※この記事では、映画『タイタニック』に登場する老夫婦と、実在したイジドー・ストラウス夫妻について解説します。

映画『タイタニック』の沈没シーンに、ほんの数秒だけ映る老夫婦がいます。

船室のベッドに横たわり、互いを抱きしめる2人。

周囲へ海水が入り始めても、離れません。

台詞もほとんどありませんが、非常に印象に残る場面です。

実はこの夫婦には、

実在したモデルがいます。

百貨店メイシーズの共同経営者だったイジドー・ストラウスと妻アイダ・ストラウスです。

結論|老夫婦は実在。ただし「ベッドで亡くなった」は映画の演出

イジドーとアイダ・ストラウスは実際にタイタニック号へ乗っていました。

そして2人とも沈没事故で亡くなりました。

さらに、

アイダが夫だけを船に残して救命ボートへ乗ることを拒んだ

というエピソードも複数の証言で知られています。

ただし、映画のように、

2人が船室のベッドで抱き合ったまま最期を迎えた

と確認されているわけではありません。

イジドー・ストラウスとは?

イジドー・ストラウスは、アメリカの実業家。

弟ネイサンとともにニューヨークの百貨店メイシーズの経営に関わった人物です。

アメリカ政界でも活動した経験がある著名人でした。

妻アイダとは長年連れ添った夫婦

妻アイダとは長い結婚生活を送っていました。

事故当時、2人は60代。

子供たちも成人し、長年夫婦として人生をともにしてきた時期です。

タイタニック号には一等船客として乗船していました。

アイダには救命ボートへ乗る機会があった

沈没が進む中、アイダには救命ボートへ乗る機会がありました。

女性であるアイダは優先的に避難できます。

さらに、高齢だったイジドーにも同乗を許可しようという申し出があったと伝えられています。

イジドーは特別扱いを断った

しかしイジドーは、

ほかの男性が残っているのに、自分だけ特別扱いを受けることはできない

という趣旨で乗船を断ったとされています。

彼は船に残る道を選びます。

アイダは夫を置いていかなかった

そこでアイダも救命ボートへ乗ることを拒みます。

生存者の証言では、アイダは、

長年一緒に生きてきたのだから、夫と離れない

という意思を示しました。

そして2人は船上に残ります。

映画の「抱き合う老夫婦」はこの逸話を象徴している

ジェームズ・キャメロン監督は、この夫婦の逸話を非常に短い映像へ凝縮しています。

ベッドの上で互いを抱きしめる老夫婦。

説明はありません。

しかし、

「最後まで一緒にいる」

という史実の核心が、一瞬で伝わる場面です。

実際にはどこで最期を迎えた?

正確には分かっていません。

夫妻が最後に船上で目撃されたという証言はいくつかあります。

デッキチェアに座っていたという伝承もあります。

しかし、最期の瞬間を完全に確認できる資料はありません。

したがって、ベッドで抱き合う描写は映画独自の演出です。

アイダの遺体は見つかった?

アイダの遺体は確認されませんでした。

一方、イジドーの遺体は事故後に回収されています。

夫妻が同じ場所で亡くなったとしても、沈没後の海流や状況によって遺体の行方は異なりました。

なぜ映画でこの夫婦が描かれた?

タイタニック号には多数の実在人物が乗っていました。

ストラウス夫妻はその中でも、

夫婦愛を象徴する存在

として早くから広く知られました。

ジャックとローズという架空の恋人だけでなく、実際にも大切な人と別れないことを選んだ夫婦がいた。

この事実を入れることで、映画の恋愛テーマと史実が重なります。

ジャックとローズとの対比にもなっている

ジャックとローズは出会って数日。

ストラウス夫妻は何十年も連れ添った夫婦。

年齢も関係もまったく違います。

それでも、

「最後に愛する人と離れない」

という一点でつながっています。

映画ではほかにも実在人物が登場する

ストラウス夫妻だけではありません。

スミス船長。

トーマス・アンドリュース。

ブルース・イズメイ。

モリー・ブラウン。

楽団員たち。

映画には実在人物が多数登場します。

▶ 映画『タイタニック』はどこまで実話?実際の沈没事故との違いを比較

まとめ|「一緒に死んだ夫婦」は実話、ベッドの場面は映画表現

『タイタニック』の老夫婦には、実在モデルがいます。

イジドー・ストラウス。

アイダ・ストラウス。

アイダには救命ボートへ乗る機会がありました。

しかし、夫を置いていくことを拒みます。

2人はタイタニック号に残り、ともに亡くなりました。

ただし、

ベッドで抱き合って亡くなったことまでが史実ではありません。

映画は、実際の夫婦の選択を一枚の美しい映像へ置き換えたのです。


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『タイタニック』をもう一度じっくり観たい方へ

老夫婦が実在したことを知ってから見ると、数秒しかないベッドの場面が映画の中でも特に重いシーンに変わります。