『キングダム』成蟜は実在した?嬴政との兄弟関係と反乱は史実?
『キングダム』の序盤で、嬴政(えいせい)から秦王の座を奪おうとする成蟜(せいきょう)。
最初は冷酷で傲慢な人物として登場しますが、物語が進むと大きく印象が変わっていく人物でもあります。
「成蟜は本当に実在した?」「嬴政の弟だった?」「反乱を起こしたのも史実?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、成蟜は『史記』に登場する実在人物です。
さらに、秦王政の弟であり、軍を率いて趙(ちょう)へ出陣した後に反乱したという記録も残っています。
ただし、映画『キングダム』1作目で描かれた王都奪還のクーデターが、そのまま史実だったわけではありません。
成蟜は実在した?
はい。
成蟜は司馬遷(しばせん)の『史記・秦始皇本紀』に登場します。
史料では「王弟長安君成蟜」と記されています。
つまり、
- 秦王政の弟
- 成蟜という名前
- 長安君という称号
を持った人物が史実に存在していたことが確認できます。
成蟜は本当に嬴政の弟だった?
『史記』では成蟜を「王弟」と記しているため、秦王政、つまり後の始皇帝の弟とされています。
『キングダム』でも、嬴政の異母弟として登場します。
ただし、二人の母親や幼少期の関係などについて、史料には漫画ほど詳しい記録がありません。
そのため、作品で描かれる兄弟の感情や確執の多くは創作を含んでいます。
映画1作目の成蟜の反乱は史実?
映画『キングダム』1作目では、成蟜が嬴政から王座を奪い、王宮を支配しています。
嬴政は信(しん)や楊端和(ようたんわ)らとともに王都へ戻り、成蟜から王座を取り戻します。
しかし、この王都奪還の物語がそのまま『史記』に書かれているわけではありません。
史実で成蟜の反乱が記録されるのは、秦王政8年です。
史実の成蟜はいつ反乱した?
『史記』によると、秦王政8年、成蟜は将軍として趙を攻めるため出陣しました。
ところが、その途中で成蟜は反乱を起こし、屯留(とんりゅう)で死亡したと記されています。
反乱に関係した軍の者たちは処罰され、屯留の住民も移されたとされています。
つまり、成蟜が反乱したという大枠そのものは史実に基づいています。
成蟜はなぜ反乱した?
ここは注意が必要です。
『史記』には、成蟜が反乱したことは短く記されていますが、なぜ反乱したのかという詳しい動機までは書かれていません。
そのため、
- 嬴政を憎んでいた
- 自分が王になりたかった
- 王位継承に不満があった
などを史実として断定することはできません。
『キングダム』では、この少ない史料をもとに成蟜の人物像や嬴政との関係を大きく膨らませています。
成蟜は屯留で死んだ?
『史記』には、成蟜が趙へ出陣した後に反乱し、「屯留で死んだ」と記されています。
ただし、この短い記述には古くから解釈上の問題もあります。
一般には「成蟜が反乱して屯留で死亡した」と理解されていますが、史料の文章が非常に簡潔なため、細かな経緯までは分かりません。
少なくとも、漫画のような詳しい会話や戦闘の経緯が史実として残っているわけではありません。
『キングダム』では成蟜が大きく成長する
『キングダム』の成蟜は、登場当初とその後でかなり印象が変わります。
序盤では血筋を重視し、庶民を見下す傲慢な王族として登場します。
しかし物語が進むにつれて、政治や国を考える人物へと成長していきます。
嬴政との関係も単純な敵対関係ではなくなります。
この成長物語は、『史記』の短い記録だけでは分からない部分を原作が大胆に創作したものです。
成蟜と瑠衣の関係は史実?
『キングダム』では、成蟜の妻として瑠衣(るい)が登場します。
しかし、成蟜と瑠衣の関係について史実上の裏付けは確認できません。
瑠衣を含む成蟜の詳しい家族関係は、作品独自の設定と考えた方がいいでしょう。
成蟜の史実と漫画の違いを整理
- 成蟜という人物がいた → 史実
- 秦王政の弟だった → 史実
- 長安君と呼ばれた → 史実
- 趙攻撃の軍を率いた → 史実
- 屯留で反乱したと記録される → 史実
- 映画1作目の王都クーデター → 作品独自の再構成
- 嬴政との詳しい兄弟関係 → 作品独自の要素が大きい
- 瑠衣との関係 → 史料では確認できない
成蟜を原作で最初から読みたい方へ
成蟜は『キングダム』のかなり早い段階から登場します。
最初の敵だった人物が、その後どのように変化していくのかは、原作を通して読むと特に印象的です。
まとめ
『キングダム』の成蟜は、完全な架空人物ではありません。
『史記』には秦王政の弟である長安君・成蟜が実在し、趙への出陣中に反乱して屯留で死亡したと記録されています。
一方、映画1作目の王都クーデターや、嬴政との詳しい兄弟関係、成蟜の成長物語などは原作独自の要素が大きくなっています。
史実ではわずかな記録しか残っていない人物を、物語の中で大きく膨らませたキャラクターの一人と言えるでしょう。
