※この記事には『麒麟の翼』の犯人に関する重大なネタバレがあります。

『麒麟の翼』では、青柳武明が刺され、そのバッグを持っていた八島冬樹が容疑者として浮上します。

ところが物語が進むと、八島を犯人とするには不自然な点が次々と見つかります。

結論からいうと、八島冬樹(三浦貴大)は青柳武明を刺した犯人ではありません。

青柳の死の背景には、息子・悠人たちが関わった過去の水泳部事故があり、現在の殺人事件はその過去とつながっていました。

この記事でわかること

  • 青柳武明を刺した犯人は誰なのか
  • 八島冬樹が犯人だと思われた理由
  • 水泳部の事故と殺人事件のつながり
  • 青柳が殺されることになった経緯
  • 加賀恭一郎が真相へたどり着いたポイント

最初に疑われたのは八島冬樹

青柳武明(中井貴一)が刺されたあと、青柳のバッグを持って逃げていた八島冬樹が車にはねられます。

警察から見れば、八島は非常に疑わしい人物でした。

被害者の持ち物を持っていたうえ、現場付近から逃走していたからです。

八島の恋人・中原香織(新垣結衣)が無実を訴えても、状況証拠だけなら八島が犯人に見えてしまいます。

しかし八島を犯人とすると説明できない謎が残る

加賀恭一郎(阿部寛)が注目したのは、八島だけではありませんでした。

むしろ重要だったのは、被害者である青柳自身の行動です。

青柳は胸を刺されながら、助けを求めるのではなく日本橋の麒麟像まで歩き続けています。

もし単純な強盗殺人だったのなら、なぜ被害者がこのような不可解な行動を取ったのか説明できません。

加賀はそこから、青柳が事件前に何をしていたのかを調べ始めます。

事件の鍵は青柳悠人の中学時代にある

捜査によって浮かび上がってくるのが、青柳の息子・青柳悠人(松坂桃李)の過去です。

悠人が所属していた水泳部では、重大な事故が起きていました。

そして、その事故に関わった人々が真実を隠したことが、後の悲劇へつながっていきます。

青柳は息子の過去に何かがあることに気づき、自分なりに真相へ近づこうとしていました。

詳しい事故の経緯については、『麒麟の翼』水泳部で何があった?事故と隠蔽が事件につながった理由で整理しています。

青柳殺害は過去の隠蔽と切り離せない

青柳が殺された理由を理解するには、犯行の瞬間だけを見るのでは足りません。

過去に起きた事故と、それを隠そうとした行動までさかのぼる必要があります。

青柳は父親として息子の過去に向き合い、真相を知ろうとします。

その行動が、結果的に現在の事件へつながってしまったのです。

「なぜ青柳が殺されなければならなかったのか」という点については、『麒麟の翼』青柳武明はなぜ殺された?事件が起きた本当の理由で詳しく解説しています。

八島が青柳のバッグを持っていたことで真相が見えにくくなった

『麒麟の翼』が巧妙なのは、八島の行動によって事件の構図が大きく歪んで見えるところです。

八島が青柳のバッグを持っていたことは事実です。

しかし、「バッグを持っていた=青柳を刺した」ということではありません。

この二つを切り離せるかどうかが、事件を見るうえで重要になります。

八島に何が起きていたのかは、八島冬樹は犯人ではない?青柳のバッグを持っていた理由と真相で詳しくまとめています。

加賀は被害者側から事件を見直した

加賀の捜査で特徴的なのは、容疑者だけを追わないことです。

青柳がなぜ日本橋にいたのか。

なぜ七福神巡りをしていたのか。

なぜ刺されたあと麒麟像へ向かったのか。

こうした被害者側の行動を調べることで、事件発生時だけでは見えなかった過去が明らかになります。

結果として、現在の殺人事件と過去の事故が一本につながっていきます。

犯人を知ってから見ると『麒麟の翼』の印象は変わる

初見では「誰が青柳を刺したのか」が大きな謎です。

しかし真相を知ったあとに見返すと、作品の中心が犯人当てだけではないことが分かります。

青柳が何を知ろうとしていたのか。

なぜ息子に直接問いただすのではなく、自分で日本橋へ通っていたのか。

そして、なぜ最後に麒麟像を目指したのか。

犯人が分かったあとには、むしろ父・青柳の行動の意味が強く残ります。

まとめ|八島冬樹を犯人と思わせる構成の先に本当の事件がある

『麒麟の翼』では、青柳のバッグを持って逃げていた八島冬樹が最初の容疑者になります。

しかし八島は青柳を刺した犯人ではありません。

真相へたどり着くためには、青柳悠人たちの過去、水泳部で起きた事故、その後の隠蔽、そして父・青柳が何をしようとしていたのかまでさかのぼる必要があります。

事件全体を最初から整理したい方は、『麒麟の翼』ネタバレ解説|犯人・事件の真相・結末・ラストまで完全整理もあわせてご覧ください。

原作『麒麟の翼』で事件を読み直す

東野圭吾の原作では、加賀が手掛かりを積み重ねて真相へ近づいていく過程をじっくり追えます。映画を観てから原作を読むと、事件の構造をより整理しやすくなります。

映画版を見返したい方へ

犯人と真相を知ったうえで映画を見直すと、初見では何気なく見えた青柳の行動にも意味があることが分かります。DVD・Blu-rayで見直したい場合は、ディスカスで取り扱いを確認できます。