※この記事にはNetflixシリーズ『ガス人間』の撮影内容や一部ストーリーのネタバレがあります。

Netflix『ガス人間』を見ていて、

「東京駅の前で、本当にこんなカーアクション撮ったの?」

と驚いた人も多いと思います。

大友らが乗る車とガス人間を巡って展開する大規模なカーアクション。

しかも東京駅前という、日本でも最も撮影が難しそうな場所です。

結論から言うと、

東京駅前は実際に封鎖して撮影しています。

Netflixによれば、東京駅前を全面封鎖して撮影した日本映像作品としては史上初の試みです。

ただし、車が大きく横転するカットまで東京駅前でそのまま撮ったわけではありません。

そこには実写撮影とVFXを組み合わせた工夫がありました。

東京駅前を本当に封鎖した

まず最大のポイントです。

Netflix公式は、

東京駅前を全面封鎖して撮影

したと発表しています。

東京駅前は交通量も人通りも非常に多く、通常の映画ロケでも簡単には使えません。

制作側は長期間にわたり関係各所と交渉を続けました。

交渉には1年半以上

Netflix公式発表では、東京駅前のロケ実現までに、

1年半以上

の交渉を行ったとされています。

片山慎三監督は後のインタビューで、許可取りには約2年かかったとも振り返っています。

つまり、本編では数分のカーアクションでも、準備は年単位でした。

なぜ東京駅にこだわった?

制作側が重視したのは「リアリティ」です。

本作はガス人間という非現実的な存在が登場します。

だからこそ背景の日本社会や街は、

本当に存在する場所としてリアルに見せる

必要がありました。

架空の都市ではなく、東京駅前で怪物と車が暴れる。

その現実感が、作品の迫力につながっています。

撮影規模そのものが非常に大きかった

『ガス人間』の撮影期間は、2024年9月上旬から2025年4月末まで。

約8か月に及びました。

ロケ地は約120か所。

さらにロケハンした候補地は1000か所を超えたとNetflixが発表しています。

東京駅だけが特別なのではなく、シリーズ全体がかなり大規模な撮影でした。

あの車のバックフリップも実写?

カーアクションの見せ場の一つが、車が激しく跳ね上がり、後方へ回転するような場面です。

Netflixはこの「バックフリップ」について、

日本映像史でも前例のない方法へ挑戦した

としています。

海外の大作カーアクション作品を研究しながら撮影方法を検討しました。

『ダークナイト』を参考にした

片山監督は、車両が横転するアクションについて、映画『ダークナイト』を参考にしたことを認めています。

『ダークナイト』には大型車両が豪快に反転する有名な場面があります。

『ガス人間』でも、CGだけで全部作るのではなく、実車を使った迫力を重視しました。

ただし横転そのものは別の場所で撮影

ここが重要です。

片山監督によると、

車が横転する素材自体は東京駅前ではなく、別の場所で撮影

しています。

その映像へ東京駅の背景を合成しました。

つまり、

東京駅前で実際のカーアクションを撮影。

危険性の高い横転部分は別の安全な場所で撮影。

背景合成やCGで一続きに見せる。

という方法です。

全部CGではない

ここが映像の迫力につながっています。

車そのもの。

道路。

東京駅前の空間。

多くの部分を実写で撮影しながら、危険な部分だけVFXで補います。

最初から全部CGの街を作るのとは違い、実写特有の重量感が残ります。

VFXを担当したのは白組

本作のVFXは白組が担当しています。

白組は『ゴジラ-1.0』でアカデミー賞視覚効果賞を受賞したチームでもあります。

『ガス人間』では、

  • ガス化
  • 人体への侵入
  • 身体の爆発
  • 石像化
  • カーアクションの補強

など、実写だけでは不可能な部分を担当しました。

「ガス人間がそこにいる」ことを最優先

片山監督にとって、実在しないクリーチャーを本格的にVFXで扱うのは大きな挑戦でした。

重視したのは、

CGだから浮いて見えるのではなく、本当にその場所にいるように見せること

です。

だから東京駅もセットではなく、実景を使う意味がありました。

ガス人間と車の攻防も実写とCGの組み合わせ

ガス人間は実体を持たないため、カーアクションとの組み合わせはかなり難しいです。

車は現実に走る。

でも敵はCG。

役者やスタント側は、そこに見えないガス人間がいることを想定して演技しなければなりません。

それを後からVFXで成立させています。

大友の車が横転する場面の撮り方

大友三郎(中野英雄)らが乗る車の横転では、

実車の横転素材。

東京駅の背景。

CGによる補強。

これらを組み合わせています。

一見すると東京駅前でそのまま車を転がしているように見えますが、実際には複数の撮影・合成工程によって作られています。

「ハワイアンパンケーキ」は台本になかった

シリアスなカーアクションの最中、大友側から飛び出す妙なセリフも印象的です。

ヨン・サンホによると、

「ハワイアンパンケーキ」

というセリフは、もともとの台本にはありませんでした。

現場で加わった言葉で、激しい横転アクションとの妙な組み合わせが気に入ったと語っています。

なぜここまで大規模にした?

Netflix版は、1960年の特撮映画をそのまま再現する作品ではありません。

世界配信を前提に、

現代の東京そのものを巨大な特撮舞台にする

方向へ進化させています。

東京駅でのカーアクションは、その象徴です。

1960年版との映像表現の違い

旧作では、当時の光学合成や特撮技術を使って、人間が気体になるという不可能な映像を見せました。

Netflix版では、

VFX。

実車。

実在都市。

大規模ロケ。

を組み合わせています。

技術は変わっても、

「今まで見たことのない映像を作る」

という東宝特撮的な精神は共通しています。

東京駅を使ったこと自体が作品テーマにも合う

ここからは考察です。

東京駅は日本の中心部にある象徴的な場所です。

そんな場所で、社会の底辺へ追いやられた人物から生まれたガス人間が暴れる。

これは、

社会の端へ追いやられた問題が、ついに社会の中心へ噴き出してくる

ようにも見えます。

まとめ

『ガス人間』の東京駅カーアクションは、東京駅前を実際に全面封鎖して撮影されました。

Netflixによれば、日本映像作品では史上初の試みです。

ただし、車両の危険な横転部分まで東京駅前でそのまま撮影したわけではありません。

横転素材は別の場所で実車撮影し、東京駅の背景やCGを組み合わせています。

つまり、

実写ロケ+実車スタント+VFX

によって、あの大規模なアクションが作られました。

ガス人間という非現実的な存在を、本物の東京の中へ放り込む。

それがNetflix版の「地に足の着いたリアル」を象徴する場面です。