へ、

旅館の屋上にある煙突を濡れた段ボールで塞ぐ作業

をさせます。

これが塚原を死亡させる仕掛けの重要な部分です。

ただし重治は、

「塚原を殺すために煙突を塞いでくれ」

などとは当然言いません。

恭平には、

ロケット花火が旅館へ入り込まないようにするため

という理由だと思わせていました。

事件の夜に行われた花火

緑岩荘で過ごす恭平は、重治と一緒に花火をします。

子どもの恭平からすれば、夏休みの楽しい思い出の一つです。

ところが重治にとって花火は、

殺人計画を実行するための口実。

でもありました。

ロケット花火は空へ飛んでいきます。

そこで重治は、花火が建物の中へ飛び込んだら危ないという理由を作ります。

窓などを閉じる。

そして煙突も塞ぐ。

一見すると、すべて花火の安全対策に見えます。

なぜ重治自身が煙突を塞がなかった?

煙突は屋上にあります。

重治は足が悪く、自分で屋根へ上がって作業するのは難しい状態です。

そこで、身軽な少年である恭平へ作業を頼みます。

恭平は重治を疑っていません。

だから言われた通り、屋上へ上がります。

そして、

煙突の上を塞いでしまいます。

煙突を塞ぐと何が起こる?

通常、旅館のボイラーから発生した排気は煙突を通り、建物の外へ排出されます。

しかし煙突の出口を塞げば、正常に排気できなくなります。

すると排気は別の場所へ逆流します。

さらに緑岩荘は古い建物です。

塚原がいた部屋の周辺には老朽化した部分があり、排気が室内へ流れ込む条件がそろっていました。

その結果、

塚原が眠っている部屋へ一酸化炭素が流れ込みます。

塚原はなぜ逃げられなかった?

一酸化炭素が入り込んだからといって、塚原が異変に気づけば部屋から出られた可能性があります。

そこで重治は、塚原を深く眠らせる状況も作っています。

塚原は眠っている間に一酸化炭素を吸い続け、死亡します。

つまり事件は、

煙突を塞ぐだけで偶然人が死んだ事故ではありません。

重治が塚原を殺すために複数の条件を組み合わせています。

なぜ花火が必要だった?

花火そのものに、人を殺す仕掛けがあるわけではありません。

重要なのは、

煙突を塞ぐ理由を自然に作れること。

です。

何の理由もなく重治が、

「屋上の煙突を塞いでくれ」

と恭平へ頼めば不自然です。

しかしロケット花火をする夜なら、

「花火が入ったら危ない」

という説明ができます。

恭平も疑いません。

花火は殺人の凶器ではなく、

恭平に煙突を塞がせるためのカモフラージュ

だったわけです。

恭平は何も知らなかった

ここがこの映画で最もつらい部分です。

恭平は塚原を嫌っていたわけではありません。

殺意もありません。

人を殺そうとして煙突を塞いだわけでもありません。

単純に、

「おじさんに頼まれたからやった」

だけです。

その行動を大人である重治が利用しました。

では恭平が塚原を殺したことになる?

いいえ。

少なくとも作品を理解するうえで、

「犯人=恭平」

と考えるのは適切ではありません。

殺害を計画した。

塚原を狙った。

殺害方法を考えた。

恭平を利用した。

これらを行ったのは重治です。

恭平は殺人の意図を知らないまま利用された存在です。

▶ 『真夏の方程式』犯人は誰?塚原が殺された理由と事件の真相を解説

湯川はどうやって煙突の仕掛けに気づいた?

塚原の死因は一酸化炭素中毒。

ところが警察が事件の状況を再現しても、致死量の一酸化炭素が部屋へ入りません。

ここで湯川は、

事件当夜には再現実験にない条件があった

と考えます。

その手がかりになるのが恭平です。

恭平との会話。

事件当夜の花火。

屋上。

煙突。

それらを組み合わせ、湯川は煙突が一時的に塞がれていた可能性へたどり着きます。

濡れた段ボールを使う意味

煙突の出口を一時的に塞ぐために使われたのが段ボールです。

そして水に濡らすことで、煙突から出る熱や火の粉に対して簡単に燃えにくい状態にします。

事件のあとに外してしまえば、

普段は煙突が正常に機能しているように見える。

そのため警察が後から再現しても、事件当夜と同じ状況になりません。

これが「再現できない事故」の正体

重治は最初、ボイラー設備の不具合による事故だったという説明をします。

しかし事故なら、同じ条件を再現すれば同じように一酸化炭素が発生するはずです。

それが起こらない。

なぜなら事件当夜だけ、

恭平によって煙突が塞がれていたから。

です。

これが湯川が重治の供述を疑った大きなポイントです。

重治はなぜそこまでして塚原を殺した?

重治の目的は、成実を守ることでした。

塚原は元刑事。

過去に仙波英俊を逮捕した事件を、もう一度調べようとしていました。

しかしその過去の事件には、川畑家が隠してきた大きな秘密があります。

本当の犯人は成実。

仙波は成実を守るために罪を背負っていました。

その真実が暴かれるのを恐れた重治は、塚原を殺害します。

成実を守るために、今度は恭平を犠牲にした

ここに重治の行動の大きな矛盾があります。

重治は、成実を守りたかった。

その気持ちは理解できます。

しかし、そのために何も知らない別の子どもを利用しました。

結果として、

成実を守るために恭平へ一生消えないかもしれない傷を残した。

ことになります。

重治にとって最大の罪は、塚原を殺したことだけではなく、恭平をその計画に利用したことでもあります。

恭平は最後には気づいている?

映画の終盤では、恭平も何かがおかしいと感じています。

花火の夜。

重治から頼まれた作業。

塚原の死。

大人たちの様子。

それらを少しずつ結びつけ始めます。

ただし、湯川はその場で全てを説明しません。

恭平が自分自身で向き合える時まで待とうとします。

▶ 『真夏の方程式』ラストの意味|湯川はなぜ恭平に真実を教えなかった?

花火は楽しい思い出から「事件の記憶」へ変わってしまう

ここからは考察です。

花火は本来、子どもの夏休みを象徴する楽しいものです。

海。

夏。

自由研究。

花火。

『真夏の方程式』には、恭平にとって夏休みらしい出来事がたくさんあります。

しかしその花火の夜に、恭平は知らないうちに殺人へ利用されました。

だから事件の真相を知った瞬間、

楽しかった夏の記憶そのものが別の意味へ変わってしまう。

可能性があります。

湯川がすぐに真実を突きつけなかった理由も、ここにつながっているように思えます。

まとめ|花火は殺人の道具ではなく、恭平を利用するための口実だった

恭平が事件の夜にさせられたのは、

屋上へ上がり、煙突を濡れた段ボールで塞ぐこと。

でした。

その結果、ボイラーの排気が正常に外へ出なくなり、一酸化炭素が塚原のいる部屋へ流れ込みます。

しかし恭平は、何が起きるか知りません。

花火が建物へ飛び込むのを防ぐ作業だと思っています。

つまり花火は、

恭平に不審に思われず煙突を塞がせるための理由。

として使われました。

事件を計画したのは重治。

恭平はその計画に利用された被害者でもあります。

だから『真夏の方程式』の事件は、犯人を捕まえて終わりではありません。

何も知らない子どもに、これほど重い事実をどう背負わせるのか。

そこまで含めて、湯川に残された「方程式」になっています。


関連記事

▶ 映画『真夏の方程式』ネタバレ|犯人・事件の真相・ラストまで解説

▶ 『真夏の方程式』犯人は誰?塚原が殺された理由と事件の真相を解説

▶ 『真夏の方程式』ラストの意味|湯川はなぜ恭平に真実を教えなかった?


『真夏の方程式』を原作でも読みたい方へ

事件のトリックだけでなく、恭平や湯川の心理までじっくり読みたい方は原作小説もおすすめです。

¥902 (2026/09/12 23:16時点 | Amazon調べ)

ガリレオシリーズの新刊『永遠の記憶』もチェック

『真夏の方程式』をきっかけにガリレオシリーズをもっと読みたい方は、新刊『永遠の記憶』もあわせてチェックしてみてください。