実写映画『ルックバック』京本が助かる場面は現実?藤野の妄想?
※この記事には実写映画『ルックバック』の終盤とラストまで重大なネタバレがあります。
京本が事件で亡くなったあと、『ルックバック』では突然、京本が助かる別の展開が描かれます。
そこでは藤野が事件の場に現れ、京本を救います。
そこで気になるのが、
「京本は本当に助かったの?」
「あれは現実?」
「藤野の妄想?」
という点です。
結論|元の世界で京本が生き返ったわけではない
まず、ここだけははっきりしています。
物語の元の現実では、京本は亡くなっています。
京本が助かる場面が描かれたからといって、死亡した京本が生き返ったわけではありません。
最後の藤野も、京本を失った現実へ戻っています。
では助かった京本は誰なのか?
映画は明確に説明していません。
考え方は大きく二つあります。
1つ目は、本当に別の世界が存在したという解釈。
2つ目は、藤野が想像した「もしもの世界」という解釈。
です。
解釈1|本当にパラレルワールドだった
4コマの紙をきっかけに、過去が分岐した。
その結果、
藤野と京本が小学生の時に直接出会わなかった世界。
が生まれた。
こう考えることはできます。
その世界では京本の人生も少し違います。
それでも京本は絵を続ける
別の可能性でも京本は創作を続けています。
ここが重要です。
藤野は、
「私が京本を外へ出したから、京本は美術の道へ進んだ」
と考えました。
しかし別の可能性でも京本は絵を描いています。
つまり京本の人生は、藤野だけが作ったものではありません。
事件は完全には消えない
別の世界でも、京本は危険な場面に遭遇します。
つまり、
「藤野と出会わなければ事件そのものが絶対になくなった」
とは描かれていません。
そこで藤野が現れる
元の現実では、藤野は京本を救えませんでした。
しかし別の可能性では藤野が現れ、京本を助けます。
現実とは正反対の展開です。
これは藤野の一番強い願いそのもの
京本の死後、藤野が最も望んでいるのは、
「あの時、自分がそこにいれば」
ということです。
助けたかった。
守りたかった。
死なせたくなかった。
その願いが、別の可能性の中では実現します。
解釈2|藤野の妄想・想像だった
こちらも非常に自然な解釈です。
京本を失った藤野は、
「もし違う人生だったら」
と考えます。
そして漫画家である藤野は、その「もしも」を物語として想像します。
漫画家だから「助けられた物語」を作れる
現実では過去を変えられません。
でも漫画なら変えられます。
死んだ人を救うこともできます。
自分がヒーローになることもできます。
だから京本が助かる場面は、
藤野が自分の中で描いた救済の物語。
とも考えられます。
なぜ藤野が京本を救うのか
別の誰かでは意味がありません。
藤野自身が京本を救います。
なぜなら藤野は、
「自分が京本を死なせた」
と考えてしまっているからです。
その罪悪感を反転させると、
「自分が京本を救う」
物語になります。
空手で犯人を倒す展開も現実離れしている
この場面では、藤野が京本を救う姿がヒーロー的に描かれます。
現実の出来事として見ると、かなり劇的です。
だからこそ、
現実そのものではなく、漫画的な「もしも」
として見ることもできます。
▶ 実写映画『ルックバック』空手で犯人を倒す藤野は現実?あの場面を解説
二人は別の形で再び出会う
別の世界では、小学生の時に二人が直接出会わなかったとしても、やがて藤野と京本は再び交差します。
この展開には、
二人は人生のどこかで出会う運命だった。
というロマンチックな読み方もできます。
しかし重要なのは「運命だったか」ではない
より重要なのは、
二人が出会わなくても、それぞれ創作を続けていた。
ことです。
京本の人生は藤野だけでできていない。
藤野の人生も京本だけでできていない。
それでも出会えば、二人は互いに大きな影響を与える。
その関係が描かれています。
4コマが二つの世界をつないでいる
京本が助かる場面と元の現実をつなぐ重要なものが4コマです。
漫画が二人をつないだように、終盤でも漫画が現実と「もしも」をつなぎます。
▶ 実写映画『ルックバック』4コマ漫画の意味|ドアの下から出てきた紙は何だった?
別の世界で京本が助かったから藤野は救われた?
完全に救われたわけではありません。
藤野が戻る現実では、京本はいません。
だから悲しみは消えません。
しかし、
「京本の人生は自分が壊した」
という藤野の考え方には変化が生まれます。
京本は藤野と出会わなくても自分の道へ進んでいた
これを藤野が受け止められれば、
「自分が京本を外へ出したせいだ」
という罪悪感を少し手放すことができます。
だから京本が助かる場面は藤野自身を救っている
表面上は京本を救う場面です。
しかし物語全体で見ると、
本当に救われる必要があるのは藤野の心。
とも考えられます。
実写版でも別世界は明確には説明されない
実写版でも、
「これは妄想です」
とも、
「実在する並行世界です」
とも説明されません。
その曖昧さは残されています。
だから見る人によって感じ方が違っていい場面です。
ここからは考察|「妄想だった」だけで片付けなくてもいい
藤野の想像だったとしても、価値がないわけではありません。
人は現実を変えられなくても、
物語を作ることで現実との向き合い方を変える。
ことができます。
それこそが『ルックバック』の創作というテーマともつながっています。
現実では京本を救えない。でも漫画なら救える
これは少し残酷です。
でも同時に創作の力でもあります。
漫画は現実そのものを変えません。
しかし、
「こうであってほしかった」
という気持ちを形にできます。
藤野にとってそれが、京本を救う場面だったのではないでしょうか。
最後に藤野は現実へ戻る
藤野は京本が助かった世界に残ることはできません。
元の現実へ戻ります。
そして京本がいない世界で、もう一度漫画を描き始めます。
▶ 実写映画『ルックバック』ラストの意味|藤野はなぜ漫画を描き続けた?
まとめ|京本が助かる場面は現実を変えたのではなく、藤野の「もしも」を描いた場面と考えると分かりやすい
京本が助かる場面を整理すると、
元の現実で京本が生き返ったわけではない。
本当に別世界が存在したと解釈することはできる。
藤野が想像した「もしも」の物語と見ることもできる。
藤野が京本を救うのは、現実では叶わなかった願いの反映と考えられる。
最後には京本を失った元の現実へ戻る。
ということです。
そのため、
「現実か妄想か」の二択だけではなく、藤野が悲しみを受け止めるために必要だった物語
と考えると、あの場面の意味が見えてきます。
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