※この記事には『麒麟の翼』の事件の真相に関するネタバレがあります。

『麒麟の翼』で、加賀恭一郎が青柳武明の足取りを調べるなかで重要な手掛かりとなるのが「日本橋七福神巡り」です。

青柳の家族は、なぜ父が日本橋へ通っていたのか知りませんでした。それだけに、「青柳はなぜ七福神巡りをしていたのか」が事件を解く大きな謎になります。

結論からいうと、青柳武明(中井貴一)の七福神巡りは、息子・悠人の過去と向き合い、事故で傷ついた吉永友之への思いを行動に表したものです。

単なる観光や趣味ではなく、父親としての「償い」と「祈り」に深く関わる行動だったと考えると、本作のタイトルやラストまでつながってきます。

この記事でわかること

  • 青柳武明が七福神巡りをしていた理由
  • なぜ家族に黙って日本橋へ通っていたのか
  • 息子・悠人の水泳部事故との関係
  • 七福神巡りと「償い」の意味
  • 麒麟像まで歩いた最後の行動とのつながり

青柳武明が七福神巡りをしていたことを加賀が突き止める

青柳武明が刺されたあと、加賀恭一郎(阿部寛)は被害者の死の直前だけでなく、生前の行動まで調べていきます。

そこで分かってくるのが、青柳が日本橋周辺で七福神巡りをしていたことでした。

講談社の原作紹介でも、加賀が青柳の「七福神巡り」を突き止めることが物語の重要なポイントとして紹介されています。

ところが、青柳の家族にはその目的に心当たりがありません。

つまり青柳は、家族にも詳しい理由を話さないまま日本橋へ通っていたのです。

七福神巡りは単なる趣味ではなかった

もし青柳が観光や趣味として七福神巡りをしていただけなら、殺人事件とはほとんど関係がありません。

しかし加賀が青柳の足取りを追うことで、その行動が息子・青柳悠人(松坂桃李)の過去とつながっていることが見えてきます。

悠人が中学生だったころ、水泳部では吉永友之(菅田将暉)が深刻な被害を受ける事故が起きていました。

青柳はその出来事に息子が関わっていたことを知り、父親として過去と向き合おうとしていたのです。

青柳は息子の代わりに「償い」を考えていた

ここで重要なのは、青柳が息子の過去を知って終わりにしなかったことです。

起きてしまったことをなかったことにはできません。

しかも事故によって傷ついた人の人生は、その後も続いています。

青柳は「息子がしたことだから自分には関係ない」と切り離すのではなく、父親として自分にもできることがないか考えていたと読み取れます。

七福神巡りには、そうした青柳の祈りや償いの気持ちが重なっています。

なぜ悠人本人に直接聞かなかったのか

青柳と悠人の間には距離がありました。

親子であっても、何でも話せる関係ではありません。

悠人もまた、自分が抱えている過去を父に素直に話せずにいました。

そのため青柳は、息子から答えを聞くだけではなく、自分自身で過去をたどっていきます。

このすれ違いについては、『麒麟の翼』青柳悠人は何を隠していた?父との確執と水泳部の事故を解説でも詳しく整理しています。

七福神巡りは「父親が息子を知るための道」でもあった

『麒麟の翼』では、青柳家の家族が事件後に「父親のことを何も知らなかった」と気づいていきます。

しかし、それは逆方向にも言えます。

青柳自身も、息子が何を経験し、何を抱えていたのか十分には知りませんでした。

七福神巡りを含む日本橋での行動は、父が息子の知らなかった部分へ近づいていく過程でもあります。

最後に麒麟像へ向かったことともつながる

青柳は刺されたあと、助けを求めず約8分間歩き、日本橋の翼を持つ麒麟像の下までたどり着きます。

青柳が以前から日本橋へ通っていたことを知らなければ、この行動は非常に不可解です。

しかし七福神巡りと息子への思いを知ると、日本橋が青柳にとって特別な場所になっていたことが分かります。

青柳の最後の8分間については、『麒麟の翼』青柳武明はなぜ麒麟像まで歩いた?8分間に込めた父の思いで詳しく考察しています。

七福神巡りには『麒麟の翼』のテーマが凝縮されている

七福神巡りは、殺人事件を解くための手掛かりであるだけではありません。

過去の過ちとどう向き合うのか。

家族のために何ができるのか。

そして、傷つけてしまった相手にどう償うのか。

青柳の行動には、『麒麟の翼』が描く「愛」と「償い」というテーマが重なっています。

まとめ|七福神巡りは息子の過去と向き合った父の行動だった

青柳武明が日本橋で七福神巡りをしていたのは、単なる趣味や観光ではありません。

息子・悠人の中学時代に起きた水泳部事故を知り、その過去と父親として向き合おうとしていました。

家族には理解されていなかった七福神巡りですが、事件の真相が明らかになることで、その行動に込められていた父の思いも見えてきます。

そして日本橋へ通い続けた青柳だからこそ、最後に麒麟像を目指した行動にも大きな意味が生まれるのです。

事件全体を確認したい方は、『麒麟の翼』ネタバレ解説|犯人・事件の真相・結末・ラストまで完全整理もあわせてご覧ください。

原作『麒麟の翼』を読む

原作では「七福神巡り」が重要な手掛かりとして描かれています。青柳が日本橋へ通った理由や、加賀がその意味へ近づいていく過程をじっくり追いたい方におすすめです。

映画『麒麟の翼』を見返したい方へ

七福神巡りの意味を知ってから見返すと、日本橋での青柳の行動が初見とは違って見えてきます。DVD・Blu-rayで見直したい方は、ディスカスで作品を探してみてください。