『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ロッキーの母星エリドはなぜ危機だった?地球との共通点を解説
※この記事には映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のロッキーとエリドに関するネタバレがあります。
ロッキーが遠いタウ・セチまでやって来た理由。
それは、単なる宇宙探査ではありません。
故郷エリドが滅亡の危機にあったから。
しかもエリドで起きていた問題は、地球と驚くほどよく似ています。
結論|エリドの恒星もアストロファージにエネルギーを奪われていた
ロッキーの母星エリドが危機に陥った原因は、
地球と同じアストロファージ。
です。
エリドが公転する恒星40エリダニAにもアストロファージが増殖。
恒星から得られるエネルギーが減少していました。
つまり地球と同じ「恒星減光問題」
地球では太陽が暗くなる。
エリドでは40エリダニAが暗くなる。
違う恒星系にある二つの文明が、
まったく同じ宇宙生命体によって存亡の危機に立たされた
ことになります。
ロッキーたちもアストロファージの原因を調べた
エリド人も高度な文明を持っています。
恒星が暗くなっていることへ気づき、原因を分析します。
そしてアストロファージの存在へたどり着きます。
エリド人もタウ・セチだけ無事だと気づいた
地球人と同じように、エリド人も周辺の恒星を観測します。
すると、
タウ・セチだけが大きく減光していない。
という事実へたどり着きます。
だからロッキーの船もタウ・セチへ向かった
人類のヘイル・メアリー号とほぼ同じ発想です。
タウ・セチにアストロファージ問題を解決する何かがある。
その答えを探すため、エリド側も星間宇宙船を送り出します。
地球とエリドは互いの存在を知らなかった
ここが非常に面白いところです。
地球人がエリドを助けようとして出発したわけではない。
エリド人が地球を助けようとして出発したわけでもない。
互いの文明を知らずに、
同じ科学的推論によって同じ恒星へ向かった。
そこでグレースとロッキーが出会う
二つの文明から来た最後の生存者。
それがグレースとロッキーです。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ロッキーとは何者?正体・種族・故郷エリドを解説
エリドは地球と同じように寒冷化する?
恒星のエネルギーが減れば、惑星へ届く熱も減ります。
そのため最終的にはエリドも寒冷化し、生態系や文明が維持できなくなる危険があります。
ただしエリドは地球より時間的余裕があった
エリドの環境は地球とは大きく異なります。
特に、
非常に高温・高圧の大気。
を持っています。
エリドの大気圧は地球よりはるかに高い
原作設定では、エリドの大気圧は約28〜29気圧。
人間がそのまま生存できる環境ではありません。
温度も非常に高い
エリド人の生存温度は人間とは大きく違います。
ロッキーにとって、人間が快適だと感じる温度は極端に寒い環境です。
その熱容量が危機を遅らせた
高密度の大気は大量の熱を蓄えています。
恒星から来るエネルギーが減っても、
地球より急激には冷えにくい。
そのためエリド文明には地球より長い猶予がありました。
だからロッキーはタウ・セチで長期間活動できた
ロッキーはグレースよりかなり前からタウ・セチ系に到着しています。
エリド側には地球より時間的余裕があったことも背景にあります。
それでも永遠に安全ではない
大気が熱を蓄えているからといって、恒星が弱まり続けても平気という意味ではありません。
放置すれば最終的にはエリドも冷え、生命が維持できなくなります。
エリド側の宇宙船には大勢が乗っていた
ロッキーは単独ミッションではありませんでした。
原作では、
23人のエリド人
が宇宙船へ乗っています。
なぜロッキー一人になった?
エリド人には、人類が知っていたある重要な宇宙科学の知識がありませんでした。
それが、
宇宙放射線への対策。
エリド人は放射線の危険を十分理解していなかった
エリドの厚い大気は、母星上では宇宙放射線から生物を守ります。
そのためエリド文明は、地球人ほど宇宙放射線の危険を経験していません。
宇宙船ではその防護がなくなる
星間宇宙空間へ出ると、母星の厚い大気はありません。
その結果、ロッキー以外の乗組員は放射線障害によって死亡していきます。
なぜロッキーだけ生き残った?
ロッキーが特別に放射線へ耐えられたというより、乗組員が順番に亡くなり、最終的に一人だけ残ったという状況です。
グレースと出会う時には、ロッキーも孤独な生存者になっています。
地球とエリドは得意な科学が違う
エリド人は非常に優秀な工学技術を持っています。
一方、人類が知っている、
相対性理論。
宇宙放射線。
などの知識に不足があります。
逆に人類はエリドの材料技術を持っていない
エリド人が作るゼノナイト。
ロッキーの驚異的な製造技術。
これは人類にはありません。
▶ ロッキーはどうやって宇宙船を作った?エリド人の科学技術と人類との違いを解説
だから二つの文明が協力すると強い
人類が知っていることをエリド人は知らない。
エリド人ができることを人類はできない。
グレースとロッキーは、その違いを補い合います。
タウメーバを発見してエリドにも希望が生まれる
最終的に二人は、アストロファージを食べるタウメーバを発見。
これによって、地球とエリドの両方に解決策が生まれます。
しかしロッキーが帰れなければエリドは救えない
タウメーバを見つけただけでは意味がありません。
エリドへ届ける必要があります。
そのため終盤のロッキー遭難は、
一人の命だけでなく文明全体の危機
になります。
グレースが救出し、エリドへ向かう
グレースはロッキーを助けます。
そして自分もエリドへ。
その結果、エリドにもタウメーバが届きます。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ロッキーは最後どうなった?エリド星を救えたのか解説
地球とエリドは「同じ問題を別々の科学で解いていた」
ここからは考察です。
本作で面白いのは、エリド人を「人類より進んだ完璧な宇宙文明」として描いていない点です。
どちらにも知っていることと知らないことがあります。
文明の進歩は一本道ではない
別の惑星。
別の環境。
別の歴史。
なら、科学技術も同じ順番では発展しません。
だから出会った時に、お互いが驚く知識を持っています。
まとめ|エリドも地球と同じアストロファージ危機にあった
ロッキーの母星エリドが危機だった理由は、
40エリダニAにもアストロファージが増え、恒星のエネルギーが失われていたから。
です。
地球とエリドは、
恒星が暗くなる。
このままでは惑星が寒冷化する。
タウ・セチだけが無事。
解決策を求めて星間宇宙船を送る。
という、ほぼ同じ状況にありました。
ただしエリドには高温・高圧の厚い大気があり、地球より熱を多く蓄えていたため、時間的な余裕には違いがありました。
互いの存在を知らなかった二つの文明が、
同じ危機を科学的に考えた結果、同じタウ・セチで出会う。
そこから『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の本当の共同ミッションが始まります。
エリドとロッキーの設定を原作で読みたい方へ
エリドの高温・高圧環境やエリド人の生態、ロッキーの宇宙船がタウ・セチへ来た経緯は原作でより細かく説明されています。
