※この記事には、スペシャルドラマ『赤い指〜「新参者」加賀恭一郎再び!』の重大なネタバレがあります。

『赤い指』で、前原家の中でも特に謎めいた存在なのが、昭夫の母・前原政恵です。

家族からは認知症だと思われ、ほとんど会話も成立しないように見えます。

しかし物語の最後に、大きな事実が明らかになります。

結論からいうと、政恵は認知症ではありませんでした。

政恵は周囲との関係を断つため、認知症であるかのように振る舞っていたのです。

そして直巳の事件も、昭夫と八重子が自分へ罪を着せようとしていることも理解していました。

この記事でわかること

  • 政恵は本当に認知症だったのか
  • なぜ認知症のふりをしていたのか
  • 事件についてどこまで分かっていたのか
  • なぜ自分に罪を着せようとする昭夫を止めたのか
  • 赤い指に込めた政恵の思い

結論|政恵は認知症ではなかった

前原家では、政恵は認知症になったと考えられています。

家族とほとんど会話をせず、不可解な行動を見せる。

昭夫や八重子も、政恵には周囲の状況が十分に理解できていないと思っています。

しかしこれは政恵自身が作っていた姿でした。

政恵は意識も判断力も保っており、家族が思っていた以上にすべてを理解していました。

なぜ政恵は認知症のふりをしていた?

政恵が認知症を装った理由は、家庭の中で心を閉ざしてしまったからです。

息子・昭夫との距離。

嫁・八重子との関係。

家族の中にいても、自分が大切にされていると感じられない生活。

そうした状況の中で、政恵は家族とのコミュニケーションそのものをやめていきます。

本当に何も分からなくなったのではなく、分かっていても反応しないという形で家族から離れたのです。

政恵は前原家で孤立していた

政恵は、家族と同じ家で暮らしています。

しかし精神的には、ほとんど家族から切り離されています。

八重子にとっては介護の負担になる存在。

昭夫も、母と妻の間に入り問題を解決しようとはしません。

直巳との温かな交流もありません。

つまり前原家は、一つ屋根の下に暮らしていても、家族同士が深くつながっている家庭ではありません。

政恵の「認知症のふり」は、その家族関係がどれほど壊れていたのかを示しています。

昭夫は母が何も分からないと思い込んでいた

この思い込みが、事件後の昭夫の判断につながります。

直巳が少女を殺したことが警察に知られそうになると、昭夫と八重子は政恵を犯人にしようとします。

認知症の政恵が、少女を衝動的に殺してしまった。

そう説明すれば直巳を守れると考えたのです。

そこには、

「政恵にはもう何も分からない」

という残酷な思い込みがあります。

しかし実際には、政恵は昭夫たちの考えを理解していました。

政恵は事件についてどこまで知っていた?

政恵は、少なくとも家の中で異常なことが起きていることを理解しています。

そして昭夫と八重子が、自分を直巳の身代わりとして利用しようとしていることにも気づきます。

だからこそ、ただ黙って罪を着せられるのではなく、昭夫たちの嘘が成立しないよう行動します。

その代表的なものが、タイトルにもなった「赤い指」です。

政恵はなぜ指を赤くした?

政恵の指には赤い口紅がついています。

これは偶然ではありません。

政恵が犯人だという昭夫の説明に矛盾を作るための仕掛けです。

政恵が少女を殺したのであれば、犯行時の状況と赤い指の成立時期が合わなくなります。

加賀はそこに気づきます。

つまり政恵は、言葉で直接訴えるのではなく、加賀が見抜ける形で「私は犯人ではない」と知らせたのです。

▶ 『赤い指』なぜ政恵の指を赤くした?加賀が見抜いた決定的な違和感

政恵は自分の無実だけを守りたかった?

それだけではありません。

ここが『赤い指』の重要なところです。

政恵は、自分に殺人の罪を着せようとしている昭夫を恨んでもおかしくありません。

しかし政恵が最後まで考えていたのは、息子・昭夫のことでもありました。

昭夫が自分へ罪を着せれば、昭夫自身もさらに深い罪を背負います。

政恵は、昭夫が完全に引き返せなくなる前に止めようとしていました。

政恵と八重子は「母親」として対照的

『赤い指』には、二人の母親が登場します。

直巳の母・八重子。

昭夫の母・政恵。

八重子は、息子を守るために罪から逃がそうとします。

一方の政恵は、息子を守るために罪と向き合わせようとします。

どちらも息子への愛情が出発点です。

しかし方法は正反対です。

罪を隠す八重子と、罪から引き返させる政恵。

この対比が、『赤い指』が描く「親が子を守るとは何か」というテーマにつながっています。

政恵の演技に家族が気づかなかったこと自体が重要

ここからは考察です。

「同居している家族が、認知症のふりに気づかないのか」と疑問に感じる方もいると思います。

しかし物語上で重要なのは、医学的に完璧な演技だったかということよりも、

家族が政恵を本当に見ていなかった

という点でしょう。

日々きちんと話しかけ、表情を見て、変化に向き合っていたなら、何かがおかしいと感じた可能性があります。

しかし前原家では、政恵は「認知症になった高齢者」という枠に押し込められています。

誰も政恵の本当の心を知ろうとしませんでした。

加賀だけが政恵を「一人の人間」として見る

加賀は、政恵の不可解な行動を認知症だからと片づけません。

なぜこの行動をしたのか。

何を伝えようとしているのか。

そこに意思があると考えます。

この姿勢が、昭夫たちとの大きな違いです。

家族が「もう何も分からない」と決めつけた政恵を、加賀は最後まで考える力のある人間として見ています。

まとめ|政恵は認知症ではなく家族に心を閉ざしていた

前原政恵は、本当は認知症ではありませんでした。

家族の中で孤立し、心を閉ざした結果、認知症のように振る舞っていたのです。

だから直巳の事件も、昭夫たちが自分へ罪を着せようとしていることも理解していました。

それでも政恵は昭夫を見捨てません。

自分を守るためだけではなく、息子がこれ以上罪を重ねないよう止めるために真実へつながる手がかりを残しました。

政恵の真相は、『赤い指』が単なる犯人捜しではなく「家族」を描いた作品であることを最も強く示す部分の一つです。

政恵の本心を原作でさらに読みたい方へ

原作では、政恵が家庭の中で置かれていた状況や、昭夫が母をどのように見ていたのかもより細かく描かれています。

政恵の真相を知ったあとに読み返すと、序盤の不可解な行動の意味も違って見えてきます。

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政恵の表情や「赤い指」を映像で見たい方へ

スペシャルドラマでは、佐々木すみ江さん演じる政恵の表情や沈黙そのものが重要な手がかりになっています。

真相を知ったあとに見直すと、最初の鑑賞時とは印象が大きく変わる場面もあります。

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