『Tシャツが乾くまで』充はなぜ1年間も失踪した?咲子の前から消えた本当の理由
※この記事には『Tシャツが乾くまで』第6話以降・最終回までのネタバレがあります。
事故直前にバスを降り、生きていた瀬尾充。
では、なぜすぐに妻・咲子のもとへ帰らなかったのでしょうか。
事故から数日、数週間ではありません。
充は約1年間、咲子の前から姿を消しました。
しかも咲子が長野まで探しに来たときにも、母親へ「知らないふり」をさせています。
結論から言うと、充の失踪は咲子を嫌いになったからでも、あずさと駆け落ちしたからでもありません。
充自身が以前から抱えていた「人間関係や日常から突然逃げたくなる性質」が大きな理由でした。
充は事故で行方不明になったわけではなかった
物語序盤では、充もあずさと同じバス事故に巻き込まれたと思われていました。
あずさは死亡。
充は行方不明。
しかし第3話以降、充が事故直前にバスを降りていたことが判明します。
つまり、充は事故によって行方が分からなくなったのではありません。
自分の意思で姿を消していました。
『Tシャツが乾くまで』充はなぜバスを降りた?事故当日の行動と失踪の理由を解説
充が向かったのは長野の両親の家
第6話で、充が失踪していた1年間の居場所が明らかになります。
充は長野にいる両親のもとで暮らしていました。
つまり完全に消息を絶って野宿していたわけでも、海外へ逃げていたわけでもありません。
咲子とは連絡を取らず、実家で生活していました。
咲子が実家まで来ても会わなかった
咲子は充のスマホに残されていた住所を手掛かりに、長野まで充を探しに行きます。
しかしそこで充には会えません。
後に充本人から、母親へ
自分のことを知らないふりをしてほしい
と頼んでいたことが明らかになります。
つまり充は、咲子が自分を探していることを知りながら、戻ることを選びませんでした。
なぜそこまで咲子を避けた?
ここが、充という人物を理解しにくい理由です。
充は咲子を嫌いではありません。
別の女性と新しい家庭を作りたいわけでもありません。
それでも会わない。
充にとって失踪は、特定の相手から逃げる行為というより、
自分が背負っている役割や人間関係そのものから離れる行為
でした。
充には以前から失踪癖があった
後に明らかになるのが、充には以前から失踪癖があったということです。
何か大事件が起きたから逃げるのではありません。
日常生活を送っている中で突然、
「全部から離れたい」
という感覚が強くなる。
充にとって失踪は、それまでにも繰り返してきた行動でした。
咲子との結婚後は失踪していなかった
ただし、咲子との結婚生活では長い間失踪していませんでした。
咲子を大切に思っていたからです。
咲子との生活は、充を日常へつなぎ止める力になっていました。
ところが同時に、
「咲子を悲しませてはいけない」
という思いも強くなっていきます。
大切だから離れられない。
でも、離れられないことが苦しくなる。
この矛盾が充の中にありました。
第3金曜日が充の逃げ場になっていた
そんな充にとって重要だったのが、あずさと会う第3金曜日です。
あずさには、咲子へ話せない失踪癖についても話すことができました。
月に一度だけ本音を外へ出す。
その時間があったことで、充は完全に失踪せず、咲子との生活へ戻れていた部分があります。
『Tシャツが乾くまで』第3金曜日の秘密とは?充とあずさは何をしていたのか解説
あずさは充の「恋人」ではなく逃げずに話せる相手だった
この構造を理解すると、なぜ充があずさへ本音を話せたのかも分かります。
咲子は大切すぎる。
嫌われたくない。
だから言えない。
一方、あずさとは生活を共有していません。
だから本音を話せる。
それが2人の特殊な関係でした。
『Tシャツが乾くまで』充とあずさは不倫していた?2人の本当の関係を解説
事故によってあずさまで失った
ところが、充がバスを降りた直後に事故が起きます。
あずさは亡くなりました。
充からすれば、
自分は衝動的に逃げただけ。
しかし結果として、あずさだけが死亡しました。
そして咲子には、自分の生死すら知らせない状態になります。
一度逃げてしまったことで、戻るためのハードルはさらに高くなりました。
一度消えると戻れなくなった
失踪が1年間続いた理由には、この部分も大きいでしょう。
数日なら「ごめん」と帰れたかもしれない。
しかし時間が経てば経つほど、
「今さらどうやって帰ればいいのか」
という問題が大きくなります。
咲子は充が死んだかもしれないと思いながら生活していました。
それを知って帰ることは、充自身にとっても怖かったはずです。
失踪は「咲子への愛がない証拠」ではない
充の行動を見れば、咲子が怒るのは当然です。
しかしドラマは、
「逃げた=妻を愛していない」
という単純な人物にはしていません。
充は咲子が好きです。
好きなのに逃げる。
むしろ失いたくない相手だから、本音を隠し、その結果関係が壊れていきます。
この矛盾は咲子にも存在します。
実は咲子にも「逃げる」部分があった
第9話で、咲子にも大きな秘密があったことが判明します。
咲子には4人の元夫がいました。
充にはその事実を隠していました。
理由は、充を失いたくなかったから。
つまり充は「いなくなる」という形で本音から逃げ、咲子は「言わない」という形で本音から逃げていました。
『Tシャツが乾くまで』咲子はなぜバツ4?4回離婚した理由と充に隠していた秘密を解説
1年間の失踪から戻った理由
では、なぜ1年後になって急に帰ってきたのでしょうか。
大きなきっかけになったのが、父親の死でした。
父を失った母親の姿を見た充は、残される人間の気持ちを改めて意識します。
そして、自分が突然消えたことで一人残された咲子を思い出します。
『Tシャツが乾くまで』充はなぜ戻ってきた?1年後に咲子の前へ現れた理由を考察
失踪後も元の夫婦には戻れなかった
充は戻りました。
しかし「帰ってきたから元通り」とはなりません。
咲子の中には、
「また突然いなくなるのでは?」
という恐怖が残りました。
一方の充も、咲子に嫌われないよう本音を隠します。
これが最終回で2人が離婚を選ぶ大きな理由になります。
『Tシャツが乾くまで』咲子はなぜ充に「別れよっか」と言った?好きなのに離婚を選んだ理由
まとめ
充が1年間失踪した最大の理由は、咲子への愛情がなくなったからではありません。
充自身が以前から抱えていた、すべてから離れたくなる「失踪癖」が再び出たためです。
充は長野の両親のもとで生活し、咲子が探しに来たときにも会おうとしませんでした。
一度逃げたことで、時間が経つほど戻りにくくなっていったのでしょう。
そして父親の死を経験するまで、残された咲子の側から自分の失踪を見ることができませんでした。
だから充の失踪は、
「妻が嫌だから逃げた話」ではなく、「大切な人がいても逃げてしまう人の話」
として描かれていたのだと思います。
