※この記事は映画『真夏の方程式』の犯人、塚原殺害方法、恭平が事件へ利用された仕掛けまで完全にネタバレしています。

『真夏の方程式』の殺人トリックは、少し分かりにくい構造になっています。

塚原正次(つかはら・まさつぐ)は堤防の下で遺体となって発見される。

しかし転落死ではない。

死因は、

一酸化炭素中毒。

さらに警察が旅館で事故を再現しても、致死量の一酸化炭素が発生しません。

では、塚原はどうやって殺されたのでしょうか。

結論から言うと、

川畑重治が恭平を利用して煙突を塞がせ、ボイラーの排気を逆流させた。

というのが事件の核心です。

結論|塚原の死因は一酸化炭素中毒

塚原の遺体は海辺で発見されます。

一見すると転落事故のように見えます。

しかし検視によって、

転落する前にすでに死亡していた

ことが分かります。

そして死因が一酸化炭素中毒だったことから、旅館の設備が疑われます。

重治は「旅館で事故が起きた」と説明する

川畑重治(かわばた・しげはる)は警察へ出頭します。

そして、旅館の古い設備によって一酸化炭素中毒事故が起きた。

営業への影響を恐れ、塚原の遺体を移した。

という趣旨の説明をします。

これだけなら、

殺人ではなく事故+死体遺棄。

という形にも見えます。

しかし湯川学(ゆかわ・まなぶ)は疑います。

同じ条件を再現しても塚原は死なない

警察は旅館で一酸化炭素濃度を調べます。

ところが重治が説明した通常の状態では、

人が短時間で死亡するほど一酸化炭素濃度が高くならない。

つまり重治の話には、何か重要な条件が抜けています。

湯川の考え|事件当夜だけ条件が違った

科学的に考えるなら、同じ条件なら同じ結果が起きるはずです。

普段は事故が起きない。

再現実験でも起きない。

なのに事件当夜だけ塚原が死亡した。

ならば、

事件当夜だけ存在した特別な条件がある。

と考えられます。

その条件が「煙突を塞ぐこと」

事件当夜、旅館の煙突は一時的に塞がれていました。

塞いだのは、

少年・恭平(きょうへい)。

です。

もちろん恭平は殺人を手伝っているとは知りません。

重治から頼まれ、花火の安全対策だと思って作業していました。

恭平は濡れた段ボールで煙突を塞ぐ

事件の夜、重治と恭平はロケット花火をします。

重治は、花火が旅館へ入り込んだら危ないという理由をつけ、開口部を塞がせます。

その中に煙突もありました。

恭平は屋上へ上がり、

濡れた段ボールで煙突を塞ぎます。

これによって、通常なら外へ出るはずの排気が正常に排出されなくなります。

▶ 『真夏の方程式』恭平は何をさせられた?花火と事件の仕掛けを解説

煙突が塞がれてボイラーが不完全燃焼する

煙突の出口が塞がれることで、ボイラーの燃焼・排気状態が通常とは変わります。

そこで発生した一酸化炭素を含む排気が、旅館の古い壁や隙間を通って塚原のいた部屋へ入り込みます。

その結果、塚原は一酸化炭素中毒で死亡します。

塚原がいた部屋も計画に利用されていた

重治は旅館の構造を知っています。

どこにボイラーがあり、排気がどう流れるのか。

建物のどこが古くなっているのか。

そうした条件を利用して、塚原が一酸化炭素を吸い込む状況を作ります。

つまり偶然の事故ではありません。

旅館の構造そのものを利用した計画的な犯行。

です。

塚原を眠らせていたことも重要

事件当夜、塚原は酒を飲み、睡眠作用のある薬も使われています。

そのため部屋に一酸化炭素が入ってきても、異変に気づいて逃げることができません。

煙突を塞ぐ。

排気を逆流させる。

塚原を眠らせる。

複数の条件を重ねて犯行が成立しています。

では、なぜ恭平を使った?

重治は足が悪く、自分で屋上へ上がって煙突を塞ぐことが難しい状態でした。

そこで利用されたのが恭平です。

子どもなら屋上へ上がれる。

しかも、花火のためと言えば疑わない。

重治は、

恭平には殺人だと知らせないまま、犯行に必要な作業だけをさせた。

ことになります。

▶ 『真夏の方程式』なぜ子どもの恭平を事件に巻き込んだ?犯人の計画を解説

事件後に煙突を元へ戻せば再現できない

ここがトリックの重要なポイントです。

煙突を塞いでいる段ボールを事件後に取り除けば、煙突は元の状態へ戻ります。

そのため警察が後から、

「同じようにボイラーを動かしてみよう」

と再現しても、一酸化炭素濃度が上がりません。

つまり、

事件当夜だけ存在した条件が消えている。

のです。

湯川はなぜ煙突に気づいた?

湯川が気にしたのは恭平の行動です。

恭平が屋上にある煙突のことを知っている。

しかし下から簡単に見える場所ではない。

ならば、

恭平は以前、屋上へ上がったことがある。

と考えられます。

そこから花火の夜へつながり、煙突が塞がれていたことに気づきます。

▶ 『真夏の方程式』湯川はいつ事件の真相に気づいた?伏線を時系列で解説

塚原の遺体はなぜ海辺へ移された?

塚原が旅館の部屋で死亡したと分かれば、当然ホテル内部が詳しく調べられます。

そうなればボイラーや煙突まで捜査される可能性があります。

そこで重治は、

塚原が外で転落したように見せる。

ため遺体を移します。

しかし検視によって死因が転落ではないと分かり、事件性が浮かび上がります。

殺害方法を時系列で整理

重治の計画を順番に整理すると、

① 塚原を犯行に適した部屋へ置く

② 塚原が眠った状態を作る

③ 花火を口実に恭平へ屋上へ上がらせる

④ 恭平に煙突を濡れた段ボールで塞がせる

⑤ ボイラーの排気が正常に外へ出なくなる

⑥ 一酸化炭素を含む排気が塚原の部屋へ流れ込む

⑦ 塚原が一酸化炭素中毒で死亡

⑧ 煙突を元に戻す

⑨ 遺体を外へ移し、転落事故に見せかける

という流れです。

恭平は「殺した人」ではない

物理的な仕掛けだけを見ると、恭平が煙突を塞いだことで一酸化炭素中毒が成立しています。

しかし、

恭平は人を殺す意図も、犯罪へ協力している認識もありません。

殺害を計画したのは重治。

恭平は利用された側です。

この違いが作品のラストでは非常に重要になります。

ここからは考察|トリックより「子どもを利用したこと」が本当の恐ろしさ

ガリレオシリーズらしく科学的なトリックがあります。

しかし『真夏の方程式』が重い作品なのは、トリックそのものより、

何も知らない少年を殺人計画へ利用したこと。

にあります。

恭平は将来、自分のしたことへ気づくかもしれない。

そのとき何を感じるのか。

湯川が最も心配したのも、そこでした。

まとめ|煙突を塞いで排気を逆流させる計画だった

塚原の殺害方法を整理すると、

死因は一酸化炭素中毒。

犯行を計画したのは川畑重治。

煙突を塞いだのは、何も知らない恭平。

です。

重治は花火を口実に恭平へ煙突を塞がせ、ボイラーの排気が正常に外へ出ない状態を作ります。

その結果、一酸化炭素を含む排気が塚原のいる部屋へ入り、塚原は死亡。

事件後に煙突を元へ戻したため、警察の再現実験では同じ現象が起きませんでした。

そして湯川は、

「事件当夜だけ何が違ったのか」

という疑問から真相へ到達します。


関連記事

▶ 『真夏の方程式』恭平は何をさせられた?花火と事件の仕掛けを解説

▶ 『真夏の方程式』湯川はいつ事件の真相に気づいた?伏線を時系列で解説

▶ 『真夏の方程式』伏線まとめ|花火・ボイラー・海・塚原の行動は何を意味していた?


『真夏の方程式』を原作でも読みたい方へ

殺害トリックや湯川が真相へ到達する過程をさらに細かく読みたい方は、原作小説『真夏の方程式』もおすすめです。

¥902 (2026/09/12 23:16時点 | Amazon調べ)

ガリレオシリーズの新刊『永遠の記憶』もチェック

湯川学の推理をもっと楽しみたい方は、ガリレオシリーズの新刊『永遠の記憶』もあわせてチェックしてみてください。