『ノー・ウェイ・ホーム』でなぜトビーとアンドリューが戻ってきた?マルチバースを解説
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』最大のサプライズといえば、トビー・マグワイア版とアンドリュー・ガーフィールド版のスパイダーマンが登場したことです。
それまで別々の映画シリーズとして描かれてきた3人のピーター・パーカーが、同じ画面に並びました。
しかし、
「なぜトビーとアンドリューまでMCUに来られたの?」
「3人は同じ世界のスパイダーマンなの?」
「マルチバースって結局どういうこと?」
と、少し分かりにくい部分もあります。
この記事では、『ノー・ウェイ・ホーム』でトビー・マグワイア版とアンドリュー・ガーフィールド版が戻ってきた理由と、マルチバースの仕組みを整理します。
※この記事は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の重大なネタバレを含みます。
結論|ドクター・ストレンジの魔法で別世界の人物がMCUへ引き寄せられた
トビー版とアンドリュー版のスパイダーマンが登場した理由は、ドクター・ストレンジの魔法によってマルチバースの境界が壊れたからです。
『ノー・ウェイ・ホーム』では、ミステリオによってピーター・パーカーの正体が世界中に知られてしまいます。
ピーターは元の生活を取り戻すため、ドクター・ストレンジに、
「みんなにピーター・パーカーがスパイダーマンだということを忘れさせてほしい」
と頼みます。
しかし魔法の途中でピーターが何度も条件を変更したため、呪文が暴走します。
その結果、別の宇宙から「ピーター・パーカーがスパイダーマンだと知っている人物」がMCUの世界へ引き寄せられてしまいました。
ソニー・ピクチャーズ公式も、『ノー・ウェイ・ホーム』について、ドクター・ストレンジの魔法が世界に穴を開け、別の宇宙でスパイダーマンと戦った人物たちが現れる物語だと説明しています。
トビー版・アンドリュー版・トム版は別の宇宙にいる
3人は同じピーター・パーカーが成長した姿ではありません。
それぞれ別の宇宙に存在するピーター・パーカーです。
分かりやすく整理すると、
トビー・マグワイア版
→ サム・ライミ監督の『スパイダーマン』3部作の世界
アンドリュー・ガーフィールド版
→ 『アメイジング・スパイダーマン』シリーズの世界
トム・ホランド版
→ MCUの世界
です。
3人とも名前はピーター・パーカーで、スパイダーマンとして活動していますが、これまで経験してきた人生は違います。
▶ トビー版・アンドリュー版・トム版スパイダーマンは何が違う?能力・性格・世界観を比較
マルチバースとは?
マルチバースを簡単に言えば、「ひとつではなく、複数の宇宙が並行して存在している」という考え方です。
ある宇宙ではトム・ホランドのピーターが存在し、別の宇宙ではトビー・マグワイアのピーター、さらに別の宇宙ではアンドリュー・ガーフィールドのピーターが存在します。
通常であれば、それぞれの世界は交わりません。
しかし『ノー・ウェイ・ホーム』ではドクター・ストレンジの魔法によって境界が崩れ、別々の世界の人物が同じ宇宙へ集まってしまいます。
これによって、過去の実写スパイダーマン映画そのものを、「別宇宙で実際に起きていた物語」としてMCUの物語に組み込むことが可能になりました。
なぜヴィランまで過去作品から戻ってきた?
最初に別世界から現れるのは、スパイダーマンたちではなく過去シリーズのヴィランです。
- グリーン・ゴブリン
- ドクター・オクトパス
- サンドマン
- エレクトロ
- リザード
彼らはトビー版またはアンドリュー版の世界でスパイダーマンと戦った人物です。
共通しているのは、ピーター・パーカーがスパイダーマンであることを知る人物だという点です。
つまり、魔法が呼び寄せた対象は「悪役」だからではありません。
ピーター・パーカーとスパイダーマンの正体を知る人物だったため、別世界から引き寄せられたのです。
ではトビーとアンドリューも同じ理由で来た?
はい。
トビー版とアンドリュー版のピーターは、当然ながら自分自身がピーター・パーカー=スパイダーマンだと知っています。
そのため、ストレンジの魔法によってMCU側の宇宙へ引き寄せられたと考えられます。
映画では、2人がこちらの世界へ来た瞬間そのものは描かれていません。
しかし2人とも、気がついたら見知らぬ世界へ来ており、スパイダーマンを探していたことを話します。
なぜネッドのポータルから突然出てきた?
メイおばさんを失ったトム版ピーターを探すため、MJとネッドはドクター・ストレンジのスリング・リングを使います。
ネッドが、
「ピーター・パーカーを見つけたい」
と念じながらポータルを開くと、そこに現れたのがアンドリュー・ガーフィールド版のピーターでした。
さらにもう一度試すと、今度はトビー・マグワイア版のピーターが現れます。
重要なのは、このポータルによって2人が別宇宙から召喚されたわけではないということです。
2人はすでにストレンジの魔法によってMCUの世界へ来ていました。
ネッドのポータルは、その世界の中にいた別のピーターを見つけただけです。
なぜ3人のスパイダーマンを登場させた?
映画の制作面でも、3人を共演させるアイデアは非常に大きな意味を持っていました。
マーベル公式のインタビューでトム・ホランドは、監督ジョン・ワッツからトビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドを登場させる構想を聞いた際、最初は実現するとは思わなかったと振り返っています。
実際に実現したことで、2002年から続いてきた3世代の実写スパイダーマンを一つの物語にまとめることができました。
ホランド自身も、過去2シリーズが自分のスパイダーマンに大きな影響を与えたと語っています。
単なるゲスト出演ではなく、約20年にわたる実写スパイダーマン映画をつなぐ物語として作られたのです。
トビー版ピーターはその後どうなっていた?
トビー版のピーターは、『スパイダーマン3』から年月が経った姿で登場します。
以前より落ち着いた人物になっており、トム版やアンドリュー版にとって年長者のような立場になります。
映画では、MJとのその後について詳しく描かれません。
ただし会話からは、2人の関係が簡単ではなかったものの、今も続いていることをうかがわせます。
つまり、『ノー・ウェイ・ホーム』のトビー版は『スパイダーマン3』直後ではなく、その後も人生を歩んできたピーターです。
アンドリュー版ピーターはグウェンの死を引きずっていた
アンドリュー版にとって特に重要なのが、グウェン・ステイシーの存在です。
『アメイジング・スパイダーマン2』でピーターはグウェンを救うことができませんでした。
『ノー・ウェイ・ホーム』では、その喪失が今も大きな傷として残っていることを明かします。
グウェンを失った後、彼はスパイダーマンとして以前より荒々しくなっていたことも語っています。
つまりアンドリュー版の登場は、単なる懐かしいキャラクターの復活ではありません。
『アメイジング・スパイダーマン2』で終わっていたピーターのその後も描いているのです。
▶ 『アメイジング・スパイダーマン3』はなぜ作られなかった?シリーズ終了の理由
アンドリューがMJを救う場面の意味
『ノー・ウェイ・ホーム』でも特に印象的なのが、MJが高い場所から落下する場面です。
トム版ピーターが救おうとしますが間に合わず、代わりにアンドリュー版ピーターが飛び込みます。
そして今度は、MJを無事に救うことができます。
これは明らかに『アメイジング・スパイダーマン2』でグウェンを救えなかった場面と重なる演出です。
MJを抱えたアンドリュー版ピーターは、言葉ではなく表情だけで感情を見せます。
過去をやり直すことはできない。
しかし、かつて救えなかった自分が、今度は別のピーターにとって大切な人を救えた。
この場面は、アンドリュー版ピーターにとって一種の救済になっています。
トビー版がトム版の復讐を止める意味
メイを殺されたトム版ピーターは、グリーン・ゴブリンへの怒りに支配されます。
そしてゴブリンを殺そうとした瞬間、その攻撃を止めるのがトビー版ピーターです。
トビー版自身も、過去に怒りや復讐心に苦しんできました。
ベンおじさんの死、ハリーとの関係、黒いスーツによる変化などを経験しています。
だからこそ、トム版が怒りによって取り返しのつかないことをする前に止めることができたと考えられます。
3人のピーターが集まった意味は、戦力が3倍になったことだけではありません。
それぞれが経験してきた失敗や喪失を、別のピーターを助けるために使っているのです。
3人とも同じ経験をしているわけではない
3人は同じピーター・パーカーですが、人生はかなり違います。
それでも共通しているのは、
- 大切な人を失った経験
- 自分の力に責任を持つこと
- 普通の生活とヒーロー活動の両立
- 孤独
- 失敗しても人を助け続けること
です。
そのため、トム版ピーターがメイを失ったとき、トビー版とアンドリュー版だけは彼の苦しみを本当の意味で理解できます。
「自分だけがこんな思いをしている」と感じていたトム版に、別の世界にも同じように苦しんできた自分がいることを見せる。
ここが3人の共演の重要な意味です。
なぜ3人とも名前がピーター・パーカーなの?
マルチバースでは、似た人物が異なる宇宙に存在することがあります。
今回の3人は全員、
ピーター・パーカーとして生まれ、スパイダーマンになった別宇宙の人物です。
そのため3人が一緒にいると、誰を「ピーター」と呼んでいるのか分からなくなります。
映画ではそれを利用し、3人が「ピーター1」「ピーター2」「ピーター3」のように呼び分けるコミカルな場面も描かれます。
なぜトビー版だけウェブを体から出せる?
3人が集まったことで、過去シリーズの設定の違いも映画内でネタになります。
代表的なのがウェブです。
アンドリュー版とトム版は、自作したウェブ・シューターから人工的なウェブを発射します。
ところがトビー版だけは、自分の体から直接ウェブを出します。
それを知った他の2人が驚き、どのように出しているのか質問する場面があります。
『ノー・ウェイ・ホーム』は、シリーズ間の違いを消すのではなく、むしろ違いそのものを物語に取り込んでいます。
▶ スパイダーマンのウェブは体から出る?機械?トビー・アンドリュー・トム版の違い
▶ なぜトビー版スパイダーマンだけ糸を体から出せる?原作との違いを解説
過去の映画はMCUの過去になったの?
ここも間違えやすいところです。
トビー版やアンドリュー版の映画が、トム版MCUの過去になったわけではありません。
それぞれ別の宇宙で起きた物語です。
『ノー・ウェイ・ホーム』によって、その別々の宇宙が一時的につながっただけです。
したがって、
トビー版 → アンドリュー版 → トム版
という一人のピーターの時系列ではありません。
3シリーズはそれぞれ独立しており、マルチバースによって共演したと理解すると分かりやすいでしょう。
なぜ『ノー・ウェイ・ホーム』を先に見ると少しもったいない?
『ノー・ウェイ・ホーム』だけを見ても物語自体は理解できます。
ただし、トビー版とアンドリュー版を先に見ていると、多くの場面の意味が大きく変わります。
たとえば、
- ドクター・オクトパスとトビー版の再会
- グリーン・ゴブリンとの因縁
- アンドリュー版とエレクトロの関係
- グウェンを失ったアンドリュー版の苦しみ
- MJを救う場面
- トビー版が復讐を止める場面
などは、過去作を知っているほど深く理解できます。
『ノー・ウェイ・ホーム』はトム版3部作の完結編であると同時に、過去の実写スパイダーマン映画への続編的な要素も持った作品なのです。
▶ 映画『スパイダーマン』見る順番は?実写8作品とMCUの時系列を整理
3人の共演は単なるファンサービスだった?
もちろん、長年スパイダーマン映画を見てきたファンにとって、3人が並ぶこと自体が大きなファンサービスです。
しかし物語を見ると、単に登場させただけではありません。
トビー版は、怒りに支配されそうなトム版を止めます。
アンドリュー版は、かつて救えなかった経験を持つからこそMJを救います。
そして2人とも、大切な人を失った経験を語ることでトム版ピーターを支えます。
つまり過去2人のピーターには、それぞれの映画で経験してきた人生がそのまま役割として与えられているのです。
だからこそ『ノー・ウェイ・ホーム』の3人共演は、単なる懐かしさ以上の意味を持っています。
最後にトビーとアンドリューはどうなった?
物語の終盤、3人のスパイダーマンは協力してヴィランたちを治療します。
そしてドクター・ストレンジが最後の魔法を使うことで、マルチバースの崩壊を防ぎます。
トビー版とアンドリュー版のピーターたちは、それぞれの宇宙へ戻っていきます。
その後の人生が映画内で描かれることはありません。
ただし、2人とも元のシリーズから時間が経った状態で登場しているため、『ノー・ウェイ・ホーム』そのものが彼らの物語の「その後」を少し見せた作品とも言えます。
まとめ|3人のスパイダーマンはマルチバースによって同じ世界に集まった
『ノー・ウェイ・ホーム』でトビー・マグワイア版とアンドリュー・ガーフィールド版が戻ってきたのは、ドクター・ストレンジの魔法によってマルチバースの境界が崩れたためです。
3人は同じ人物が時代ごとに姿を変えたわけではなく、それぞれ別の宇宙に存在するピーター・パーカーです。
そして過去2シリーズのピーターが登場したことで、トム版は自分と同じように大切な人を失い、苦しみながらヒーローを続けてきた「別の自分たち」と出会います。
トビー版は復讐を止め、アンドリュー版はMJを救う。
過去作での経験が、そのままトム版ピーターを救う力になっているところが、3人の共演が単なるファンサービスで終わらなかった最大の理由でしょう。
▶ 『ノー・ウェイ・ホーム』ラストでなぜ全員がピーターを忘れた?魔法の意味を解説
▶ MJとネッドはピーターを思い出す?『ノー・ウェイ・ホーム』ラスト後を考察
