※この記事には『Tシャツが乾くまで』最終回までのネタバレがあります。

『Tシャツが乾くまで』中盤で気になったのが、園田樹生の咲子への気持ちです。

事故から約1年がたつ頃には、2人は毎週一緒に洗濯。

互いの家で食事をするようになり、樹生は咲子へ「一緒に住む」という話まで持ちかけます。

さらに咲子が、

「園田さんと2人は落ち着く」

という気持ちを口にしたときには、樹生の表情にも変化がありました。

では、樹生は咲子を恋愛対象として好きだったのでしょうか。

結論から言えば、

樹生が咲子に特別な好意を持っていたことは間違いないものの、「恋愛として好きだった」と明言する場面はありません。

ドラマは最後まで、その感情に名前をつけませんでした。

最初の2人は恋愛どころではなかった

咲子と樹生が出会ったのは、充とあずさが乗っていた高速バスの事故がきっかけです。

樹生は妻を亡くし、咲子は夫の安否が分からない。

さらに2人の配偶者が秘密で会っていたことまで判明します。

最初の咲子と樹生は、恋愛対象を見るような余裕がある状態ではありません。

「何が起きていたのか知りたい」

という共通目的から一緒に行動し始めます。

同じ痛みを分かってくれる唯一の相手になった

しかし、この特殊な状況が2人を近づけます。

咲子には、

「夫が別の女性と秘密で会っていたかもしれない」

という痛みがあります。

樹生もまったく同じです。

周囲の友人に説明しても、完全には分かってもらえない。

でも2人なら説明しなくても分かる。

その共有された喪失と疑惑が、強い信頼関係の土台になりました。

毎週コインランドリーで会う関係へ

事故からもうすぐ1年になる頃、2人は毎週コインランドリーで一緒に洗濯するようになります。

たまに互いの家で食事もします。

TBS公式も、この時点で2人を

「心を許しあえる関係」

と表現しています。

この距離は普通の知人より明らかに近いです。

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樹生の「一緒に住む」は告白だった?

第5話で大きく関係が動きます。

住まいの更新時期を迎えた樹生が、咲子へ一緒に住むことについて尋ねます。

咲子は驚いて断ります。

しかし樹生は、あずさの一周忌が過ぎたら改めて答えがほしいという趣旨の言葉を残します。

ここだけ見ると、かなり告白に近く見えます。

少なくとも樹生は、咲子を

「今後も自分の生活の中にいてほしい人」

として見ていました。

ただし「付き合ってください」とは言っていない

一方、樹生は明確に、

「好きです」

「付き合ってください」

と告白したわけではありません。

息子・翔もいる生活。

妻を亡くしてからまだ1年。

咲子にも行方不明の夫がいる。

普通の恋愛とは違う状況です。

だから樹生自身も、自分の感情を簡単に「恋」と定義できなかった可能性があります。

咲子の「2人は落ち着く」に樹生が反応

第6話でも、2人の微妙な空気が描かれます。

咲子が樹生と2人でいることについて、落ち着くという気持ちを漏らします。

その言葉を聞いた樹生の表情に、わずかな変化がありました。

少なくとも樹生にとって、咲子からそう思われていることはうれしい言葉だったと受け取れます。

樹生は咲子と「新しい家族」を作りたかった?

ここからは考察です。

樹生には息子・翔がいます。

翔も咲子になついていました。

そのため、樹生の同居の提案には、

  • 咲子ともっと一緒にいたい
  • 翔も含めた生活を共有したい
  • 喪失後の新しい居場所を作りたい

といった複数の気持ちが混ざっていた可能性があります。

必ずしも「恋人になりたい」だけではなかったのでしょう。

そこへ充が戻ってくる

樹生と咲子の関係が大きく動きそうになったとき、充が1年ぶりに戻ってきます。

この瞬間、2人の関係は再び変わります。

樹生が咲子へ、

「自分を選んでほしい」

と迫ることはありません。

咲子が充と向き合うことを尊重します。

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本当に恋愛なら、なぜ最終回で付き合わない?

最終回で咲子は充と離婚します。

普通なら、ここで樹生と結ばれる絶好のタイミングです。

しかし2人は付き合いません。

それでも樹生と翔は咲子の家を訪れ、3人で自然に過ごします。

これは、

「恋人にならなかった=関係が進まなかった」

という意味ではありません。

むしろ、恋人という名前を必要としない場所まで関係が進んだとも考えられます。

樹生自身も充とあずさの気持ちを理解する

最初の樹生は、妻が別の男性と秘密で会うことを受け入れられませんでした。

しかし咲子との関係を経験したことで、

配偶者でも恋人でもないのに、心を許せる大切な人がいる。

という感覚を自分自身で知ります。

最終回では、充とあずさにも2人なりの距離感があったことを理解するようになります。

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それでもあずさへの嫉妬は消えなかった

樹生は、充とあずさの関係を理屈では理解します。

しかし最終回では、それでも嫌だったという感情を認めます。

それを「ただの嫉妬」だったと受け止める場面もあります。

つまり樹生は、最後まであずさを大切に思っています。

咲子と親しくなったからといって、亡くなった妻への愛情が新しい恋に上書きされたわけではありません。

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咲子への気持ちは「恋愛より弱い」のではない

名前をつけないと、

「結局、友達だっただけ?」

と思ってしまいます。

しかし本作では、友達だから恋人より弱い関係だとは描いていません。

咲子は樹生に本音を話せます。

樹生も咲子と翔を自然につなげます。

そこには恋人かどうかとは別の強い信頼があります。

「好きだった?」への答え

ドラマの描写から考えると、樹生が咲子へ特別な好意を抱いていたのは間違いないでしょう。

一時期は恋愛に近い感情があったと受け取っても不自然ではありません。

ただし、

「樹生は咲子に恋をしていた」と作品が明確に確定したわけではありません。

そして最終的には、その感情が恋愛だったかどうかを決めること自体が重要ではなくなります。

これが最終回がモヤモヤする理由の一つ

視聴者は、

「好きなの?好きじゃないの?」

「付き合うの?付き合わないの?」

という答えを求めます。

しかしドラマは最後まで二択にしませんでした。

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まとめ

樹生は咲子を、普通の友人以上に大切な存在として見ていました。

同居を意識させる提案をし、咲子から「2人だと落ち着く」と言われたときにも、気持ちが動いたように見える描写があります。

そのため、一時期恋愛感情を抱いていたと考える余地は十分あります。

ただし、作品はそれを明言しませんでした。

そして最終回で2人が選んだのは、

恋人にならなくても互いの人生に深く関わっていられる関係

です。

「好きだったか?」の答えを一つに決めないこと自体が、このドラマの描く人間関係なのだと思います。