スパイダーマンを見ていると、少し不思議に感じることがあります。

「マーベルのキャラクターなのに、なぜ映画はソニーなの?」

さらにトム・ホランド版はMCUに登場し、アイアンマンやドクター・ストレンジとも共演しています。

そのため、

「スパイダーマンはディズニーのキャラクターなの?」
「ソニーとマーベルはどういう関係?」
「映画化権は結局どこが持っているの?」

と混乱しやすい作品でもあります。

この記事では、スパイダーマンとソニー、マーベル、ディズニーの関係を、できるだけわかりやすく整理します。

※この記事では映画の内容そのものより、映画化権や制作会社の関係を中心に解説します。

結論|スパイダーマンはマーベルのキャラクターだが、映画はソニーが展開している

まず一番大事なところから整理すると、

スパイダーマンというキャラクターそのものはマーベルのキャラクターです。

しかし実写映画については、長年ソニー・ピクチャーズが映画シリーズを展開してきました。

そのため、

  • トビー・マグワイア版『スパイダーマン』
  • アンドリュー・ガーフィールド版『アメイジング・スパイダーマン』
  • トム・ホランド版『スパイダーマン』

はいずれもソニー・ピクチャーズと深く関わる映画です。

一方でトム・ホランド版は、ソニーとマーベル・スタジオの協力によってMCUへ参加しています。

つまりトム版は、

「ソニーのスパイダーマン映画でありながら、マーベル・スタジオと共同でMCUにもつながっている」

という特殊な立ち位置なのです。

そもそもスパイダーマンは誰が作ったキャラクター?

スパイダーマンは、マーベル・コミックスのキャラクターです。

ピーター・パーカー=スパイダーマンは1962年にコミックへ登場し、その後マーベルを代表するヒーローのひとりになりました。

ここだけを見ると、

「だったら映画もマーベルが自由に作れるのでは?」

と思います。

しかし映画では、キャラクターを生み出した会社と、そのキャラクターの映画を制作・配給する権利を持つ会社が必ずしも同じとは限りません。

スパイダーマンはその代表的な例です。

なぜソニーがスパイダーマン映画を作っているの?

スパイダーマンの映画展開については、ソニー・ピクチャーズが長年権利を持つ形でシリーズを制作してきました。

2002年にはサム・ライミ監督による『スパイダーマン』が公開され、トビー・マグワイアがピーター・パーカーを演じました。

その後、

  • 『スパイダーマン2』
  • 『スパイダーマン3』
  • 『アメイジング・スパイダーマン』
  • 『アメイジング・スパイダーマン2』

と、ソニーによる実写シリーズが続いていきます。

この時点では、後に誕生するMCUとは別の映画世界です。

▶ 映画『スパイダーマン』見る順番は?実写8作品とMCUの時系列を整理

ディズニーがマーベルを買収したら、スパイダーマンもディズニーになった?

ここが非常にややこしいところです。

マーベルは現在、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下です。

しかし、マーベルがディズニー傘下になったからといって、すでに存在していたスパイダーマン映画の権利関係まで自動的にディズニーへ移ったわけではありません。

そのためスパイダーマンは、マーベルを代表するキャラクターでありながら、映画ではソニーが重要な立場を持ち続けています。

この点が、アイアンマンやキャプテン・アメリカなどとは違うところです。

では、なぜトム・ホランド版はMCUに出られた?

大きな転機となったのが2015年です。

ソニー・ピクチャーズとマーベル・スタジオは2015年2月、新しいスパイダーマンをMCUへ登場させる協力関係を正式に発表しました。

公式発表では、

新しいスパイダーマンが、まずMCUのマーベル映画に登場する

ことが明記されています。

そして実際に、その最初の作品となったのが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でした。

▶ なぜ『シビル・ウォー』から突然スパイダーマンが登場した?ソニーとマーベルの契約を解説

2015年の契約でスパイダーマンをマーベルへ返したわけではない

ここは特に誤解されやすいところです。

2015年の合意によって、

「ソニーがスパイダーマンをマーベルへ返した」

わけではありません。

ソニー・ピクチャーズの公式発表では、ソニーが引き続きスパイダーマン映画について、

  • 資金提供
  • 配給
  • 所有
  • 最終的なクリエイティブ・コントロール

を持つことが明記されています。

その一方で、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギらが共同製作に入り、MCUとのつながりを作りました。

つまり、

「権利を完全に移した」のではなく、「ソニーとマーベルが協力してスパイダーマンをMCUで使えるようにした」

と考えるとわかりやすいでしょう。

トム・ホランド版はソニー映画?それともマーベル映画?

答えは、単純にどちらか一方とは言い切れません。

トム・ホランド版の単独映画は、ソニー・ピクチャーズが重要な権利と配給を持ちながら、マーベル・スタジオが共同製作する形で作られてきました。

一方、『シビル・ウォー』『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』などでは、ピーターがMCUのキャラクターたちと共演しています。

そのため観客から見ると、完全にMCUのヒーローのように見えます。

しかし映画ビジネス上は、ソニーとマーベル双方が関係する特殊なシリーズなのです。

なぜアイアンマンとあれほど深く関わった?

トム・ホランド版では、アイアンマン=トニー・スタークとの関係が非常に重要です。

これは、MCU版スパイダーマンであることを分かりやすく示す要素でもあります。

『シビル・ウォー』でピーターをスカウトするのもトニー。

『ホームカミング』で新しいスーツを与えるのもトニーです。

過去2シリーズにはなかったMCUヒーローとの直接的なつながりを作ることで、トム版が「新しい世界のスパイダーマン」であることが明確になりました。

▶ トム・ホランド版スパイダーマンはなぜアイアンマンと深く関わる?MCU独自設定を解説

トビー版とアンドリュー版もソニーなの?

はい。

トビー・マグワイア版もアンドリュー・ガーフィールド版も、ソニー・ピクチャーズが展開してきた実写スパイダーマン映画です。

大きく分けると、

トビー版
ソニーによるサム・ライミ版3部作

アンドリュー版
ソニーによる『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ

トム版
ソニーとマーベル・スタジオが協力し、MCUにも参加するシリーズ

という違いがあります。

3人ともピーター・パーカーですが、映画の世界はもともと別々です。

▶ トビー版・アンドリュー版・トム版スパイダーマンは何が違う?能力・性格・世界観を比較

『ノー・ウェイ・ホーム』で3つの映画世界がつながった

この複雑な歴史を映画そのものに取り込んだのが、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』です。

トム・ホランド版の世界へ、トビー・マグワイア版、アンドリュー・ガーフィールド版のピーターたちが登場します。

つまり、もともとは別々に作られていたソニーのスパイダーマン映画シリーズが、マルチバースという設定を使って一つの作品で交わりました。

長年の映画史を知っているほど楽しめる理由はここにあります。

▶ 『ノー・ウェイ・ホーム』でなぜトビーとアンドリューが戻ってきた?マルチバースを解説

ヴェノムはMCUなの?

さらに混乱しやすいのがヴェノムです。

ヴェノムもスパイダーマンと深い関係を持つマーベルのキャラクターですが、実写映画『ヴェノム』シリーズはソニー側で展開されています。

そのため、

「ヴェノムもトム・ホランド版スパイダーマンと最初から同じ世界なの?」

という疑問が生まれます。

実際には、MCUとソニー側の映画世界は単純に一つの世界というわけではなく、作品によってマルチバースを通じた接点が描かれています。

▶ ヴェノムとスパイダーマンは同じ世界?ソニー・スパイダーマン・ユニバースとの関係

2019年にはMCU離脱の危機もあった

ソニーとマーベルの関係は、ずっと何の問題もなく続いてきたわけではありません。

2019年には今後のスパイダーマン映画をめぐる両社の関係が注目され、トム・ホランド版スパイダーマンがMCUから離れるのではないかと大きな話題になりました。

しかし同年9月、ソニー・ピクチャーズとウォルト・ディズニー・スタジオは、トム・ホランド主演の『ホームカミング』シリーズ3作目をマーベル・スタジオと共同で制作することを正式発表しました。

さらに、スパイダーマンが将来のマーベル・スタジオ作品にも登場することが発表されています。

その3作目が『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』です。

ではディズニーはスパイダーマンにまったく関係ない?

そういうわけでもありません。

マーベル・スタジオはディズニー傘下であり、トム・ホランド版ではそのマーベル・スタジオが共同製作に参加しています。

さらに2021年には、ソニー・ピクチャーズとディズニーが米国での配信・テレビ放映に関する契約も発表しました。

ただしこれは、スパイダーマンの映画化権そのものをディズニーへ移す契約とは別の話です。

「Disney+でスパイダーマン映画を見られることがある」ことと、「ディズニーがスパイダーマン映画を所有している」ことは同じではありません。

ソニーはスパイダーマンを売ることはできる?

この点については、一般向けの記事では契約の細部まで断定しない方が安全です。

映画化権に関する契約条件は複雑で、公開されている情報だけではすべてを確認できません。

少なくとも公に確認できる範囲では、ソニーが長年スパイダーマン映画を制作・配給しており、2015年の公式発表でもソニーが引き続き重要な権利と最終的なクリエイティブ・コントロールを持つことが示されています。

そのため、ネット上でよく見かける

「○年映画を作らなければ自動的に全部マーベルへ戻る」

といった細かな条件を、公式資料なしで断定するのは避けた方がよいでしょう。

原作コミックはソニーのものではない

ここも整理しておきたいところです。

ソニーが関わっているのは、主にスパイダーマンの映画展開です。

原作コミックそのものまでソニーが所有しているわけではありません。

スパイダーマンは今もマーベルを代表するコミックキャラクターであり、マーベルの作品世界に存在しています。

映画だけを見ていると「ソニーのキャラクター」に見えますが、そこは分けて考える必要があります。

一番簡単に整理するとどうなる?

ややこしい話なので、最後にかなり簡単に整理します。

キャラクター・原作
→ マーベル

実写スパイダーマン映画の重要な権利・配給
→ ソニー・ピクチャーズ

トム・ホランド版のMCUとのつながり
→ ソニーとマーベル・スタジオの協力

マーベル・スタジオの親会社
→ ディズニー

この4つを分けて考えると、かなり理解しやすくなります。

まとめ|スパイダーマンは「マーベルなのにソニー」ではなく、両方が関わっている

スパイダーマンがソニー映画として公開されるのは、スパイダーマンの実写映画をソニー・ピクチャーズが長年展開してきたためです。

ただしスパイダーマンというキャラクター自体は、もともとマーベルのヒーローです。

そして2015年にソニーとマーベル・スタジオが協力することで、トム・ホランド版スパイダーマンはMCUへ参加できるようになりました。

そのため現在のトム版は、

「ソニーのスパイダーマン映画」

「マーベル・スタジオとの共同展開」

「MCUへの参加」

という、かなり特殊な形で成立しています。

この関係を知っておくと、なぜ『シビル・ウォー』から突然スパイダーマンが登場したのか、なぜヴェノムとの世界がややこしいのか、そしてなぜトム版だけアベンジャーズと共演できるのかも理解しやすくなります。

▶ なぜ『シビル・ウォー』から突然スパイダーマンが登場した?ソニーとマーベルの契約を解説

▶ ヴェノムとスパイダーマンは同じ世界?ソニー・スパイダーマン・ユニバースとの関係