『殺人の門』倉持修は何者?田島の人生を狂わせる理由と正体を原作から解説
※この記事には、東野圭吾『殺人の門』原作のネタバレがあります。
『殺人の門』を読んで最も不気味に感じる人物が、倉持修です。
田島和幸が困っているときには助けてくれる。
ところが田島の人生が壊れる場面を振り返ると、なぜかそこにはいつも倉持がいる。
倉持は一体何者なのか。なぜ田島の人生にここまで執着するのでしょうか。
この記事では、原作で描かれている事実と考察を分けながら、倉持修という人物を整理します。
倉持修は田島和幸の小学校時代からの同級生
倉持修は、主人公・田島和幸が小学生のころに親しくなる同級生です。
田島は歯科医院を営む裕福な家庭で育ちます。
一方の倉持は小さな豆腐屋の一人息子で、幼いころから将来成り上がることを考えている人物として描かれています。
倉持は頭の回転が速く、人との距離を縮めるのもうまい。
映画公式でも、倉持は「完璧で、人たらしで、誰もが惹かれる男」と紹介されています。
しかし田島にとって倉持は、次第に「親友」と呼ぶには危険すぎる存在になっていきます。
田島の人生が狂うところには倉持がいる
倉持の不気味さは、一度だけ大きな悪事をする人物ではないところにあります。
田島の人生の節目に何度も現れるのです。
少年時代、学生時代、仕事、金、人間関係。
田島が新しい人生を始めようとすると、倉持が再び近づいてきます。
そして結果的に田島は傷つきます。
この繰り返しによって、田島の中では「偶然ではないのではないか」という疑念が大きくなっていきます。
倉持は田島を助けるからこそ怖い
倉持が単純な悪人なら、田島も距離を取れたかもしれません。
しかし倉持は、田島が弱っているときに現れます。
仕事がうまくいかない。
金に困る。
人生を立て直したい。
そんなとき、倉持は田島に救いの手を差し伸べます。
そのため田島は「もう関わらない」と思いながら、再び倉持を頼ってしまいます。
この「助ける→信用させる→結果的に田島が傷つく」という関係が、『殺人の門』の怖さの一つです。
倉持はなぜ田島に執着するのか
ここからは、原作を踏まえた考察です。
倉持が田島に執着する理由について、原作は「これが唯一の理由です」と明快に説明して終わる作品ではありません。
ただ、少年時代から倉持が田島の裕福な境遇を意識していたことや、田島に対して単純な友情だけでは説明できない感情を抱いていたことは読み取れます。
そこには羨望や嫉妬、優越感、支配欲、そして田島そのものへの執着が複雑に混ざっていると考えられます。
映画版の金井紘監督も、本作について「嫉妬心や依存心、歪んだ友情」を描いた作品とコメントしています。
つまり倉持と田島は、単純な「加害者と被害者」だけでは説明できない関係なのです。
倉持にとって田島は特別な存在だった?
ここも考察になります。
倉持が田島を完全に破滅させたいだけなら、もっと早い段階で関係が終わっていても不思議ではありません。
ところが倉持は、何十年にもわたって田島の人生に戻ってきます。
田島を利用しながら、完全には手放さない。
そこには単なる金銭目的以上の執着があるように見えます。
映画公式も2人の関係を約30年に及ぶ「歪んだ友情」と表現しています。
「友情」と呼ぶにはあまりにも悪意が強い。
しかし完全な他人でもない。
この説明しきれない関係が、倉持という人物をより不気味にしています。
倉持はサイコパスなのか?
倉持の行動を見ると、「サイコパスなのでは?」と感じる人もいると思います。
ただし、原作で倉持に医学的な診断が付けられているわけではありません。
そのため、倉持を「サイコパスだ」と断定することはできません。
作品上確実に言えるのは、倉持が人の心理を読むことに長け、田島をはじめ周囲の人間を自分のペースへ巻き込む非常に危険な人物として描かれていることです。
それでも田島が倉持から離れられない理由
『殺人の門』では、倉持の異常さと同じくらい、田島が倉持から離れられないことも重要です。
田島は何度も騙されたと感じます。
何度も「殺したい」と思います。
それでも次に倉持が現れると、再び関係を持ってしまいます。
その理由は、倉持が田島の弱いところを知り尽くしているからでしょう。
田島が困ったとき、必要な言葉をかけ、必要なものを提示する。
だから田島は疑いながらも再び近づいてしまいます。
田島がなぜそこまで倉持を殺したいと思うようになったのかは、こちらで詳しく解説しています。
『殺人の門』田島はなぜ倉持を殺したいのか?2人の関係を原作から解説
倉持の最後はどうなる?
終盤、倉持は田島以外の人物に襲われ、重傷を負います。
そして入院した倉持のもとへ田島が向かいます。
長年倉持を殺したいと考えながら殺せなかった田島は、そこでついに大きな一線を越える行動に出ます。
原作ラストについてはこちらで詳しく解説しています。
『殺人の門』原作の最後はどうなる?田島は倉持を殺すのか結末を解説
原作全体のネタバレはこちら
田島と倉持が小学生時代からどのような経緯をたどり、最後の場面まで進んでいくのかは、こちらで時系列に整理しています。
東野圭吾『殺人の門』原作ネタバレ|あらすじ・結末・ラストまで完全解説
倉持という人物を原作で追いたい方へ
倉持の怖さは、一つの事件だけを読んでも分かりにくいところがあります。
少年時代から大人になるまで、田島が何度距離を取っても倉持が戻ってくる。その積み重ねを最初から読むことで、2人の関係の異様さがよりはっきり見えてきます。
まとめ
倉持修は、田島和幸の小学生時代からの同級生であり、田島の人生に約30年にわたって関わり続ける人物です。
困った田島を助けながら、その一方で田島の人生を狂わせていく。
倉持が田島に執着する理由を一つだけに決めつけることはできませんが、原作からは嫉妬、支配、依存、友情、執着といった複数の感情が絡んでいると考えられます。
だからこそ『殺人の門』は、単純な「悪人に復讐する話」ではありません。
倉持と田島が互いから離れられない異様な関係そのものが、この作品の中心です。
