タウメーバとは何?アストロファージを食べる生物と弱点を解説
※この記事には映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』終盤の重要な解決策について重大なネタバレがあります。
地球とエリドを滅亡の危機から救う鍵になる生命体、
タウメーバ。
巨大な生物でも、宇宙兵器でもありません。
非常に小さな生命体ですが、
アストロファージを食べる
という決定的な性質を持っています。
ではタウメーバとは何なのでしょうか。
結論|タウメーバはアストロファージを捕食する微生物
タウメーバは、
タウ・セチ系で発見された微小な生命体。
です。
最大の特徴は、
アストロファージを食料として捕食すること。
これによって、アストロファージの数を減らせます。
なぜ「タウメーバ」という名前?
名前は、
タウ・セチ
と
アメーバ
を組み合わせた呼び名です。
グレースが便宜的に付けた名称です。
タウメーバはどこにいた?
グレースとロッキーがアドリアンと呼ぶ、タウ・セチ系の惑星の大気中です。
タウ・セチだけ減光が小さい理由を調べる中で発見します。
どうやって見つけた?
グレースとロッキーは、アドリアンの大気からサンプルを採取します。
非常に危険な作業ですが、その中に未知の生命体が含まれていました。
実験したらアストロファージが消えた
グレースがタウメーバとアストロファージを同じ環境へ入れると、
タウメーバがアストロファージを捕食します。
ここで、タウ・セチが無事だった理由が判明します。
アストロファージにも天敵がいた
太陽系ではアストロファージだけが爆発的に増えています。
ところがタウ・セチ系では、
タウメーバが増えすぎたアストロファージを食べる。
捕食者と被食者の関係ができていました。
これを太陽系へ持っていけば地球を救える
人類が必要なのは、太陽周辺のアストロファージを減らす方法。
タウメーバを利用できれば、自然にアストロファージを食べてもらえます。
しかし天然のタウメーバには重大な弱点があった
それが、
窒素。
です。
タウメーバは少量の窒素でも死んでしまいます。
地球の大気は窒素だらけなのに大丈夫?
地球の大気は約78%が窒素です。
しかしタウメーバを地上へ放つわけではありません。
問題は、アストロファージが繁殖する環境までタウメーバが到達できるかどうかです。
金星環境にも窒素がある
アストロファージは太陽と金星の間を移動して増殖します。
そのためタウメーバも、アストロファージが活動する環境へ適応しなければなりません。
ロッキーの故郷でも問題になる
エリド側でも、天然のタウメーバをそのまま使うだけでは条件が合いません。
だから、
二つの文明それぞれに使えるタウメーバを育てる必要
があります。
グレースはタウメーバを進化させる
グレースは、窒素濃度を少しずつ上げた環境でタウメーバを育てます。
生き残った個体を選ぶ。
さらに高い濃度へ移す。
これを繰り返します。
突然遺伝子改造したわけではない
映画を見ると短時間で変化したように見えるかもしれません。
基本的な考え方は、
変異した個体の中から条件に強いものを選択し、世代を重ねる。
という選択育種に近い方法です。
そして窒素へ耐えられる系統ができる
実験の結果、グレースたちは目的とする環境でも生きられるタウメーバを得ます。
これで地球とエリドの両方を救える可能性が生まれます。
ところが進化には予想外の副作用があった
ここが終盤の大きなポイントです。
窒素耐性を持つよう育てたタウメーバの一部は、
ゼノナイトを通過できる
という予想外の性質まで獲得します。
ゼノナイトとはロッキーたちの万能素材
エリド人が宇宙船や容器などに使っている非常に優れた素材です。
ロッキーはゼノナイトを自在に加工します。
▶ ロッキーはどうやって宇宙船を作った?エリド人の科学技術と人類との違いを解説
ゼノナイトを通ると何がまずい?
ロッキーの宇宙船は、重要な部分までゼノナイトで作られています。
そして燃料はアストロファージ。
タウメーバが燃料タンクへ入れば?
当然、
アストロファージを食べます。
つまり宇宙船の燃料を食べ尽くしてしまいます。
地球を救う生物がロッキーを殺しかける
タウメーバは人類とエリドを救う希望。
ところが進化させた結果、ロッキーの宇宙船にとっては致命的な存在になります。
グレースは後から危険に気づく
ロッキーと別れてから、グレースはタウメーバがゼノナイトを通り抜けられることを実験で確認します。
そして、
「ロッキーの船にも同じタウメーバがいる」
と気づきます。
ロッキーの燃料はすでに食べられている可能性がある
このままではロッキーはエリドへ帰れません。
グレースは地球へ帰るか、ロッキーを救うかの選択を迫られます。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』グレースはなぜロッキーを助けに戻った?最後の決断を考察
タウメーバは危険な生物なの?
人間を襲うような意味で危険なのではありません。
アストロファージを食べる。
それがタウメーバの生態です。
ただし、
宇宙船の燃料もアストロファージだった。
そのため問題になります。
生物を利用する難しさが描かれている
ここからは考察です。
機械なら、設計通りに動けば基本的には性質が変わりません。
しかし生物は、
繁殖し、変異し、進化します。
人間が一つの性質だけ選んでも、別の変化まで起こる
グレースが欲しかったのは窒素耐性。
しかし進化したタウメーバは、ゼノナイトを通る性質まで得ます。
それはグレースの想定外です。
「科学で解決したら終わり」ではない
問題を解く。
その解決策が新しい問題を生む。
また実験して修正する。
これも本作で繰り返される科学の描き方です。
最終的にタウメーバは地球を救った?
救います。
グレースが地球へ送ったタウメーバが利用され、太陽の状態は回復します。
エリドも救われる
グレースがロッキーを救ってエリドへ到着するため、エリド側にも解決策が届きます。
まとめ|タウメーバは救世主だが、進化する生物だから完全には制御できない
タウメーバは、
タウ・セチ系で発見された微生物。
アストロファージを捕食する。
天然個体は窒素に弱い。
グレースたちが窒素耐性を持つ系統を育てる。
その一部がゼノナイトを通過する能力まで獲得する。
という生命体です。
地球とエリドを救う最大の切り札である一方、ロッキーの船の燃料まで食べてしまう危険を生みます。
つまりタウメーバは、
「完璧な万能薬」ではなく、扱いを間違えれば新しい問題を生む生き物。
だからこそ、最後までグレースの科学的判断が必要になるのです。
タウメーバの発見と実験を原作で読みたい方へ
窒素耐性を持つタウメーバを育て、さらにゼノナイトを通過する性質へ気づくまでの実験は原作下巻で詳しく描かれています。
