※この記事には映画『マスカレード・ホテル』の犯人・動機・結末に関する重大なネタバレがあります。

『マスカレード・ホテル』の終盤で山岸尚美(長澤まさみ)の命を狙う片桐瑤子(松たか子)。

しかし、「なぜホテルマンの山岸が殺されなければならなかったのか」と疑問に感じた方もいると思います。

片桐が山岸を選んだのは偶然ではありません。

二人の間には、山岸自身がほとんど意識していなかった過去の出来事がありました。

結論|片桐は過去の出来事を山岸のせいだと考えていた

片桐が山岸を狙った理由は、過去にホテルを利用した際の出来事をきっかけに、山岸へ強い恨みを抱いていたからです。

山岸にとってはホテルマンとして行った対応の一つでも、片桐にとっては人生を大きく変える出来事につながっていました。

その認識の差が、復讐へと発展します。

この記事でわかること

  • 片桐が山岸を狙った理由
  • 二人の過去に何があったのか
  • 山岸が恨まれていることに気づかなかった理由
  • 片桐の復讐と「ホテルマンの仕事」の関係
  • なぜこの動機が作品テーマにつながるのか

山岸にとっては「仕事」だった

山岸はホテルマンとして、多くの客と接しています。

一人ひとりの事情を察しながら、ホテル側として可能な範囲で最善の対応をするのが彼女の仕事です。

そのため、過去に接した客のすべてについて、その後の人生まで知ることはできません。

しかし客の側から見れば、ホテルで起きた出来事が人生の重要な転機になることもあります。

片桐と山岸の関係では、この「接客した側」と「接客された側」の記憶の重さの違いが悲劇につながっています。

片桐は山岸に責任があると考える

片桐は、自分に起きた不幸と山岸の過去の対応を結びつけます。

そして山岸を、その原因となった人物として認識するようになります。

一方の山岸には、片桐がそこまで深い恨みを抱いているという認識がありません。

だからこそ、片桐が客として目の前に現れても、すぐに危険人物だと判断することができませんでした。

山岸はなぜ片桐を疑わなかったのか

ここには山岸の職業意識も関係しています。

刑事の新田浩介(木村拓哉)は、怪しい人物を見れば「何か隠しているのではないか」と考えます。

しかし山岸は違います。

客が秘密を持っていたとしても、それを暴くことがホテルマンの仕事ではないと考えています。

むしろ客の事情を必要以上に詮索せず、快適に過ごせるようにすることを優先します。

その姿勢はホテルマンとしては長所ですが、片桐のように明確な悪意を持つ人物を相手にした場合には弱点にもなります。

片桐の復讐が作品テーマとつながる理由

『マスカレード・ホテル』では、多くの人物が何らかの「仮面」をつけています。

宿泊客は本当の目的や事情を隠し、警察官はホテルマンを装い、片桐もまた普通の客としてホテルへ入ってきます。

山岸は客の仮面を守ろうとします。

対して新田は、その仮面の下に何があるのかを見抜こうとします。

片桐の事件では、この二つの考え方が真正面からぶつかります。

山岸だけでは片桐の悪意を見抜けず、新田だけではホテルという場所で客との信頼関係を築くことができません。

最後に二人が互いの能力を補うことで、事件を止めることができます。

片桐が犯人だと分かるまでを知りたい場合

この記事では「なぜ山岸を狙ったのか」に絞りました。

片桐がどのように山岸へ近づき、新田がどうやって異変に気づいたのかについては、犯人解説の記事で整理しています。

→『マスカレード・ホテル』犯人は誰?片桐瑤子が狙った相手と犯行の真相を解説

まとめ

片桐瑤子が山岸尚美を狙ったのは、過去の出来事をきっかけに山岸へ個人的な恨みを抱いていたためです。

山岸にとってはホテルマンとして行った過去の対応でも、片桐にとっては人生を左右する出来事として残っていました。

そして、その認識の違いが復讐へつながります。

この事件は「人は表面だけでは分からない」という『マスカレード・ホテル』のテーマを、最も直接的に示す出来事でもあります。

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