『プロジェクト・ヘイル・メアリー』と『オデッセイ』の違いは?同じ作者の宇宙サバイバル作品を比較
※この記事には『プロジェクト・ヘイル・メアリー』と『オデッセイ』の設定・展開について一部ネタバレがあります。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を見て、
「なんとなく『オデッセイ』に似てる」
と感じた人も多いと思います。
それもそのはず。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』と『オデッセイ』の原作小説は、どちらもアンディ・ウィアーの作品です。
科学。
宇宙。
一人で問題を解決する主人公。
ユーモア。
共通点はかなりあります。
ただし、物語の目的や規模、主人公が置かれた状況は大きく違います。
結論|『オデッセイ』は「自分が生き残る話」、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は「世界を救う話」
最も大きな違いは、
何のために科学を使うのか。
です。
『オデッセイ』のマーク・ワトニーは、
自分自身が火星で生き残るため
に科学を使います。
一方、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のライランド・グレースは、
地球上の人類を救うため
に科学を使います。
アンディ・ウィアー自身も、ワトニーは「自分が生き残ること」が目的なのに対し、グレースは「自分が死んでも任務を成功させなければならない」という、ほぼ正反対の状況だと説明しています。
共通点1|主人公が科学で問題を解く
両作品に共通する最大の特徴です。
主人公は、突然起きた問題に対して、
観察。
計算。
仮説。
実験。
失敗。
修正。
を繰り返します。
「頭のいい主人公が何でも知っている」作品ではない
重要なのは、最初から答えを知っているわけではないことです。
問題が起きる。
考える。
試す。
また別の問題が起きる。
この積み重ねが、アンディ・ウィアー作品の大きな魅力です。
共通点2|主人公が宇宙で孤立する
マーク・ワトニーは火星で一人になります。
グレースも、ヘイル・メアリー号の他の乗組員を失い、一人で目覚めます。
どちらも、
「自分以外にすぐ助けてくれる人がいない」
ところから始まります。
でも孤独の性質は違う
ワトニーは火星に一人。
しかし地球には仲間がいます。
通信にも時間差はありますが、人類は彼の存在を知っています。
一方グレースは、地球から約11.9光年先。
リアルタイムで相談すること自体が不可能です。
違い1|距離がまったく違う
『オデッセイ』の舞台は火星。
同じ太陽系です。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』はタウ・セチ。
太陽系の外です。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は星間SF
ヘイル・メアリー号は、
別の恒星系へ向かう宇宙船。
です。
そのため、相対性理論。
長期航行。
異星生命。
といった要素が入ります。
違い2|『オデッセイ』はサバイバルが中心
ワトニーの問題は非常に具体的です。
食料。
水。
酸素。
通信。
移動。
どうやって救助まで生き延びるか。
グレースは食料問題が中心ではない
ヘイル・メアリー号は、最初から長期星間ミッション用に設計されています。
アンディ・ウィアーも、ワトニーが本来短期間用の機材で何年も生き延びなければならなかったのに対し、グレースの船は任務用にきちんと作られていると説明しています。
グレースの問題は「謎を解くこと」
なぜタウ・セチだけ減光していないのか。
アストロファージを止める方法はあるのか。
答えを発見できるのか。
こちらが中心です。
違い3|命が懸かっている人数
『オデッセイ』では、基本的にワトニー一人の命が中心。
もちろんNASAや仲間は彼を助けようとします。
しかしワトニーが失敗しても、人類そのものが滅亡するわけではありません。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』では地球全体
グレースが失敗すれば、
地球全体がアストロファージ危機から救えない可能性があります。
個人の生存から文明の生存へ、スケールが大きくなっています。
違い4|グレースにはロッキーがいる
ここが非常に大きな違いです。
『オデッセイ』は、
一人の人間が孤独の中で生き残る
物語。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は途中から、
まったく別の文明の相手と協力する
物語へ変わります。
科学だけでなく「友情」が中心になる
グレースとロッキーは、
言葉も違う。
姿も違う。
生きられる環境も違う。
それでも協力します。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ロッキーとの友情はなぜ泣ける?2人の関係を考察
違い5|マーク・ワトニーは最初から生きる気満々
ワトニーの魅力は、絶望的な状況でも、
「どうやったら生き残れる?」
とすぐ問題解決へ向かうところです。
グレースは少し違う
グレースには、物語後半で大きな弱さが明らかになります。
彼は最初から自己犠牲のできる英雄ではありません。
グレースは宇宙行きを拒否していた
死ぬのが怖い。
行きたくない。
そう考えていました。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』グレースは自分から宇宙へ行った?ストラットとの過去を解説
だからグレースには「成長」がある
ワトニーは基本的に最初から最後まで、問題を解きながら生き延びようとする人物です。
グレースは、
臆病さを抱えた普通の人間から、自分の意思で他者のために危険を選べる人物へ変わる。
人物の変化がより大きく描かれます。
違い6|SFとしての「嘘」の大きさ
『オデッセイ』は比較的ハードSF寄りです。
現在の科学技術の延長として想像しやすい世界です。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』には大きな架空設定がある
アストロファージ。
タウメーバ。
異星文明。
星間航行。
現在確認されていない要素がかなり増えています。
ただし問題解決の姿勢は同じ
架空の生命体が存在する。
そこはSF。
でも、
「その生命体が存在すると仮定したら、物理や化学でどう扱う?」
という部分はアンディ・ウィアーらしい作りです。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』科学は本当に正しい?アストロファージ・重力・宇宙航行を解説
違い7|地球との関係
ワトニーは地球へ帰ることがゴール。
地球が明確な「帰る場所」です。
グレースは最後に地球へ帰らない
グレースは地球を救います。
しかし、自分自身はエリドへ。
故郷へ帰ることだけがハッピーエンドではない
という結末になります。
共通点3|ユーモアがかなり重要
両作品とも、状況だけならかなり重いです。
孤独。
死。
人類滅亡。
それでも主人公は冗談を言います。
科学説明が重くなりすぎない
専門用語や計算が多くても読めるのは、この軽さがあるからです。
これはアンディ・ウィアー作品に共通する特徴です。
どっちがより壮大?
スケールだけなら、
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。
です。
火星から別の恒星系へ。
一人の生存から二つの文明の生存へ。
大きく広がっています。
どっちがより現実的?
現在の科学の延長という意味では、
『オデッセイ』。
です。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、現実の物理学を重視しながらも、異星生命や超高密度エネルギー生命体という大きなSF設定を使います。
どっちが人間ドラマとして強い?
好みによります。
『オデッセイ』は、
一人でも諦めない人間。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、
まったく違う相手と協力する人間。
を描きます。
『オデッセイ』が好きなら『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も楽しめる?
かなり相性はいいです。
特に、
科学で問題を解く展開。
主人公のユーモア。
宇宙という極限環境。
が好きなら楽しみやすいでしょう。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が『オデッセイ』好きにおすすめな理由|共通点と違いを解説
まとめ|似ているけれど「孤独な科学サバイバル」から「異文明との共同ミッション」へ進化した作品
『オデッセイ』と『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の共通点は、
宇宙。
科学。
孤立した主人公。
問題解決。
ユーモア。
です。
一方、最大の違いは、
『オデッセイ』=自分が生き残る。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』=人類を救い、さらに別文明の相手と協力する。
という目的です。
同じ作者が似た出発点を使いながら、まったく同じ物語にはしていません。
『オデッセイ』が「科学で孤独を生き抜く話」なら、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は「科学によって孤独な二人が出会う話」。
そこが二作品の一番大きな違いと言えるでしょう。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を原作でも読みたい方へ
『オデッセイ』と共通する科学的な問題解決をより深く楽しみたい場合は、原作ではグレースの計算や実験をさらに詳しく追えます。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』をAudibleで聴きたい方へ
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、Amazonのオーディオブックサービス「Audible」でも配信されています。
長編小説なので、通勤中や家事をしながら少しずつ楽しみたい方にも向いています。映画を観たあとに原作を振り返りたい方や、グレースとロッキーの物語をもう一度じっくり味わいたい方にもおすすめです。
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