※この記事にはNetflixシリーズ『ガス人間』最終回までのネタバレがあります。

『ガス人間』を最後まで見たあと、第1話を見返すと非常に気になる場面があります。

甲野京子(蒼井優)は、ブンコラーメンについて取材しながら、まるで初めてその場所を知ったように振る舞っています。

ところが第5話では、

幼い京子がブンコラーメンで堤田蓮(UTA)と出会っていた

ことが明らかになります。

つまり京子は、店の存在も、蓮との思い出も最初から知っていました。

では、なぜわざわざ取材で初めて知ったような行動をしたのでしょうか。

結論から言うと、

自分と蓮の関係を隠し、「事件を追うだけの記者」に見せるためだった可能性が最も高いです。

ただし、この理由を京子本人が明言する場面はありません。

ここからは本編の描写をもとにした考察になります。

京子はブンコラーメンを昔から知っていた

第5話では、27年前の京子の過去が描かれます。

ホワイトセンターから逃げた京子は、東京へたどり着きます。

そしてブンコラーメンで蓮に救われました。

蓮は京子にラーメンを食べさせ、居場所を与えます。

つまりブンコラーメンは、京子にとってただのラーメン店ではありません。

人生を変えた場所です。

第1話のインタビュー場所も旧ブンコラーメン

第1話では、京子がガス人間へインタビューする場所として旧ブンコラーメンが使われます。

初見では、

「なぜガス人間がこの店を指定したのだろう?」

と思う場面です。

しかし第5話まで見ると、答えが見えてきます。

そこは京子と蓮の思い出の場所でした。

ガス人間の仕草にも伏線があった

第1話のインタビュー中、ガス人間は手元の石で遊ぶような仕草をします。

この仕草は、第5話で人間だった頃の蓮が幼い京子と遊んだ場面につながっています。

シネマトゥデイのトリビア記事でも、この石遊びが過去の思い出を反映した伏線だと紹介されています。

つまり旧ブンコラーメンには、最初から京子と蓮の過去が埋め込まれていました。

店主も京子を見て「会ったことがある」と感じている

もう一つ重要な伏線があります。

ブンコラーメンの店主は、京子を見て「どこかで会ったことがある」という反応をします。

実はその店主も、幼い京子がブンコラーメンにいた頃、その場にいた少年でした。

これも公式トリビアとして紹介されています。

つまり店主側も、無意識に京子へ過去の記憶を感じていたわけです。

それでも京子は「知っています」と言わない

普通なら、ここで京子が、

「私は昔、この店に来たことがあります」

と言ってもおかしくありません。

しかし言いません。

なぜなら、それを言った瞬間に、

「どうしてガス人間と同じ場所に思い出があるの?」

という疑問が生まれるからです。

京子はガス人間の正体を知らない記者を演じる必要があった

京子は表向き、ガス人間の正体を追う記者です。

しかし実際には、蓮との過去を知っています。

もし旧ブンコラーメンを最初から知っていると認めれば、

  • 京子とガス人間に過去の接点がある
  • 京子が事件について何か隠している
  • 京子が犯行に関係している可能性がある

と疑われる危険があります。

だから京子は、

取材で初めて店の情報へたどり着いたように見せる必要があった

と考えられます。

これは「アリバイ作り」に近い

京子の行動を整理すると、

最初から答えを知っている。

でも、いきなり答えへ行けば不自然。

そこで取材という手順を踏む。

「調べた結果、たどり着いた」という形を作る。

という流れになります。

言い換えるなら、

「知っていた情報の出どころを作る」

ための行動です。

京子は記者だからこそ、この偽装ができた

京子は報道記者です。

取材する。

関係者へ聞く。

資料を探す。

現場へ行く。

そうした行動をしても不自然ではありません。

だから自分の記憶から直接たどるのではなく、

「取材で知った」

という形を作るのに非常に都合が良かったとも言えます。

では京子は最初から全部知っていた?

ここは違います。

京子が知っていたのは、

  • 自分の過去
  • ブンコラーメン
  • 蓮との関係
  • 蓮がガス人間になっていること

などです。

一方で、

  • 無風の全貌
  • 現在の権力者たちのつながり
  • 三浦まで続く構造

は物語の中で調査しています。

つまり京子は「全部知っていた黒幕」ではありません。

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京子は賢治にも真実を隠していた

岡本賢治(小栗旬)は京子の元恋人です。

それでも京子は、自分と蓮の過去をすぐには話しません。

これは賢治を信用していないからだけではありません。

自分が復讐に関わっていることを知られれば、ガス人間を止められる可能性があるからです。

第1話から京子の演技を見ると意味が変わる

第5話以降の真相を知ってから第1話を見ると、京子の反応が違って見えます。

ガス人間を見たとき。

ブンコラーメンへ入ったとき。

店主に話しかけられたとき。

すべて、

「知らない人の反応をしている京子」

として見ることができます。

監督も「2周目で見え方が変わる」作りにしている

本作には、最初に見たときには意味が分からず、真相を知ってから見返すと意味が変わる伏線が数多くあります。

ブンコラーメンの店主や石遊びもその一つです。

だから京子の「知らないフリ」も、後半の真相を知った視聴者へ違和感を残すための演出だったと考えられます。

本当に場所を知らなかった可能性は?

一応、別の可能性も考えられます。

京子が知っていたのは27年前の店。

現在の住所や店舗の状況までは知らなかった。

そのため、現在の場所を確認するために取材していた。

という見方です。

ただし旧ブンコラーメンが京子にとって極めて重要な場所であることを考えると、

店そのものを完全に知らなかったというより、自分の知識を隠していたと考える方が自然

です。

この場面は京子の二面性を象徴している

京子は、真実を暴く記者です。

しかし同時に、自分自身については真実を隠しています。

この矛盾が『ガス人間』の京子という人物を象徴しています。

他人の秘密を暴く。

でも自分の秘密は隠す。

社会の隠蔽を許さない。

でも自分も事件への関与を隠蔽する。

この二面性が、京子を単純な正義の記者にしていません。

最終回では京子自身が秘密を明かす

物語後半で、京子はついに賢治へ自分と蓮の過去を打ち明けます。

第7話公式あらすじでも、京子が蓮や森との関係、自身の過去を賢治へ話すことが明記されています。

つまり、それまで京子が「知らない記者」を演じていた時間が終わる瞬間でもあります。

まとめ

京子がブンコラーメンを取材で初めて知ったように振る舞った理由は、公式には明言されていません。

ただし本編の描写から考えると、

自分と蓮の過去を隠し、「事件を追う記者」という立場を守るため

だった可能性が高いです。

京子はブンコラーメンを知らなかったのではありません。

むしろ知りすぎていた。

だからこそ、知らないフリをする必要があった。

そう考えると、第1話のインタビュー場面は、真相を知ったあとでかなり違って見えてきます。