『キングダム 魂の決戦』合従軍とは?なぜ六国が秦を攻めたのか解説
※この記事は、映画『キングダム 魂の決戦』および原作漫画『キングダム』の合従軍編についてネタバレを含みます。
映画『キングダム 魂の決戦』で、秦を一気に絶体絶命へ追い込むのが、
「合従軍(がっしょうぐん)」
です。
趙だけではありません。
楚。
燕。
魏。
韓。
斉。
秦を除く六国が手を組み、秦へ攻め込んできます。
映画公式では、
秦20万 vs 六国50万。
という圧倒的な兵力差で描かれています。
でも、ここで疑問です。
なぜ六国は突然、秦だけを集中攻撃したのでしょうか。
そして、なぜ敵国同士だった六国をまとめることができたのでしょうか。
その中心にいたのが、趙の宰相・李牧です。
今回は映画公式と原作をもとに、合従軍とは何なのか、なぜ秦が狙われたのかを整理します。
結論|合従軍は「秦を滅ぼすため」に六国が結んだ連合軍
映画公式では合従軍について、
秦の滅亡を目的に、楚・燕・趙・魏・韓・斉の六国が結んだ連合軍
と説明されています。
そして、この合従軍を作り上げた中心人物が、
趙国宰相・李牧。
です。
つまり、単に各国が偶然同じ時期に秦へ攻め込んだわけではありません。
李牧が六国を動かし、秦を一気に滅ぼすための包囲網を作った。
それが合従軍です。
そもそも当時の中華は「戦国七雄」の時代
『キングダム』の舞台となる時代には、大きな国が七つあります。
秦
楚
趙
魏
韓
燕
斉
です。
映画公式でも、中華統一について、
この七国を一つの国に統一すること
と説明しています。
そして嬴政が目指しているのが、その中華統一です。
嬴政の「中華統一」は他国から見れば恐ろしい
信や嬴政の側から物語を見ていると、
「戦乱の世を終わらせるための中華統一」
という大きな理想に見えます。
しかし、他国から見れば意味が違います。
秦が中華統一をするということは、
楚・趙・魏・韓・燕・斉という国が最終的には消える
ということです。
それぞれの国には王がいます。
土地があります。
軍があります。
歴史があります。
当然、
「はい、秦に統一してください」
となるはずがありません。
秦はすでに他国から危険視されるほど強くなっていた
合従軍が作られた理由は、嬴政の理想だけではありません。
現実問題として、
秦の国力と軍事力が急速に大きくなっていた
ことも重要です。
秦は周辺国へ領土を広げています。
一国ずつ戦っていたら、いずれ秦に削られてしまう。
李牧はそう判断します。
だから、
秦がさらに強くなる前に、全員で潰す。
非常に合理的な発想でもあります。
李牧の狙いは「秦が完成する前に叩く」こと
李牧は『キングダム』の中でも屈指の知将です。
王騎を倒した人物でもあります。
その李牧が見ているのは、目の前の一戦だけではありません。
秦には、
嬴政。
昌平君。
蒙武。
騰。
麃公。
王翦。
桓騎。
そして成長中の、
信。
蒙恬。
王賁。
がいます。
このまま時間を与えれば、秦はさらに強くなる。
李牧にとっては、
今こそ秦を滅ぼせる最大の機会
だったわけです。
『キングダム 魂の決戦』李牧の目的は?なぜ秦を滅ぼそうとしたのか
でも敵同士の六国が、なぜ手を組めた?
ここが合従軍の面白いところです。
普段なら、六国は仲間ではありません。
むしろ互いに戦っています。
領土を奪い合う敵同士です。
それでも、
「秦という共通の最大脅威」
が生まれたことで、一時的に手を組みます。
つまり合従軍は、友情で結ばれた軍ではありません。
秦を倒すという利害が一致した連合軍。
です。
合従軍の総大将は李牧ではない
映画を見ていると、李牧がすべてを動かしているので、
「合従軍の総大将=李牧」
と思いやすいです。
しかし映画公式で合従軍の総大将として紹介されているのは、
楚の春申君(しゅんしんくん)。
です。
映画では斎藤工さんが演じています。
李牧は合従軍を作り、侵攻を主導する中心人物ですが、連合軍全体の総大将という肩書きは春申君です。
なぜ楚の春申君が総大将なの?
楚は戦国七雄の中でも非常に大きな国です。
広大な領土と大軍を持ち、合従軍でも最大級の戦力を投入しています。
その楚を代表する大物が春申君です。
映画公式でも、
「中華屈指の宰相」
として紹介されています。
そのため六国連合という巨大組織の看板となる総大将を春申君が務めています。
実際の戦略を動かすのは李牧
一方、軍略の中心にいるのは李牧です。
映画でも、
「李牧が率いる合従軍」
という表現が使われています。
つまり、
春申君=連合軍の総大将
李牧=作戦を生み出した中心的な軍略家
と理解すると分かりやすいです。
六国それぞれから、とんでもない将軍が集まる
合従軍が恐ろしいのは兵士が50万人いることだけではありません。
各国から一流の将軍が集まっています。
映画公式で紹介されている主な合従軍の武将は、
趙:李牧、万極、慶舎
楚:春申君、汗明、媧燐、臨武君、項翼、白麗
魏:呉鳳明
韓:成恢
燕:オルド
など。
つまり秦は、
六国のトップクラスを同時に相手にする
ことになります。
秦側もほぼ総力戦
当然、秦も普通の軍だけでは対抗できません。
そこで函谷関へ、
麃公。
蒙武。
騰。
桓騎。
王翦。
張唐。
らが集結。
さらに、
信。
蒙恬。
王賁。
といった若手まで投入されます。
原作25巻には、
第268話「一堂に会す」
第270話「函谷関集結」
という回があります。
まさに秦の主力が一カ所へ集まる場面です。
なぜ戦場は函谷関になった?
秦が絶対に守らなければならない場所が、
函谷関(かんこくかん)。
です。
映画公式では、
「秦国の都・咸陽に続く大道を塞ぐ国門」
と説明されています。
さらに、これまで一度も突破されたことがない巨大な要塞です。
ここを突破されたら、敵軍は秦の中心部へ進めます。
つまり、
函谷関=秦最後の巨大防壁。
です。
50万の敵を20万でどう止める?
単純な兵数だけなら、秦は圧倒的に不利です。
映画公式の数字では、
合従軍:約50万
秦軍:約20万
です。
だから秦は広い平原で正面から50万人と戦うのではなく、
函谷関という巨大要塞を利用して守る
必要があります。
要塞戦なら、攻める側は数の多さをそのまま活かせません。
秦に残された最大の勝機が函谷関でした。
合従軍は「六国」と言うけど、斉はどうなる?
ここは原作を読むと重要です。
合従軍は、
楚・燕・趙・魏・韓・斉
の六国によって組まれます。
映画公式でも明確に「秦 vs 六国」としています。
ただし原作25巻には、
第265話「外交の仕事」
という回があります。
ここで秦は軍事だけではなく、外交でも生き残る道を探ります。
その中心にいるのが、
蔡沢(さいたく)。
です。
映画でも笹野高史さんが演じる秦の外交官として登場しています。
つまり合従軍編は「戦争だけ」の話ではない
秦が生き残るためには、戦場で敵を倒すだけでは足りません。
外交。
情報。
政治。
各国の利害。
すべてを使う必要があります。
これが合従軍編の面白いところです。
一見すると50万対20万の巨大戦争ですが、
実際は中華全体を使った政治戦でもある。
ということです。
秦が合従軍を招いたとも言える?
ある意味では、そうです。
秦は中華統一を目指しています。
そのためには他国へ攻め込み、領土を奪わなければなりません。
当然、他国からは恨まれます。
さらに秦には、過去の戦争で作った深い恨みもあります。
その象徴が、
万極。
です。
万極は「秦への恨み」を背負う人物
映画公式では万極を、
かつて秦が起こした大虐殺の生き残りで、秦へ凄まじい恨みを持つ趙将
と紹介しています。
その大虐殺が、
長平の戦い。
です。
映画公式の用語解説では、秦の六大将軍・白起が、
投降した趙兵40万人を生き埋めにした
と説明しています。
万極はその生存者です。
だから万極にとって秦との戦いは、国家同士の戦争だけではありません。
復讐。
でもあります。
合従軍には「恐怖」と「恨み」の両方が集まっている
六国すべてが万極のような復讐心で動いているわけではありません。
しかし共通しているのは、
秦をこのまま放置できない
ということ。
秦が強くなることへの恐怖。
領土を奪われる恐怖。
国が消える恐怖。
そして過去の戦争で生まれた恨み。
それらを李牧が一つの巨大な軍へまとめます。
李牧から見れば「今やらなければ手遅れ」
李牧は秦の未来を非常に高く評価しています。
若い王・嬴政。
優秀な軍師・昌平君。
強力な将軍たち。
次世代の信・蒙恬・王賁。
秦が成長しきってしまえば、六国が個別に対抗するのは難しくなります。
そこで李牧は、
六国すべてを使って秦そのものを地図から消す
という最大級の作戦に出ます。
嬴政から見れば合従軍は「中華統一の代償」でもある
嬴政は戦争を終わらせたい。
そのために中華統一を目指しています。
しかし統一を目指せば、他国は当然抵抗します。
つまり、
戦争を終わらせようとすることで、史上最大級の戦争を招いてしまう。
ここに『キングダム』の大きな矛盾があります。
合従軍編は、嬴政の理想が初めて中華全体から真正面に拒絶される戦いとも言えます。
信はなぜこの戦いに参加する?
信はもちろん秦の兵士です。
しかし信にとっても、それだけではありません。
信は嬴政の、
「中華統一によって戦乱を終わらせる」
という夢を信じています。
そして自分は天下の大将軍になる。
そのため、合従軍との戦いは、
秦を守る戦いであると同時に、信と嬴政の夢を守る戦い
でもあります。
だから万極との戦いが重要になる
万極は、秦に人生を壊された人物です。
信は、その秦側で戦っています。
しかも秦はこれから中華統一のために、さらに他国と戦います。
万極から見れば、
「戦争を終わらせると言いながら、お前たちはまた人を殺すのか」
という話になります。
だから信vs万極は、単なる強敵との一騎打ちではありません。
合従軍編そのものが持つ、
秦は本当に正しいのか?
という問いを信へ突きつける戦いです。
合従軍は原作の何巻?
集英社公式では、
『キングダム BOXセット 3 合従軍編』=24巻〜33巻
と明確に区分されています。
つまり原作で合従軍編を最初から最後まで読みたい場合は、
24巻〜33巻。
です。
ただし、実際に六国による秦侵攻が一気に動き出すのは25巻。
25巻には、
第262話「超大国の侵攻」
第264話「迫り来る合従軍」
第270話「函谷関集結」
などが収録されています。
『キングダム 魂の決戦』は原作何巻・何話?合従軍編との違いを解説
映画『魂の決戦』だけでは合従軍編は終わらない
映画では信と万極の戦いが大きなクライマックスになります。
しかし合従軍そのものとの戦争は終わりません。
原作24〜33巻の長いエピソードです。
映画で今回あまり動かなかった、
桓騎。
王翦。
蒙武。
媧燐。
なども、このあと重要になります。
つまり『魂の決戦』は、
秦vs合従軍という巨大戦争の始まりを描いた作品。
です。
桓騎はなぜ原作で人気なの?
映画では坂口憲二さん演じる桓騎が登場します。
ただ、この時点ではまだ、
「怖そうな将軍」
という印象が強いと思います。
原作ではこのあと、桓騎独特の戦い方や過去が描かれ、非常に人気の高いキャラクターになります。
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王翦はなぜ仮面をつけている?
合従軍編では、王翦も秦を代表する将軍として函谷関へ参加します。
映画で初めて見ると、
「この仮面の人は誰?」
とかなり気になります。
しかも王賁の父親。
原作全体でも非常に重要な人物です。
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蒙恬と王賁も合従軍編からさらに重要になる
映画『魂の決戦』で本格登場した蒙恬と王賁。
二人は一時的なゲストキャラクターではありません。
信と同世代で、
将来の秦軍を担う重要人物。
です。
合従軍編では、三人それぞれの戦い方や性格の違いも見えてきます。
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『キングダム』王賁とは何者?王翦との親子関係・信との確執・強さを原作から解説
まとめ|六国が秦を攻めたのは「今ならまだ秦を滅ぼせる」と考えたから
合従軍とは、
秦を滅ぼすために楚・燕・趙・魏・韓・斉の六国が結成した連合軍。
です。
その仕掛け人が、趙国宰相・李牧。
連合軍の総大将は、楚の春申君です。
なぜ六国が秦を攻めたのか。
最大の理由は、
秦が中華最大級の脅威になりつつあったから。
です。
秦は領土を拡大しています。
嬴政は中華統一を本気で目指しています。
そして優秀な将軍や若い武将も育っています。
このまま秦を成長させれば、六国は一国ずつ滅ぼされるかもしれない。
だから李牧は、
六国がまだ存在している今のうちに、全員で秦を潰す。
という作戦を選びました。
映画公式では、その兵力を、
秦20万 vs 合従軍50万。
としています。
秦側が選んだ最後の防衛線が函谷関。
ここを抜かれれば、都・咸陽への道が開いてしまいます。
だから『魂の決戦』は、単なる大規模戦争ではありません。
秦という国そのものが消えるかもしれない戦い。
です。
そしてもう一つ重要なのが、
嬴政は戦乱を終わらせるために中華統一を目指しているのに、その理想が六国を恐れさせ、巨大な戦争を生んでしまったこと。
ここに合従軍編の面白さがあります。
秦は本当に正義なのか。
六国から見れば秦こそ侵略者ではないのか。
信と万極の戦いまで見ると、その問いがより強く見えてきます。
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映画で信vs万極が印象に残った方は、まず27巻から読むのがおすすめです。
