『ガス人間』なぜ連続殺人をした?犯行予告と復讐の目的を解説
※この記事にはNetflixシリーズ『ガス人間』最終回までの重大なネタバレがあります。
Netflix『ガス人間』では、ガス人間・堤田蓮(UTA)が次々と人を殺します。
しかも無差別に襲うのではなく、犯行を予告し、特定の人物を狙います。
では、
「蓮はなぜ連続殺人をしたの?」
「ホワイトセンターへの復讐だった?」
というところですが、ここには大きな仕掛けがあります。
結論から言うと、
殺人を実行したのは蓮ですが、連続殺人を計画し、復讐を願っていたのは甲野京子(蒼井優)でした。
つまりガス人間事件は、単純な「怪人の復讐劇」ではありません。
蓮はホワイトセンターの被害者だった
蓮は27年前、ホワイトセンターに関係する危険な隕石処理作業へ投入されます。
そこで身体に異変が起き、ガス人間となりました。
その後、事件を隠蔽しようとする側によって現場ごと爆破され、人間としての生活を失います。
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幼い京子もホワイトセンターの被害者
京子もまた、ホワイトセンターで過酷な状況を経験しています。
危険な作業へ連れて行かれた人たちが遺体として戻ってくる。
自分もいつ同じ目に遭うか分からない。
そんな環境から逃げた京子を救ったのが蓮でした。
京子にとって蓮は「自分を救った人」だった
ブンコラーメンで出会った蓮は、京子を助けます。
しかしその後、蓮自身が危険な作業へ向かい、普通の人間として帰ってくることはありませんでした。
京子からすれば、
自分を救った人が、ホワイトセンターとその背後の人間たちによって人生を奪われた
ことになります。
大人になった京子はガス人間となった蓮を発見する
それから長い時間がたち、京子は大人になります。
そして廃墟で、石像のような状態になっている蓮を見つけます。
京子は蓮が死んでいなかったことを知ります。
しかし蓮は、以前のように自由に生きる人間ではありませんでした。
京子は蓮の「願いを叶える性質」に気付く
思い出の曲「いとしのエリー」をきっかけに蓮が活動すること。
そして、与えられた願いを実行する存在となっていること。
京子はその性質を理解していきます。
ここから復讐が始まります。
最初の復讐は森靖利
京子が最初に蓮へ殺害を願った相手が、森靖利(竹野内豊)です。
森は元ヤクザで、過去のホワイトセンターに関係していました。
京子は蓮へ森の殺害を願います。
そしてガス人間は、その願いを実行します。
第1話の佐野教授殺害も京子の復讐
続いて標的となるのが佐野久伍(モーリー・ロバートソン)です。
佐野はホワイトセンターに関わった人物。
第1話の生放送中、ガスが佐野の体内へ侵入し、身体が破裂します。
この事件によって、日本中がガス人間の存在を知ることになります。
なぜわざわざ犯行予告をした?
京子の目的は、単に関係者を一人ずつ殺すことだけではありません。
ホワイトセンターの過去そのものを世間へ表に出す必要がありました。
そのためガス人間事件を大きな社会事件にし、
警察と報道を動かして過去を掘り返させる
狙いもあったと考えられます。
標的や現場に残された情報が、過去の関係者へつながっていくのはそのためです。
京子は「事件を追う記者」と「事件を起こす側」の両方だった
ここが本作最大の仕掛けです。
表の京子は報道記者。
ガス人間の正体を追い、事件の真相を報道する側にいます。
しかし裏では、自分で蓮へ復讐を願っていた。
つまり、
自分が起こした事件を、自分で取材していた
ことになります。
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京子がラーメン屋を知らないフリしたのも同じ理由
京子は昔のブンコラーメンを知っていました。
蓮と過ごした場所だからです。
それでも記者として取材し、初めて情報を得たように動きます。
最初から知っていたと分かれば、蓮との関係を疑われるためです。
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大友三郎も標的になる
藤代会の大友三郎(中野英雄)も、ホワイトセンターの過去とつながる人物です。
ガス人間による復讐は、警察、暴力団、学者など、当時の事件へ関わった人々を次々にたどっていきます。
最後の復讐相手が「カイ」
京子は事件を追う中で、「カイ」と呼ばれる人物が残っていることを知ります。
そして「カイ」の正体が、東京都知事・三浦威(岡部たかし)だと判明します。
三浦は「無風」の中心人物であり、ホワイトセンターの過去ともつながっていました。
ところが三浦にガス人間を奪われる
京子は三浦を最後の復讐相手として蓮へ殺害させようとします。
しかし三浦側も、ガス人間を動かす方法を知ってしまいます。
そして逆に、蓮を自分のために利用し始めます。
ここでガス人間は、復讐する側から再び権力者の道具へ戻されてしまいます。
三浦は選挙のためにガス人間を利用した
三浦はガス人間への恐怖を政治利用します。
最終回で起きる選挙事務所襲撃も、自分が被害者になることで支持を集めようとする自作自演でした。
蓮はここでも、他人の目的を達成する「道具」にされています。
蓮本人は本当に復讐を望んでいた?
ここが最も重要な問題です。
京子は、ホワイトセンターの被害者である蓮のためにも復讐しているつもりだったでしょう。
しかし岡本賢治(小栗旬)は、蓮本人が本当に殺人を望んだのかと京子へ問いかけます。
人間時代の蓮は、優しい人物でした。
だから京子の復讐は、蓮を救う行為であると同時に、
蓮を新しい形で利用する行為
にもなってしまったのです。
被害者だった京子も加害者になる
京子は間違いなく被害者です。
幼少期をホワイトセンターで奪われ、蓮まで失いました。
しかし、被害者であることと、人を殺させた責任は別です。
復讐を続けるうちに、京子自身も蓮を「願いを叶える道具」として扱ってしまいます。
この矛盾が最終回の京子の決断につながります。
最終回で京子は復讐を終わらせる
三浦の悪事が暴かれたあと、京子は蓮を止めるためJNT旧社屋へ向かいます。
自分が始めた復讐の連鎖を、自分で終わらせるためです。
蓮とともに金庫室で姿を消すという選択は、京子自身が罪を引き受ける行為でもありました。
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ガス人間は殺人鬼なのか、それとも被害者なのか
答えは両方です。
実際に殺人を行った存在である以上、ガス人間は恐ろしい存在です。
しかし蓮本人は、
ホワイトセンター。
京子。
三浦。
と、何度も他人から利用され続けました。
だから『ガス人間』は、単純な復讐ものではありません。
誰かを道具として扱う行為そのものが、同じ悲劇を繰り返していく物語です。
「人間燃料」という言葉にもつながる
三浦は弱い人間を「人間燃料」のように扱います。
自分が上へ行くために、誰かが犠牲になればいい。
その考え方はホワイトセンターの時代から続いていました。
そして皮肉にも、復讐をする京子も蓮を目的達成のために使ってしまいます。
まとめ
ガス人間による連続殺人は、蓮自身が自由な意思で始めた復讐ではありません。
計画していたのは京子でした。
京子は、ホワイトセンターによって人生を壊された自分と蓮のため、関係者への復讐を蓮へ願います。
しかしその結果、
蓮は再び「誰かの目的のために使われる存在」になってしまいました。
だから最終回の京子は、復讐を成功させて終わるのではありません。
自分が蓮を利用した責任まで引き受ける形で、連鎖を終わらせます。
ガス人間がなぜ殺したのかを追うと、最終的には、
「誰が蓮を殺人鬼にしたのか?」
という、もっと重い問いにたどり着く作品です。
