実写映画『ルックバック』別世界のような場面は何?パラレルワールドなのか考察
※この記事には実写映画『ルックバック』の終盤とラストまで重大なネタバレがあります。
『ルックバック』を初めて見た人が最も戸惑いやすいのが、終盤の別世界のような場面です。
京本が亡くなったはずなのに、別の人生を歩んでいる。
藤野と京本が違う形で出会う。
そして事件の結末まで変わります。
あれは本当にパラレルワールドなのでしょうか。
結論|パラレルワールドとも読めるが、「藤野が願った別の可能性」と考えるのが分かりやすい
作品は、
「ここから正式に別世界です」
とは説明しません。
そのため、
本当に別の世界が存在した。
という解釈もできます。
一方で、
藤野の後悔が生み出した「もしも」の物語。
と考えることもできます。
どちらか一つだけを正解と断定する必要はありません。
別世界が始まるのは京本の死のあと
京本が事件で亡くなったあと、藤野は深く自分を責めます。
なぜ京本を部屋から外へ出してしまったのか。
なぜ漫画を描いたのか。
なぜ二人は出会ったのか。
藤野は過去を振り返ります。
藤野が最も考えたかったのは「もし出会っていなかったら」
藤野の後悔を突き詰めると、
「自分と京本が出会わなければ、京本は死ななかったのではないか」
というところへ行き着きます。
そこで作品は、その問いを実際の映像として見せます。
別世界では二人の出会い方が変わる
小学生の時に二人が直接出会わなかった場合、人生の流れが変わります。
しかし重要なのは、
二人が完全に無関係になるわけではない。
ということです。
形は変わっても、藤野は漫画を描き、京本は絵を描きます。
京本は藤野と出会わなくても絵の道へ進む
これは非常に重要です。
藤野は、
「自分が京本を外へ出した」
と思っています。
しかし別の可能性では、藤野と出会わなくても京本は絵を続けています。
つまり、
京本が絵の道へ進んだのは京本自身の意志。
だと見ることができます。
藤野も京本と出会わなくても漫画へ戻る
藤野もまた、別の人生で創作から完全に離れるわけではありません。
この点からも、
二人は互いがいなければ何者にもなれなかった。
という単純な依存関係ではないことが分かります。
二人はそれぞれ創作者だった
藤野には漫画への情熱があります。
京本には絵への情熱があります。
二人が出会ったことで人生は大きく変わります。
しかし創作したいという根本は、それぞれの中に最初からあります。
事件の場面では藤野が京本を救う
別の可能性では、京本が事件に巻き込まれた時、藤野が現れます。
そして現実とは違う結末になります。
ここは、
藤野が最も願っていた未来。
と見ることができます。
現実では京本を救えなかった。
だから想像の中では、自分の手で京本を救います。
▶ 実写映画『ルックバック』京本が助かる場面は現実?藤野の妄想?
本当に時間が変わったのか?
映画は説明しません。
タイムマシン。
時間移動。
世界線。
そうしたSF的な設定は語られません。
そのため、
物理的に時間が変わった。
と断定する根拠はありません。
4コマ漫画が世界をつなぐ
ただし作品内では、4コマの紙が二つの可能性をつなぐように描かれます。
これは意図的です。
なぜなら藤野と京本が最初につながったのも4コマだからです。
▶ 実写映画『ルックバック』4コマ漫画の意味|ドアの下から出てきた紙は何だった?
では「本当のパラレルワールド」と考えても間違い?
間違いとまでは言えません。
実際に、作品は別の世界が存在するかのような演出をしています。
漫画の紙が二つの世界をまたいだと読むこともできます。
ただし、
作品内で科学的な説明がない以上、断定はできません。
「もしも」を漫画にしたと考えると理解しやすい
『ルックバック』は漫画を描く人の物語です。
漫画家は、
現実では起きなかったこと。
起きてほしかったこと。
を作品の中で描くことができます。
そう考えると、終盤の別世界そのものが、
藤野が描いた「もしも」の漫画。
のようにも見えます。
なぜ京本を完全に生き返らせないのか
ここが『ルックバック』の重要なところです。
別の世界を見せたあと、藤野は現実へ戻ります。
京本が亡くなった現実は変わりません。
もし本当に過去を書き換えて京本が生き返れば、作品はタイムリープものとして終わります。
しかし『ルックバック』はそうしません。
藤野が必要だったのは現実を書き換えることではない
藤野が本当に乗り越えなければならないのは、
「自分が京本を死なせた」
という罪悪感です。
別の可能性を見ることで、
二人が出会わなくてもそれぞれ創作していたこと。
京本が自分の意思で絵の道を選んでいたこと。
を思い直すことができます。
つまり別世界は藤野を救うための物語
京本を物理的に救うのではありません。
藤野の心を救う。
ための別の可能性だと考えると、終盤が理解しやすくなります。
ここからは考察|創作だからこそ「ありえなかった未来」を描ける
現実では人は生き返りません。
過去も変えられません。
でも漫画の中なら、
助けられなかった人を助ける。
ことができます。
藤野は漫画家です。
だからこそ、言葉で自分を慰めるのではなく、
物語を作ることで悲しみと向き合った。
と考えることもできます。
別世界でも二人は再び出会う
二人が小学生の時に出会わなくても、結局どこかで交差します。
これは、
二人の関係は偶然一つで簡単に消えるものではない。
という希望にも見えます。
最後は元の現実へ戻る
藤野は、京本が生きている世界へ移住するわけではありません。
京本を失った現実に戻ります。
そしてもう一度漫画を描きます。
▶ 実写映画『ルックバック』ラストの意味|藤野はなぜ漫画を描き続けた?
まとめ|別世界は「過去を変える話」ではなく「過去を受け入れるためのもしも」
終盤の別世界を整理すると、
本当にパラレルワールドだったと解釈することもできる。
ただし映画は明確には説明していない。
藤野の「もし出会わなかったら」という後悔を映像化したものとも読める。
別の可能性でも京本は絵を描き、藤野は漫画を描く。
藤野が京本を救う展開は、現実では叶わなかった願いとも読める。
最終的には元の現実へ戻る。
という構造です。
そのため、あの場面は、
「本当に別世界があったのか?」だけを考えるより、「藤野がなぜこの世界を必要としたのか?」
を考えると、『ルックバック』のラストが理解しやすくなります。
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