※この記事には映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のロッキーとエリド文明の科学技術についてネタバレがあります。

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』で驚かされるのが、ロッキーの工作能力です。

異星人と出会ったというだけでも大事件なのに、ロッキーは、

宇宙船を修理する。

通路を作る。

密閉容器を作る。

必要な部品をその場で加工する。

と、驚異的な技術を見せます。

エリド文明は人類より進んでいるのでしょうか。

結論|エリド人は材料工学・機械工学に非常に強いが、すべての科学で人類より進んでいるわけではない

ロッキーたちエリド人は、

材料を作る技術。

機械を組み立てる技術。

高圧環境で使える構造物を作る技術。

に非常に優れています。

その象徴が、

ゼノナイト。

です。

しかし理論物理などでは、人類が知っていてエリド人が知らない知識もあります。

ロッキーの宇宙船「ブリップA」

グレースがタウ・セチで発見する異星宇宙船。

レーダー表示から、グレースは便宜的にブリップAと呼びます。

この船はエリド文明によって建造されています。

エリド人もアストロファージを燃料にしている

地球とエリドは互いを知らないまま、

アストロファージをエネルギー源として星間宇宙船を作る

という同じ技術へ到達しています。

アストロファージの高密度エネルギーを利用

アストロファージは大量のエネルギーを内部へ蓄えられます。

その性質を利用すれば、従来の燃料では難しかった星間航行が可能になります。

では地球の宇宙船と同じ?

全然違います。

同じアストロファージを使っていても、船体の作り方や技術思想は大きく違います。

最大の違いがゼノナイト

ロッキーが頻繁に使うのが、

ゼノナイト

と呼ばれるエリドの特殊素材です。

ゼノナイトはどんな素材?

非常に強く、気密性にも優れ、用途に応じてさまざまな形や性質へ加工できます。

透明なものまで作れます。

ロッキーはゼノナイトをその場で加工する

グレースと初めて接触する時にも、二隻の船をつなぐ構造を作ります。

しかも、

地球側とエリド側では大気も温度も圧力もまったく違う。

その二つを安全に隔離したまま接続します。

なぜ直接同じ部屋に入れない?

グレースは酸素を含む地球型大気で生きます。

ロッキーは高温・高圧のアンモニア環境で生きます。

お互いの環境は、相手にとって危険です。

だから二つの環境を隔てる壁が必要

ロッキーは、グレースと物を交換し、互いを見ることもできる接続通路を作ります。

ここでもゼノナイトが活躍します。

グレースが透明素材を欲しがる理由がロッキーには最初分からない

ロッキーには目がありません。

音で周囲を認識します。

だから、

「透明だから向こうが見える」

という人類の感覚がありません。

科学技術は生物の感覚にも左右される

エリド人は色や透明度を気にしません。

人間は視覚を重視する。

同じ材料を作る技術でも、使い方が違います。

ロッキーの工作能力は非常に高い

グレースが設計の相談をすると、ロッキーは短時間で構造を理解。

必要なものを次々に作ります。

ロッキーは船のエンジニア

ロッキーはエリド船の乗組員の中でも、

機械・構造物を扱う技術者。

そのため「エリド人なら全員ロッキーと同じ速さで何でも作れる」とは限りません。

人類より科学が何百年も進んでいる?

単純には言えません。

エリド人には、人類より圧倒的に優れている技術があります。

一方で、人類では基本的な知識になっていることを知らない場合もあります。

代表例が相対性理論

ロッキーたちは、光速に近い速度で移動した時に起きる時間のずれを十分理解していません。

そのため宇宙航行に必要な燃料計算にも、人類とは違いが生まれています。

ロッキーの船には燃料が大量に余っていた

相対論的効果を正確に計算していなかったことなどから、エリド船は非常に大きな余裕を持って燃料を積んでいます。

この大量のアストロファージが後にグレースにも役立ちます。

宇宙放射線も知らなかった

エリド人の母星は非常に厚い大気に守られています。

そのため宇宙放射線に関する知識が、人類ほど発達していませんでした。

それが乗組員の死につながった

ブリップAは放射線防護が不十分。

星間航行中に乗組員が次々と死亡し、ロッキーだけが残ります。

人類は逆にゼノナイトを知らない

人類には相対性理論がある。

宇宙放射線も知っている。

しかしゼノナイトは作れません。

どちらが上ではなく、発展した分野が違う

ここが本作の重要な設定です。

地球文明とエリド文明は、

科学技術の進化が違う枝へ伸びている。

そのため出会った時に、お互いが先生にも生徒にもなれます。

グレースが理論を出し、ロッキーが作る

二人の共同作業では、

グレースが科学的な仮説や実験を考える。

ロッキーが必要な装置を作る。

という役割分担が頻繁に生まれます。

これがタウメーバ発見にもつながる

アドリアンからサンプルを採取する際にも、ロッキーの材料技術と工作能力が重要になります。

一文明だけでは難しかった問題を二人で解きます。

ゼノナイトにも弱点があった

あまりにも便利なゼノナイト。

しかし終盤では、進化したタウメーバが、

ゼノナイトを通り抜ける

という予想外の問題が起きます。

万能素材でも生物の進化には勝てなかった

ロッキーの船も燃料タンクもゼノナイト。

そこへタウメーバが侵入。

燃料のアストロファージを食べてしまいます。

ロッキーの最高技術が逆に弱点になる

エリドでは、

「強い・加工しやすい・密閉できる」

ゼノナイトを多用します。

しかしその依存度が高かったため、タウメーバの進化が船全体の危機になります。

科学に「絶対」はないという展開

ここからは考察です。

ゼノナイトは人類から見れば夢の素材です。

でも新しい生物が現れれば、その常識も崩れます。

本作では、

優れた技術でも未知の条件には失敗する

ことが繰り返し描かれます。

まとめ|エリド人は「人類より上」ではなく、違う方向に高度な文明

ロッキーたちの技術を整理すると、

アストロファージを使った星間航行ができる。

ゼノナイトという非常に優れた材料を作れる。

ロッキー自身が高度な工作・修理能力を持つ。

一方で、

相対性理論を知らない。

宇宙放射線の危険を十分理解していなかった。

という弱点もあります。

人類は逆に、その理論を知っていてもゼノナイトを作れません。

つまり、

どちらが「より進んだ文明」なのかではなく、違う環境で違う科学が発達した文明同士。

だからグレースとロッキーが知識を交換すると、一気にできることが増えるのです。


ロッキーの技術とゼノナイトを原作で読みたい方へ

二隻の宇宙船を接続する通路や、ゼノナイトを使った装置をロッキーが次々と作っていく場面は、原作ではさらに細かく描かれています。

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