※この記事には『プロジェクト・ヘイル・メアリー』でロッキーが登場したあとの内容についてネタバレがあります。

グレースとロッキーは、最初から会話できたわけではありません。

文字も違う。

発声方法も違う。

身体も違う。

この記事では友情の意味や終盤の出来事には深入りせず、

初対面から会話が成立するまで、どんな手順を踏んだのか

だけを整理します。

結論|数量→科学概念→音と意味の対応という順番で言葉を作った

二人の意思疎通は、大きく分けると、

  1. 相手に知性があると確認する
  2. 数量を共有する
  3. 数学や物理を共有する
  4. 物と音を対応させる
  5. 語彙を記録する
  6. 会話へ広げる

という順番です。

まず「相手が知的生命体」であることを確認する

グレースが見つけた宇宙船は明らかな人工物です。

そのため、そこにいる相手が何らかの知的文明に属していることは分かります。

問題は、

共通言語が一切ないこと

です。

直接同じ部屋で話すこともできない

地球人とエリド人は必要とする環境が異なります。

そのため、普通のSFのように向かい合って話すことはできません。

隔離された状態でコミュニケーションを構築する必要があります。

最初に使いやすいのは数量

「1」を何と呼ぶかは文明ごとに違います。

しかし、物が一つあるという事実は共通です。

そこで、

一つ・二つ・三つという数量

から意味を合わせていきます。

次に数学へ広げる

数量を共有できれば、より複雑な概念も伝えられます。

数学には文化に左右されにくい性質があります。

そのため、二人にとって非常に重要な足場になります。

物理法則も共通している

地球でもエリドでも、水素原子の性質は同じです。

重力や質量といった自然法則も、文明によって変わりません。

名前は違っても、対象そのものが同じ。

ここから語彙を増やせます。

ロッキーの言語は音でできている

ロッキーの言語は、人間の言葉とは構造が異なります。

グレースには最初、音楽に近いものとして聞こえます。

ロッキーの言語自体を詳しく知りたい方はこちらです。

▶ ロッキーはなぜ人間の言葉を話せる?グレースとの会話方法をわかりやすく解説

「音」と「意味」を一つずつ結びつける

たとえばロッキーが何かを示しながら特定の音を出したとします。

グレースは、

「この音はこの物を表しているのでは?」

と推測します。

確認できた語を一つずつ蓄積します。

コンピューターが記録を助ける

ロッキーの言語は音程を含むため、人間がすべてを耳だけで覚えるのは難しいものです。

そこでグレースは音を記録し、対応する意味を整理します。

実質的な辞書を作っていく

わけです。

単語が増えると文章に近づく

「物の名前」だけでは研究はできません。

次第に、

  • 行動
  • 状態
  • 質問
  • 依頼
  • 時間

などの概念も共有していきます。

この積み重ねで、単語交換から会話へ進みます。

専門用語ほど逆に合わせやすい場合もある

一般的な生活文化は大きく違います。

しかし科学実験で使う対象は同じです。

元素、温度、圧力、質量など、

測定できるものは意味を共有しやすい

という利点があります。

だから共同研究が可能になる

必要な科学用語を共有できるようになると、二人は同じ問題を一緒に調べられます。

意思疎通は単なる日常会話ではなく、

共同実験ができるレベルまで発達します。

友情の話とは分けて考えられる

二人がなぜ親友になったのかは、言語習得だけでは説明できません。

この記事では会話の仕組みだけを扱いました。

関係そのものについてはこちらで考察しています。

▶ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ロッキーとの友情はなぜ泣ける?2人の関係を考察

まとめ|「翻訳機があった」から話せたわけではない

グレースとロッキーの意思疎通は、

  • 数量を共有する
  • 数学へ広げる
  • 物理・元素を使う
  • 相手の音と意味を対応させる
  • 語彙を記録する
  • 徐々に複雑な会話へ進む

という積み上げで成立します。

最初から万能翻訳機があったのではなく、共通する自然法則から少しずつ言語を作った。

ここが本作のファーストコンタクト描写の特徴です。


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