実写映画『ルックバック』出口夏希の藤野は原作とどう違う?
※この記事には実写映画『ルックバック』と原作漫画の内容についてネタバレがあります。
実写映画『ルックバック』で成長後の藤野を演じているのが、出口夏希です。
原作の藤野は、負けず嫌いで自信家。
しかし同時に繊細で、京本の才能に大きく揺さぶられる人物です。
実写版の出口夏希は、この藤野をどのように演じているのでしょうか。
結論|性格の核は原作にかなり忠実だが、実写では感情の揺れがより身体的に見える
実写版の藤野は、
負けず嫌い。
漫画が大好き。
京本の才能に嫉妬する。
褒められると素直に嬉しい。
京本を失ったあと自分を責める。
という基本的な人物像を原作から大きく変えていません。
一方、実写では出口夏希本人の表情や動きが加わるため、藤野の感情がより直接的に伝わります。
原作の藤野はかなり表情豊か
藤野は、クールな主人公ではありません。
褒められれば得意になる。
京本に負けたと思えば悔しがる。
認められれば大喜びする。
感情がかなり分かりやすい人物です。
出口夏希も「負けず嫌い」を役の中心に置いている
出口夏希は原作を読みながら、藤野について、
負けず嫌いで、漫画が好きでしょうがない人物。
として捉えたと語っています。
つまり実写版でも、この性格は変えられていません。
原作より実写の方が「人間くささ」が見えやすい
漫画では、一つの表情を一コマで強く表現できます。
実写では、
視線が動く。
少し黙る。
呼吸が変わる。
口元が緩む。
そうした細かな変化が続きます。
そのため、藤野の感情が爆発する瞬間だけでなく、そこへ至る途中も見えます。
特に京本への嫉妬が実写では生々しい
藤野は、京本の画力を見て大きなショックを受けます。
原作ではテンポよく描かれるこの変化も、実写では、
自信を失う藤野。
必死に描き続ける藤野。
という時間を身体を通して見せます。
▶ 実写映画『ルックバック』藤野はなぜ漫画をやめた?京本の絵を見た後の変化
出口夏希自身も漫画制作を猛練習した
実写版の大きな違いは、俳優本人が本当に漫画を描いていることです。
出口夏希は撮影の約4か月前からGペンの使い方を練習しました。
人物を描く練習も行い、線を迷いなく引けるようになるまで繰り返し描いています。
だから「藤野はずっと描いてきた人」に見える
藤野は物語上、何年も漫画を描いています。
もし俳優の手つきが初心者に見えれば、実写では違和感が出ます。
そこで出口夏希自身が、
漫画を描き慣れた人の手。
を作っています。
原作にはない実写ならではの説得力
これは原作との差というより、媒体の違いです。
漫画では、藤野が漫画家だと絵で理解できます。
実写では、
実際に紙へペンを走らせる身体。
によって藤野が漫画家であることを見せています。
▶ 実写映画『ルックバック』漫画を描く音が印象的なのはなぜ?是枝裕和の演出を考察
藤野と京本の会話は原作をかなり生かしている
主演二人によると、実写版の脚本は、
原作漫画のセリフがそのまま残っている部分が多い。
とのことです。
そのため藤野の言葉遣いや基本的なやり取りは、原作ファンにもなじみやすいものになっています。
ただし現場でセリフが追加されることもあった
是枝作品らしく、実際の芝居を見ながら、その場で言葉が加えられることもあったと出口夏希と蒔田彩珠は語っています。
つまり、
原作をそのまま読ませるだけではなく、生身の二人として自然に会話するよう調整。
されています。
実写版の藤野は原作以上に「普通の少女」に見える瞬間がある
原作の藤野は、短いページ数の中で物語を進める必要があります。
そのため、漫画を描く藤野としての印象が非常に強いです。
実写版では上映時間が広がり、
歩く。
食べる。
話す。
雪の中を進む。
といった日常が増えます。
その結果、漫画家になる前の普通の少女としての藤野も感じやすくなります。
京本に褒められた時の喜びがより大きく感じられる
藤野は京本に負けたと思い、一度漫画をやめます。
ところが京本本人は藤野の大ファンでした。
実写版では、その時の藤野の戸惑いや喜びが表情と動きで表現されます。
そして雨の中を走る場面へつながります。
▶ 実写映画『ルックバック』藤野はなぜまた漫画を描き始めた?
実写版の藤野は京本との距離感も細かく変化する
最初はライバル。
次に憧れられる相手。
その後は友達。
創作パートナー。
そして別々の道へ進む。
実写版では、この距離の変化を表情や沈黙で見せる場面が増えています。
京本を失った後の藤野は実写だとさらに重い
原作でも非常に重い場面です。
しかし実写では、
実在する人間がその場に立っている。
という現実感があります。
出口夏希演じる藤野が、京本の不在を目の前で受け止めることで、喪失がより生々しく見えます。
原作の藤野より大人っぽくなった?
見た目の印象としては、実写の出口夏希は原作のデフォルメされた藤野とは当然違います。
ただし、
「原作より冷静な人物に変更された」
というほど性格が変えられているわけではありません。
むしろ感情の強さは残しつつ、実写として自然な表現に置き換えられています。
ここからは考察|出口夏希の藤野は「格好悪さ」を隠さないのがいい
藤野は完璧な主人公ではありません。
嫉妬します。
見栄も張ります。
傷つきます。
京本が離れると寂しがります。
失った後には、自分を責めます。
出口夏希の藤野も、その格好悪い部分を消していません。
だからこそ、最後に再び描き始める場面に説得力があります。
まとめ|出口夏希の藤野は原作の性格を残し、実写ならではの「身体」を加えた
原作と実写版の藤野を整理すると、
負けず嫌いという基本性格は同じ。
漫画への執着も原作通り。
京本への嫉妬や憧れも大きく変更されていない。
実写では表情・沈黙・身体の動きが加わる。
出口夏希本人が漫画制作を練習し、実際の手元も使用されている。
原作のセリフを生かしつつ、実写として自然な会話も追加されている。
という違いがあります。
つまり出口夏希の藤野は、
原作の藤野を別人に変えたのではなく、「本当にこの世界にいたらどんな人間になるか」を実写へ置き換えた藤野
と見るのが近いでしょう。
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