『赤い指』最後の将棋の意味は?加賀と父・隆正が交わした思いを考察
※この記事には、スペシャルドラマ『赤い指〜「新参者」加賀恭一郎再び!』のラストに関する重大なネタバレがあります。
2011年にTBS系で放送されたスペシャルドラマ『赤い指』で、事件解決とは別に強い余韻を残すのが、加賀恭一郎と父・隆正をつないでいた将棋です。
恭一郎は、病気の父をほとんど見舞いません。
そのため松宮脩平からは、「なぜ父親に会いに行かないのか」と疑問を持たれます。
ところが最後に、意外な事実が明らかになります。
隆正が看護師・金森登紀子と指していたと思っていた将棋は、実は恭一郎が金森を通して指していたものでした。
直接会わない親子が、将棋盤だけを通して最後まで会話を続けていたのです。
この記事でわかること
- 最後の将棋は誰と誰が指していたのか
- なぜ恭一郎は父の病室へ行かなかったのか
- 隆正は対局相手が恭一郎だと気づいていたのか
- 隆正が握っていた桂馬の意味
- 最後の将棋が作品全体で意味するもの
隆正の入院生活の楽しみは将棋だった
加賀隆正(山崎努)は、元刑事で加賀恭一郎の父です。
病院で闘病生活を送る隆正の楽しみの一つが、看護師の金森登紀子(田中麗奈)との将棋でした。
松宮が見舞いに行ったときにも、隆正は金森との対局を楽しみにしています。
この時点では、視聴者も「金森が隆正の将棋相手なのだ」と受け取ります。
しかし、ラストでその見え方が変わります。
本当の将棋相手は加賀恭一郎だった
金森は自分の判断だけで将棋を指していたわけではありません。
恭一郎から送られてくる手を隆正との将棋盤に置いていました。
つまり、盤の前に座っているのは金森でも、本当の対局相手は恭一郎です。
恭一郎は病室へ行かず、父と顔を合わせないまま、将棋では父と向き合っていました。
この事実によって、それまで冷たく見えていた恭一郎の行動が大きく変わって見えます。
なぜ恭一郎は父に直接会わなかった?
恭一郎と隆正の間には、母をめぐる深い確執がありました。
隆正は刑事として仕事を優先し、家庭を十分に顧みることができませんでした。
その結果、恭一郎の母は家族のもとを離れ、最終的には孤独な最期を迎えます。
隆正はそのことを強く後悔していました。
そして自分が死ぬときも、妻と同じように一人で最期を迎えるという意思を恭一郎へ伝えていました。
恭一郎が病室へ行かなかったのは、単に父を嫌っていたからではありません。
父自身が選んだ最期を尊重していたからです。
▶ 『赤い指』加賀の父・隆正はなぜ息子に会おうとしなかった?
会わないのに将棋をする矛盾が重要
ここが加賀親子の関係のおもしろいところです。
本当に関係を断ち切りたいのであれば、将棋をする必要もありません。
しかし恭一郎は、父の病室には行かない一方で、金森を介して対局を続けています。
隆正もその将棋を楽しみにしています。
会うことはできない。
しかし、完全に離れることもできない。
長年積み重なったわだかまりと、消えなかった親子の愛情が、この奇妙な距離感に表れています。
隆正は相手が恭一郎だと気づいていた?
ドラマでは、隆正がいつから確信していたのかを明確には説明していません。
ただし、ラストの描写から考えると、隆正は少なくとも最後には、自分が恭一郎と将棋を指していると気づいていた可能性が高いと考えられます。
長年の親子です。
将棋には、その人特有の癖や考え方が表れます。
金森が突然、自分と互角以上に指せるようになれば、隆正が何かを感じても不思議ではありません。
隆正が最後に握っていた「桂馬」の意味
隆正が亡くなったあと、手には桂馬が残されています。
そして恭一郎は、その桂馬を将棋盤のある場所へ置きます。
その一手によって、勝負の意味が完成します。
隆正が最後に指そうとしていた一手。
恭一郎はそれを理解し、父の代わりに盤へ置きます。
ここで二人の将棋は、単なるゲームではなくなります。
父が残した最後の言葉を、息子が受け取る行為になっています。
最後の将棋は「言葉の代わり」
恭一郎と隆正は、素直に気持ちを言い合える親子ではありません。
隆正が、
「悪かった」
と謝り、恭一郎が、
「もう許した」
と答えるような分かりやすい和解はありません。
その代わりにあるのが将棋です。
一手を送り、相手が一手を返す。
それを繰り返すことで、二人は会話していました。
口では伝えられなかったものを、将棋で伝えていたと考えると、ラストの意味が分かりやすくなります。
前原家との対比になっている
『赤い指』では、前原家の事件と加賀家の物語が並行して描かれます。
前原家は同じ家に住んでいます。
しかし、お互いの気持ちを理解していません。
息子を守るために嘘をつき、母を犠牲にしようとします。
一方、恭一郎と隆正は離れています。
直接会おうともしません。
それでも、相手の考えや意思を尊重し、将棋を通してつながっています。
近くにいることが家族なのではない。
離れていても相手を思うことはできる。
最後の将棋は、その対比を象徴しています。
なぜ殺人事件のあとに加賀親子のラストが必要だった?
もし『赤い指』が前原家の殺人事件だけで終われば、「歪んだ家族が起こした犯罪」の物語で終わります。
しかし、そのあとに加賀親子の物語があります。
家族には、いろいろな形がある。
一緒にいることだけが愛情ではない。
許せないものを抱えていても、相手を思うことはできる。
それを示すことで、『赤い指』の「家族」というテーマが完成します。
まとめ|最後の将棋は加賀親子が交わした最後の会話
隆正が金森と指していた将棋の本当の相手は恭一郎でした。
恭一郎は父の病室へ行きませんでしたが、父を完全に拒絶していたわけではありません。
隆正も、自分が息子と指していることを感じ取っていたと考えられます。
そして最後に残された桂馬を恭一郎が盤へ置くことで、父子の最後の対局が完成します。
最後の将棋は、直接言葉を交わせなかった加賀親子が、最後まで続けていた静かな会話だったのです。
最後の将棋を原作で読みたい方へ
原作では、隆正と恭一郎の距離や、金森を介した将棋の仕掛けを文章でじっくり追うことができます。
事件の真相だけでなく、もう一つの「家族」の物語まで読みたい方には原作文庫もおすすめです。
最後の将棋を映像で見たい方へ
阿部寛さんと山崎努さんが演じる加賀親子は、直接向き合う場面が少ないからこそ、最後の将棋が強く印象に残ります。
桂馬まで含めたラストを実際の映像で確認したい方は、TSUTAYA DISCASの宅配レンタルでも作品を確認できます。
関連記事
- 『赤い指』加賀恭一郎と父・隆正はなぜ疎遠だった?親子関係を解説
- 『赤い指』加賀の父・隆正はなぜ息子に会おうとしなかった?
- 『赤い指』金森登紀子とは何者?加賀親子をつなぐ看護師の役割
- スペシャルドラマ『赤い指』ネタバレ解説|犯人・事件の真相・結末まで完全整理
