『プロジェクト・ヘイル・メアリー』と『インターステラー』の違いは?宇宙・科学・ラストを比較
※この記事には『プロジェクト・ヘイル・メアリー』と『インターステラー』の設定・ラストについてネタバレがあります。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を見て、
「なんとなく『インターステラー』を思い出した」
という人もいると思います。
どちらも、
宇宙。
科学。
人類滅亡の危機。
遠い恒星への旅。
時間のずれ。
という共通点があります。
しかし実際には、物語の方向はかなり違います。
結論|『インターステラー』は「人類の新しい居場所を探す話」、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は「今ある地球を救う話」
最も大きな違いは、
人類が危機をどう乗り越えようとするか。
です。
『インターステラー』では、地球環境が悪化し、人類が生き続けられる新しい場所を探します。
一方、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』では、
太陽そのものを救い、地球をそのまま生存可能な場所として残す
ことを目指します。
共通点1|どちらも人類存亡が懸かっている
普通の宇宙探査ではありません。
失敗すれば人類の未来がなくなる。
それほど大きな危機から物語が始まります。
『インターステラー』では地球の農業が崩壊していく
作物が次々に育たなくなり、砂嵐が増え、地球環境そのものが人類に厳しくなっています。
だからNASAは、
人類が住める別の惑星
を探します。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』では太陽が暗くなる
原因はアストロファージ。
太陽からエネルギーを奪う地球外生命体です。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』太陽はなぜ暗くなった?アストロファージの正体を解説
危機の原因が違う
『インターステラー』。
地球環境・食料問題。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。
恒星エネルギーを奪う未知の生命体。
です。
違い1|宇宙へ行く目的
『インターステラー』では、
人類が移住できる星を探す。
ことが大きな目的です。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は移住しない
グレースの任務は、
タウ・セチだけがアストロファージに負けていない理由を探すこと。
そして解決策を地球へ送ることです。
つまり「逃げる」のではなく「治す」
地球を捨てるのではありません。
地球を救おうとします。
違い2|主人公の立場
『インターステラー』のクーパーは、元NASAのパイロット。
宇宙船を操縦できる人物です。
グレースは宇宙飛行士ではない
ライランド・グレースは、
科学教師。
です。
宇宙へ行くことを夢見ていた人物でもありません。
グレースはむしろ宇宙行きを拒否した
ここがクーパーとの大きな違いです。
グレースは、自分から英雄的ミッションへ飛び込んだわけではありません。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』グレースは自分から宇宙へ行った?ストラットとの過去を解説
違い3|物語の感情的な中心
『インターステラー』の中心は、
親子。
特にクーパーと娘マーフの関係です。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は友情
中心にあるのは、
グレースとロッキー。
人間と異星人の友情です。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ロッキーとの友情はなぜ泣ける?2人の関係を考察
家族愛と友情という違い
『インターステラー』では、宇宙規模の物語を親子関係へ戻していきます。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』では、異なる文明の二人が友達になっていきます。
共通点2|科学が物語の中心にある
どちらも、科学が単なる背景ではありません。
物語そのものを動かします。
『インターステラー』は重力と相対性理論
ブラックホール。
時間の遅れ。
重力。
ワームホール。
が大きなテーマです。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も相対性理論を使う
タウ・セチへの高速航行では、
時間の遅れ
が発生します。
原作者アンディ・ウィアーも、地球側では約13年かかる航行を、船内では約4年として計算していると説明しています。
ただし相対性理論の使い方は違う
『インターステラー』では、時間のずれが物語と感情の中心。
家族が年を取る。
帰った時には何十年も経っている。
という悲しさにつながります。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』では航行設定
相対論は重要ですが、作品全体のテーマそのものではありません。
グレースの移動時間やエリド人との科学差を説明する要素の一つです。
違い4|ブラックホールが重要か
『インターステラー』では極めて重要です。
ブラックホール・ガルガンチュアが、物語の後半を大きく動かします。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』にはブラックホールは必要ない
中心になるのは、
恒星。
微生物。
生態系。
星間航行。
です。
『インターステラー』は宇宙物理、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は宇宙生物寄り
かなり乱暴に分けるなら、
『インターステラー』=重力・時空。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』=生命・恒星・生態系。
という違いがあります。
違い5|地球外生命体の扱い
『インターステラー』では、人類以外の知的生命体との直接的な友情は描かれません。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』では異星人が中心人物
ロッキーは物語上、ほぼもう一人の主人公です。
ファーストコンタクトものとしての面白さがある
どうやって言葉を作る?
どうやって信頼する?
どうやって一緒に実験する?
という要素があります。
違い6|科学の説明の仕方
『インターステラー』は、映像とドラマを通して科学を見せます。
非常に複雑な理論も、映画として体感させる方向です。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』原作はかなり説明する
アンディ・ウィアーは、
計算。
実験。
仮説。
をかなり詳しく書きます。
ただし映画版では科学説明をかなり削った
映画版は原作よりも、
グレースとロッキーの感情
を優先しています。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』映画と原作の違い|変更点・省略された場面を比較
違い7|ラストの方向
『インターステラー』ではクーパーは人類圏へ戻ります。
そして、その後さらに新しい旅へ向かいます。
グレースは地球へ戻らない
ロッキーを救い、エリドへ。
そこで科学教師になります。
どちらも「最初に想像していた帰還」とは違う
ここは共通しています。
長い宇宙旅行によって、主人公が帰る世界そのものが変わります。
『インターステラー』では時間が故郷を変える
地球側の人々が何十年も年を取ります。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』では主人公自身が故郷を変える
グレースは地球ではなく、エリドに新しい生活を築きます。
どちらが科学的にリアル?
単純には決められません。
どちらも現実の科学を重視しています。
『インターステラー』にも大きなフィクションがある
ワームホール。
高次元。
終盤の時空表現。
などは、現在実証されていない領域です。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』にも架空生命体がある
アストロファージ。
タウメーバ。
エリド人。
いずれもフィクションです。
▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』科学は本当に正しい?アストロファージ・重力・宇宙航行を解説
共通点3|「科学だけ」では終わらない
どちらも科学SFですが、最後に残るのは人間関係です。
『インターステラー』なら親子。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』なら友情。
科学は人をつなぐための道具でもある
宇宙を理解する。
問題を解く。
そして誰かを救う。
ここはかなり共通しています。
まとめ|似ているのは「宇宙×科学×人類存亡」、違うのは感情の中心
『インターステラー』と『プロジェクト・ヘイル・メアリー』には、
人類滅亡の危機。
遠い宇宙への旅。
相対性理論。
科学による問題解決。
という共通点があります。
しかし、
『インターステラー』は人類の新しい居場所を探す。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は地球そのものを救う。
という目的が違います。
さらに感情の中心も、
『インターステラー』=親子。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』=友情。
です。
同じ「科学で人類を救う宇宙映画」でも、見終わった時に残る感情はかなり違う2作品です。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を原作でも読みたい方へ
映画では短縮された相対論・星間航行・アストロファージの科学設定は、原作ではさらに詳しく描かれています。
