※この記事には1960年公開の映画『ガス人間第一号』の結末までの重大なネタバレがあります。

Netflix『ガス人間』の元になった作品が、1960年公開の東宝映画『ガス人間第一号』です。

では旧作は、どんな物語だったのでしょうか。

この記事ではNetflix版との比較には広げず、1960年版の登場人物・事件・ガス人間の正体・ラストまでを一本のあらすじとして整理します。

物語は銀行強盗事件から始まる

警視庁の岡本警部補(三橋達也)は、不可解な銀行強盗事件を追っています。

犯人を追跡しますが、途中で忽然と姿を消してしまいます。

普通の逃走では説明できない事件でした。

日本舞踊家・春日藤千代が捜査線上に浮かぶ

事件を追う中で、春日藤千代(八千草薫)という日本舞踊家が浮上します。

藤千代は名門の家元ですが、流派は衰退。

経済的にも厳しい状況にありました。

ところが突然、舞台を再開できるほどの資金を手にします。

その金の出どころが疑われます。

新聞記者・甲野京子も事件を追う

岡本とともに事件を追うのが、新聞記者の甲野京子(佐多契子)です。

2人は、銀行強盗と藤千代をつなぐ人物がいるのではないかと調べていきます。

図書館員・水野が自ら名乗り出る

やがて一人の男が警察の前に現れます。

図書館員の水野(土屋嘉男)です。

水野は、

銀行強盗の犯人は自分だ

と告白します。

しかし、事件には通常の人間では不可能な状況がありました。

水野の正体はガス人間

水野は警察の前で自分の能力を見せます。

身体を気体へ変化させ、狭い場所や障害物を通り抜けることができるのです。

この水野こそ「ガス人間第一号」でした。

なぜ水野はガス人間になった?

水野は生まれつきガス人間だったわけではありません。

科学者・佐野博士の実験を受けたことで、身体を気体へ変化させられる存在になります。

実験は人間の身体を特殊な環境へ適応させる研究として行われていました。

水野には夢に挫折した過去があった

水野は、普通の人生を順調に歩んできた人物ではありません。

航空関係の夢を持ちながら挫折し、その後は図書館員として働いていました。

閉塞感を抱えた中で科学者の実験へ関わり、人生が大きく変わります。

水野は能力を使って銀行強盗をする

ガス化できる身体を手に入れた水野には、普通の警備や鍵が通用しません。

その力を利用し、銀行から金を奪います。

しかし、水野が金を必要としたのには理由がありました。

水野の目的は藤千代を舞台へ戻すこと

水野は藤千代を強く愛していました。

衰退した流派を立て直し、藤千代を再び舞台へ立たせたい。

そのために犯罪で得た金を藤千代へ渡します。

つまり水野の犯罪は、

藤千代への強い愛情

と結びついていました。

藤千代は水野の金を受け取る

藤千代は水野から金を受け取り、舞踊家として再び舞台を目指します。

しかし水野が犯罪者であり、人間ではない身体になっていることによって、2人の関係は破滅へ向かいます。

警察は藤千代の舞台を利用する

普通の牢屋ではガス化できる水野を拘束できません。

そこで警察は、水野が必ず藤千代の舞台へ現れると考えます。

藤千代の公演を利用し、水野を仕留める作戦を立てます。

クライマックスは藤千代の舞台

藤千代は舞台へ立ちます。

そして水野も姿を現します。

舞踊の美しい舞台と、人間ではなくなった水野の存在が同じ場所で交差します。

藤千代が自ら火をつける

最後、藤千代は自ら火をつけます。

ガス状態の水野へ炎が引火。

水野は燃え上がります。

藤千代もその場から逃げません。

水野と藤千代はともに死ぬ

水野と藤千代は、そのまま死を迎えます。

ガス人間を倒して事件が解決するだけのラストではありません。

人間ではなくなった男と、その男に人生を支えられた女性の悲劇

として物語は終わります。

藤千代は水野を愛していた?

藤千代が水野へどのような感情を持っていたのかは、単純には言い切れません。

ただし最終的に水野と運命を共にすることを選んでいます。

この曖昧さも、旧作が単なる怪人映画ではなく悲恋として語られる理由の一つです。

1960年版を簡単に整理

項目 内容
ガス人間 水野
職業 図書館員
能力の原因 科学者による実験
主な犯罪 銀行強盗
犯罪の目的 藤千代を支援するため
藤千代 日本舞踊の家元
結末 水野と藤千代が死亡

Netflix版との違いはこちら

Netflix版は1960年版の物語をそのまま再現した作品ではありません。

具体的な違いはこちらで整理しています。

Netflix『ガス人間』と『ガス人間第一号』の違い|登場人物・設定・結末を比較

まとめ|旧作はガス人間・水野と藤千代の悲恋

1960年版『ガス人間第一号』は、銀行強盗事件を追う中で、身体を気体化できる男・水野へたどり着く物語です。

水野は科学実験によってガス人間となり、その能力を使って銀行から金を奪います。

しかし目的は金そのものではなく、愛する藤千代を再び舞台へ立たせることでした。

最後は藤千代が火をつけ、水野とともに死を迎えます。

怪人犯罪映画でありながら、物語の中心には水野と藤千代の悲劇的な関係がある。

それが1960年版『ガス人間第一号』です。