夫・遠藤将一さんは妻のがんをどう支えた?『私の命の日記』に描かれた夫婦
※この記事では、遠藤和さんと夫・将一さんの実話、および『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』の内容に触れています。
『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』では、遠藤和さんだけでなく夫・将一さんの存在も欠かせません。
映画では高杉真宙さんが将一さんを演じます。
21歳でステージIVの大腸がんを告げられた和さん。
当時、二人はまだ結婚していませんでした。
それでも将一さんは「絶対、別れない」と和さんとの人生を選びます。
ただし、将一さんを単純に「妻の希望を何でも受け入れた献身的な夫」と考えると、二人の関係の重要な部分を見落としてしまいます。
この記事では、和さんの病気と妊娠・出産を通して、夫婦がどのように人生を選んでいったのかを整理します。
がんが分かったとき、二人はまだ恋人だった
和さんがステージIVの大腸がんを宣告されたのは21歳のときです。
将一さんとは交際中でした。
そのとき将一さんは「絶対、別れない」と応じています。
その後、二人は結婚しました。
出会いから結婚までについては、遠藤和さんと夫・将一さんはどう出会った?結婚までの実話で整理しています。
将一さんは「何でも賛成する夫」ではなかった
二人の関係がよく表れているのが、妊娠をめぐる出来事です。
和さんは将一さんとの子どもを望みました。
しかし、そのためには抗がん剤治療を中断するという大きな問題がありました。
将一さんは反対します。
これは和さんの希望を理解していなかったからとは限りません。
妻の命を心配する立場なら、むしろ自然な葛藤です。
「子どもに会いたい妻」と「妻に生きてほしい夫」
この場面には、簡単な正解がありません。
和さんには、自分たちの子どもに会いたいという願いがあります。
将一さんには、和さんの身体を守りたいという思いがあります。
どちらかが間違っているわけではありません。
大切にしているものがどちらも家族だからこそ、夫婦の考えがぶつかっているのです。
この点は『ママがもうこの世界にいなくても』を単なる感動物語として見ないためにも重要です。
最終的に二人は子どもを持つ道を選んだ
和さんは将一さんを説得し、二人は子どもを持つ道へ進みます。
和さんは妊娠。
23歳で長女を出産しました。
将一さんは夫から父になります。
妊娠・出産については、遠藤和さんはなぜ出産を決めた?で詳しく解説しています。
家族3人の生活が始まる
娘が生まれ、二人には新しい日常が始まります。
ただし、和さんの病気がなくなったわけではありません。
治療を続けながらの子育てです。
原作には、家族3人と猫1匹で過ごす日々が記録されています。
病気だけを見れば厳しい状況でした。
それでも和さんは、その生活を「人生でいまが一番幸せ」と感じていました。
将一さんにとっては「支える」だけではなかった
将一さんの立場を「妻を支えた夫」とだけ表現すると、少し単純すぎます。
将一さん自身も、妻の病気によって人生を大きく変えられた一人です。
恋人ががんになる。
結婚する。
妊娠をめぐって意見がぶつかる。
父になる。
そして妻の余命と向き合う。
将一さん自身も、そのたびに選択を迫られていました。
2021年、和さんに余命が告げられる
2021年、病状が進んだ和さんに余命が告げられました。
原作には「余命宣告」という章があります。
それでも和さんは自宅に戻り、家族との時間を過ごしました。
そして亡くなる10日前まで日記を書き続けます。
最後の日記については、遠藤和さんはいつ亡くなった?最後の日記とはで詳しく紹介します。
妻を亡くしたあと、将一さんには娘との人生が残った
2021年9月、和さんは24歳で亡くなりました。
将一さんは妻を失い、幼い娘と生きていくことになります。
ここで「夫婦の物語」は終わったようにも見えます。
しかし、和さんが残したものはなくなりません。
娘がいます。
そして日記があります。
文庫版で初めて大きく描かれた「その後」
2026年の文庫版には、約1万8000字の特別寄稿「あの日から、僕らは」が追加されています。
そこでは、和さんが亡くなったあとの父と娘の5年間が綴られています。
これはタイトルの「ママがもうこの世界にいなくても」の続きを知るうえで重要な部分です。
将一さんのその後は、遠藤和さんの夫・将一さんはその後どうなった?妻を亡くしたあとの5年間で詳しく取り上げます。
原作で夫婦の本当の時間を読む
映画では川口春奈さんと高杉真宙さんが演じる夫婦ですが、原作では和さん自身の言葉から二人の日々を知ることができます。
まとめ
将一さんは、和さんが21歳でステージIVの大腸がんを告げられたときから、その人生に深く関わってきました。
しかし「何でも妻の希望を受け入れた夫」ではありません。
妊娠には反対し、和さんと意見がぶつかったこともあります。
それは妻の命を大切にしていたからこその葛藤でもありました。
『ママがもうこの世界にいなくても』で描かれるのは、病気の妻を一方的に支える夫ではなく、難しい現実の中で一緒に悩み、選び続けた夫婦の姿です。
