『オデュッセイア』オデュッセウスの仲間はなぜ全滅した?死亡までの経緯を整理
※この記事には映画『オデュッセイア』の仲間たちの死亡、神牛事件、オデュッセウスが一人になるまでの重大なネタバレがあります。
トロイを出発した時、オデュッセウスは大勢の仲間とともに故郷へ向かいます。
ところが最終的に、
イタカへ帰るのはオデュッセウス一人。
です。
では仲間たちは、どこで、なぜ死んでいったのでしょうか。
実は一度に全員が死んだわけではありません。
怪物。
戦闘。
判断ミス。
そして最後には神の禁忌を破ったこと。
いくつもの出来事が重なっています。
結論|最後の直接原因は「太陽神の牛を食べたこと」
多くの仲間は旅の途中で少しずつ失われます。
しかし、最後まで残っていた仲間が一斉に死亡する直接の原因は、
神聖な牛を殺して食べたこと。
です。
その後、ゼウスの雷と嵐によって船が破壊され、オデュッセウス以外は全滅します。
①トロイア戦争を生き延びて帰路につく
まず仲間たちは10年間のトロイア戦争を生き延びています。
戦争が終わり、ようやく帰国できるはずでした。
しかし本当の苦難はここから始まります。
②航海序盤から戦闘で犠牲が出る
ホメロス原典では、帰還のかなり早い段階から戦闘が起こります。
すでにここで複数の仲間を失います。
つまりオデュッセウスの帰還は、最初から順調ではありません。
③ポリュペモスに仲間を食べられる
一つ目の巨人ポリュペモス(ぽりゅぺもす)の洞窟へ入った一行は閉じ込められます。
ポリュペモスは、オデュッセウスの仲間をつかまえて食べます。
ここで複数人が死亡します。
▶ 『オデュッセイア』キュクロプスとは何者?ポリュペモスの正体と目を潰した理由
④ライストリュゴネスによって船団が壊滅
さらに航海を続けた一行は、人食い巨人ライストリュゴネスに遭遇します。
原典ではここで非常に大きな被害が出ます。
多数の船が破壊され、仲間の多くが殺されます。
オデュッセウスの船だけが脱出。
する形になります。
⑤キルケの島では仲間が豚にされる
キルケ(きるけ)の島では、仲間たちが魔術によって豚へ変えられます。
ただしここでは、最終的に元の人間へ戻されます。
そのため「豚になった仲間がそのまま死亡した」というわけではありません。
▶ 『オデュッセイア』キルケは何者?仲間を豚にした理由とオデュッセウスとの関係
⑥エルペノルは事故で死亡
原典ではキルケの島で、エルペノル(えるぺのる)という若い仲間が死亡します。
酒に酔った状態で高い場所から落ち、首を折ってしまいます。
怪物に殺されたわけではありません。
冥界では、このエルペノルの魂がオデュッセウスへ埋葬を頼みます。
⑦スキュラに6人を奪われる
セイレーンを突破したあと、一行はスキュラとカリュブディスの海峡へ入ります。
船全体をカリュブディスへ飲み込ませないため、オデュッセウスはスキュラ側を通ります。
その結果、
6人がスキュラにさらわれ、食べられます。
▶ 『オデュッセイア』なぜ仲間6人を助けなかった?スキュラの場面でオデュッセウスが選んだもの
ここまでは「外からの危険」で死んでいる
ポリュペモス。
ライストリュゴネス。
スキュラ。
こうした場面では、外から現れた怪物や敵によって仲間が殺されます。
しかし最後の全滅は少し違います。
⑧トリナキア島へ到着
生き残った一行は、太陽神の牛がいる島へ到着します。
オデュッセウスは事前に、
「絶対に牛へ手を出してはいけない」
と警告されています。
そのため仲間へも同じことを伝えます。
⑨悪天候で島から出られない
最初は命令を守ります。
しかし船を出せない日々が続きます。
食料は減っていきます。
そしてついには、深刻な飢えに苦しみ始めます。
⑩仲間が牛を殺して食べる
オデュッセウスが離れている間、エウリュロコス(えうりゅろこす)が仲間たちを説得します。
飢え死にするくらいなら、神の牛を食べる。
そして帰国したら神殿を建てて償えばいい。
仲間たちはこの考えを受け入れます。
▶ 『オデュッセイア』太陽神ヘリオスの牛はなぜ食べてはいけなかった?仲間が全滅した理由
⑪ゼウスが船を破壊
神聖な牛を殺されたことで太陽神が怒ります。
そしてゼウスが処罰を行います。
一行が島を出たあと、嵐が起こります。
雷が船を直撃。
船は破壊されます。
仲間たちは海へ投げ出されます。
⑫オデュッセウスだけが生き残る
牛を殺すことに参加しなかったオデュッセウスだけが生き残ります。
壊れた船の一部につかまりながら漂流します。
そして最終的にカリュプソの島へ流れ着きます。
映画版でもこの大筋は同じ
ノーラン版では一部の寄港地や犠牲の描き方が短縮されています。
しかし、
仲間が少しずつ減っていく。
スキュラでさらに6人を失う。
神聖な牛を食べる。
船が破壊される。
オデュッセウスだけが残る。
という核は共通しています。
結局、仲間たちは「オデュッセウスのせい」で死んだ?
一言では決められません。
オデュッセウス自身の判断が原因になった犠牲もあります。
例えばスキュラでは、6人が死ぬと分かった航路を選びました。
一方、神聖な牛については、オデュッセウスは明確に止めています。
仲間自身が命令を破った結果です。
オデュッセウスにも失敗はある
オデュッセウスは完璧な船長ではありません。
危険な場所へ近づく。
情報を仲間へすべて伝えない。
自分の知恵を過信する。
そうした判断も旅を難しくしています。
仲間たちも完璧ではない
一方で仲間たちも、
命令に従わない。
欲望に負ける。
恐怖や空腹で判断を変える。
という行動を取ります。
『オデュッセイア』では、
英雄一人の失敗だけでなく、集団全体の弱さ
によって帰還が遠ざかっていきます。
ここからは考察|仲間が減るほどオデュッセウスは「英雄」ではなくなる
物語の初め、オデュッセウスは軍を率いる王です。
しかし旅が進むほど、
船を失う。
部下を失う。
権力を失う。
最後には一人の漂流者になります。
すべてを失った状態になって初めて、オデュッセウスは「王」ではなく一人の人間として故郷を求めることになります。
仲間全滅は物語の大きな転換点
仲間がいる間、オデュッセウスは指揮官です。
仲間が全滅した瞬間から、
命令する相手も、守る相手もいなくなる。
一人の男になります。
この後のカリュプソの島での長い時間が、より孤独なものになるのもそのためです。
まとめ|最後は自分たちの判断で禁忌を破り、全滅した
仲間が減っていく流れを整理すると、
戦闘や航海で犠牲が出る。
ポリュペモスに仲間を食べられる。
ライストリュゴネスに船団を破壊される。
スキュラに6人を奪われる。
残った仲間が神聖な牛を食べる。
ゼウスが船を破壊。
オデュッセウス以外が全滅。
という流れです。
最後に仲間たちを滅ぼした最大の原因は、
「危険だと分かっていた禁忌を、自分たちで破ってしまったこと」
でした。
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