『スパイダーマン:ホームカミング』はなぜクモに噛まれる場面から始めなかった?MCU版がオリジンを省いた理由
『スパイダーマン:ホームカミング』を初めて見たとき、
「あれ?クモに噛まれるところは?」
と思った方も多いのではないでしょうか。
2002年のトビー・マグワイア版『スパイダーマン』でも、2012年のアンドリュー・ガーフィールド版『アメイジング・スパイダーマン』でも、ピーターがクモに噛まれて能力を手に入れる場面はしっかり描かれていました。
ところがトム・ホランド版では、『ホームカミング』が始まった時点ですでにピーターはスパイダーマンです。
これは説明不足だったわけではありません。
MCU版では、あえて従来のオリジンを繰り返さない方針が取られていたのです。
この記事では、『ホームカミング』がなぜクモに噛まれる場面を省いたのか、監督ジョン・ワッツやマーベル・スタジオ側の発言をもとに整理します。
※この記事は『スパイダーマン:ホームカミング』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』などの内容に触れています。
- 結論|観客がすでにスパイダーマンの誕生を知っていると考えたから
- トビー版ではクモに噛まれるところから描いていた
- アンドリュー版でも再びオリジンを描いた
- ジョン・ワッツ監督は「見たことのないもの」を描こうとした
- MCU版ピーターもクモに噛まれているの?
- 『シビル・ウォー』ですでにスパイダーマンだった
- ではベンおじさんは存在しないの?
- MCU版ではアイアンマンが大きな役割を持つ
- 『ホームカミング』は本当にオリジン・ストーリーではない?
- トビー版・アンドリュー版・トム版では始まり方が違う
- クモに噛まれる場面を省いたことは成功だった?
- まとめ|クモに噛まれる場面を省いたのは意図的だった
- 歴代『スパイダーマン』シリーズを見返したい方へ
結論|観客がすでにスパイダーマンの誕生を知っていると考えたから
『ホームカミング』でクモに噛まれる場面を描かなかった最大の理由は、非常にシンプルです。
「そのオリジンは過去の映画ですでに何度も描かれているから」です。
監督のジョン・ワッツは2017年のインタビューで、『ホームカミング』も広い意味ではオリジン・ストーリーだとしながら、
「ベンおじさんが死ぬ場面も、クモに噛まれる場面も描かない。しかし、ピーターはまだヒーローになる方法を学んでいる」
という趣旨の説明をしています。
つまりMCU版は、
「能力を手に入れるまで」ではなく、「能力を持った少年が本当のヒーローになるまで」
を新しいオリジンとして描いたわけです。
トビー版ではクモに噛まれるところから描いていた
2002年公開のサム・ライミ監督『スパイダーマン』では、ピーター・パーカーが特殊なクモに噛まれ、身体能力や壁に張り付く能力などを身につける過程が物語の重要な部分として描かれています。
そしてベンおじさんの死を経験し、ピーターが自分の力と責任について考えるようになります。
当時は実写スパイダーマンの本格的な映画シリーズが始まる段階だったため、
「ピーター・パーカーとは誰なのか」
「なぜスパイダーマンになったのか」
を最初から説明する必要がありました。
アンドリュー版でも再びオリジンを描いた
2012年の『アメイジング・スパイダーマン』ではシリーズが再スタートし、ピーター役もアンドリュー・ガーフィールドへ変更されました。
そのため、ここでも再びクモに噛まれるところから物語が描かれます。
つまり映画館の観客は、
2002年に一度見たスパイダーマン誕生を、2012年にもう一度見ていることになります。
そしてわずか数年後、今度はトム・ホランド版が登場しました。
制作側からすれば、さらにもう一度同じオリジンを最初から描けば、観客に「またこの話?」と思われる可能性がありました。
ジョン・ワッツ監督は「見たことのないもの」を描こうとした
ジョン・ワッツ監督は後年、『ホームカミング』制作時について、当時は「なぜまたスパイダーマン映画を作るのか」と言われていたと振り返っています。
そこで重視したのが、以前の映画で見たことのないスパイダーマンを見せることでした。
従来の映画ですでに描かれていた、
- クモに噛まれる
- 能力に驚く
- ベンおじさんを失う
- スパイダーマンとして活動を始める
という流れを繰り返すのではなく、MCUという新しい世界だからこそできる物語に重点を置いたのです。
MCU版ピーターもクモに噛まれているの?
ここは少し分かりにくいところです。
映画では実際に噛まれる場面は描かれていませんが、MCU版ピーターもクモによって能力を得た設定であることが示されています。
『ホームカミング』では、ピーターの能力に興味津々のネッドがクモについて質問する場面があります。
ケヴィン・ファイギも当時のインタビューで、観客が「ピーターはクモに噛まれた」という基本設定を知っていることは前提にできると説明しています。
ただし映画では、
- どこで噛まれたのか
- どんなクモだったのか
- 誰がそのクモを作ったのか
- 能力を得た直後に何が起きたのか
といった詳しい経緯は描かれていません。
『シビル・ウォー』ですでにスパイダーマンだった
そもそもトム・ホランド版スパイダーマンが初めて登場した作品は、『ホームカミング』ではありません。
2016年の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』です。
トニー・スタークがクイーンズに暮らすピーターを訪ねた時点で、ピーターはすでに自作のウェブ・シューターを使ってスパイダーマンとして活動しています。
つまりMCUでは、ピーターの物語を
「誕生」からではなく「活動を始めた直後」から見せる
という構成になっているのです。
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ではベンおじさんは存在しないの?
クモに噛まれる場面と同じく、『ホームカミング』ではベンおじさんの死も描かれません。
そのため、
「MCU版にはベンおじさん自体がいないのでは?」
という疑問も生まれました。
しかしジョン・ワッツ監督は後に、MCU版にもベンおじさんは存在していたと説明しています。
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』では、ピーターが使うスーツケースに「BFP」というイニシャルも確認できます。
一方でMCUでは、ベンおじさんの物語をあえて詳しく再現せず、ピーターが経験した過去として背景に置いています。
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MCU版ではアイアンマンが大きな役割を持つ
従来のオリジンを省いたことで、『ホームカミング』ではその分、トニー・スタークとの関係が大きく描かれるようになりました。
『シビル・ウォー』でピーターを見つけたのもトニーです。
新しいスパイダーマン・スーツを与えたのもトニー。
そしてピーター自身も、アベンジャーズの一員として認めてもらいたいと強く思っています。
ジョン・ワッツ監督はトニーについて、ピーターに対する「消極的な師匠」のような存在として考えていたと話しています。
この関係こそ、トビー版やアンドリュー版にはないMCU版最大の特徴のひとつです。
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『ホームカミング』は本当にオリジン・ストーリーではない?
表面的に見れば、『ホームカミング』は典型的なスパイダーマン誕生物語ではありません。
しかしジョン・ワッツ監督は、別の意味ではオリジン・ストーリーだと考えていました。
映画の序盤のピーターは、
- アベンジャーズに入りたい
- トニーに認めてもらいたい
- 派手な事件を解決したい
- 自分はもっと大きなことができると思っている
という少年です。
しかし物語が進むにつれて、特別なスーツがなくても自分の力で人を助けなければならないことを学んでいきます。
その意味では、
「ピーターが能力を手に入れる物語」ではなく、「ピーターがスパイダーマンになる物語」
と言えるでしょう。
トビー版・アンドリュー版・トム版では始まり方が違う
3人の実写スパイダーマンを比べると、オリジンの扱いにも大きな違いがあります。
トビー版は、能力を得てヒーローになるまでを最初から描く。
アンドリュー版も、新しい世界のピーターとして改めてオリジンを描く。
トム版は、観客が知っているオリジンを省略し、すでに活動中のピーターから始める。
この違いを理解すると、MCU版が単に説明を飛ばしたのではなく、過去作との差別化を意識した構成だったことが分かります。
▶ トビー版・アンドリュー版・トム版スパイダーマンは何が違う?能力・性格・世界観を比較
クモに噛まれる場面を省いたことは成功だった?
これは好みが分かれるところですが、MCU版の特徴を作るうえではかなり重要な選択だったと考えられます。
もし『ホームカミング』でもクモに噛まれ、ベンおじさんを失い、能力を試し、スーツを作るところまで最初から描いていたら、過去2シリーズとの重複が非常に多くなります。
そこを省略したことで、
- 高校生活
- アベンジャーズが存在する世界
- トニー・スタークとの師弟関係
- 若いピーターならではの未熟さ
に時間を使うことができました。
「また同じスパイダーマン」ではなく、MCUだからこそ成立するスパイダーマンを最初から見せたかったのでしょう。
まとめ|クモに噛まれる場面を省いたのは意図的だった
『スパイダーマン:ホームカミング』で、ピーターがクモに噛まれる場面が描かれなかったのは、設定を忘れていたからではありません。
トビー版とアンドリュー版ですでにオリジンが描かれていたため、同じ展開を繰り返さないという意図的な選択でした。
MCU版では能力を得る瞬間ではなく、すでに能力を持つ高校生ピーターが、失敗を重ねながら本当の意味でスパイダーマンになっていく過程を描いています。
そのため『ホームカミング』は、従来とは形の違う「新しいスパイダーマンのオリジン・ストーリー」と見ることもできます。
▶ 映画『スパイダーマン』見る順番は?実写8作品とMCUの時系列を整理
歴代『スパイダーマン』シリーズを見返したい方へ
『スパイダーマン』は、トビー・マグワイア版、アンドリュー・ガーフィールド版、トム・ホランド版と、それぞれ違ったピーター・パーカーの物語が描かれてきました。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』をはじめ、シリーズ同士のつながりを理解するには、過去作を見返しておくと人物関係や小ネタもより分かりやすくなります。
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