※この記事には『麒麟の翼』の結末に関するネタバレがあります。

『麒麟の翼』というタイトルは、物語の舞台となる日本橋に実在する「翼を持つ麒麟像」から取られています。

しかし、なぜ作品タイトルにまで「麒麟の翼」が使われているのでしょうか。

結論からいうと、「麒麟の翼」は日本橋の麒麟像を示すと同時に、過去の過ちと向き合い、そこから未来へ進んでいくことを象徴するタイトルだと考えられます。

特に、父・青柳武明が息子・悠人へ残した思いと重ねると、タイトルの意味がより分かりやすくなります。

この記事でわかること

  • 『麒麟の翼』というタイトルの由来
  • なぜ麒麟に「翼」があるのか
  • 青柳武明が麒麟像を目指した意味
  • 息子・悠人と「翼」の関係
  • タイトルに込められた作品テーマ

『麒麟の翼』は日本橋の麒麟像から取られたタイトル

映画の冒頭から重要な場所として登場するのが東京・日本橋です。

青柳武明(中井貴一)は胸を刺されたあと約8分間歩き、翼を持つ麒麟像の下で力尽きます。

つまり「麒麟の翼」は、まず物語の重要な舞台そのものを示しています。

しかし本作では、この像が単なる事件現場以上の意味を持っています。

なぜ「麒麟」ではなく「麒麟の翼」なのか

タイトルが単に『麒麟』ではなく『麒麟の翼』となっているところが重要です。

「翼」という言葉からは、飛び立つこと、未来へ進むこと、自由になることなどが連想されます。

そして本作には、過去の出来事に縛られている若者たちが登場します。

青柳悠人(松坂桃李)もその一人です。

悠人は中学時代の水泳部事故に関わった過去を抱えながら、それと正面から向き合えずにいました。

父・青柳武明は息子に「先へ進んでほしい」と願っていた

青柳は息子の過去に気づき、自分自身で何が起きたのかを調べ始めます。

それは息子をただ責めるためだけではありません。

過ちをなかったことにはできない。

しかし過ちと向き合ったうえで、その先の人生へ進んでほしい。

そうした父親の思いが、翼を持つ麒麟のイメージと重なります。

過去から逃げることと未来へ進むことは違う

『麒麟の翼』で描かれる「未来へ進む」とは、過去を忘れることではありません。

むしろ逆です。

水泳部事故のように、過去の過ちを隠してしまえば、その問題は終わりません。

本当に前へ進むためには、自分がしたことを認め、責任と向き合う必要があります。

この意味で「翼」は、逃げるためのものではなく、向き合ったあとに未来へ進むための象徴と考えられます。

青柳が最後に麒麟像を目指したことにも意味がある

青柳は瀕死の状態でも麒麟像へ向かいました。

日本橋は、青柳が息子の過去と向き合うために何度も訪れていた場所です。

そこで七福神巡りをしていたことも、加賀恭一郎(阿部寛)の捜査によって分かります。

だからこそ、青柳が最後に麒麟像へたどり着くことは、作品タイトルと父親の思いを結びつける重要な場面になっています。

最後の8分間については、『麒麟の翼』青柳武明はなぜ麒麟像まで歩いた?8分間に込めた父の思いで詳しく考察しています。

「翼」は悠人だけを指しているとは限らない

ここからは作品全体を踏まえた考察です。

「翼」は悠人だけのものと限定する必要はないでしょう。

水泳部事故に関わった若者たち。

八島冬樹や中原香織。

そして家族の知らなかった一面を知る青柳家。

それぞれが過去や現実と向き合い、その先へ進もうとします。

そのため「麒麟の翼」は、一人の人物だけではなく、作品全体を貫く「未来へ進むこと」の象徴として読むことができます。

「愛と償い」もタイトルを理解する鍵

原作の公式紹介では、本作を「愛と償い」に関わる物語として紹介しています。

この二つは、本作を理解するうえで重要です。

愛しているから何をしても許されるわけではありません。

過ちを犯したなら、それと向き合い、償う必要があります。

そのうえで未来へ進む。

「愛」「償い」「未来」という流れを象徴するものとして、「翼」という言葉が非常に効果的に使われています。

まとめ|『麒麟の翼』は過去と向き合って未来へ進む物語

『麒麟の翼』というタイトルは、日本橋にある翼を持つ麒麟像から取られています。

しかし作品全体を見ると、それだけではありません。

過去の過ちと向き合い、償い、その先の未来へ進むこと。

その象徴として「翼」が使われていると考えられます。

青柳が最後に麒麟像へたどり着いたことも、息子・悠人に残した父親としての思いと重なります。

青柳親子についてさらに掘り下げたい方は、『麒麟の翼』父・青柳武明は息子を許していた?悠人に伝えたかったことを考察もあわせてご覧ください。

原作『麒麟の翼』を読む

タイトルの意味を考えながら原作を読むと、七福神巡りや青柳の行動がより印象的に感じられます。映画を観たあとに物語をもう一度掘り下げたい方にもおすすめです。

映画『麒麟の翼』を見返したい方へ

タイトルに込められた意味を意識して見返すと、日本橋や麒麟像の場面が違って見えてきます。DVD・Blu-rayで見直したい方は、ディスカスで作品を探してみてください。