『オデュッセイア』結局どんな話だった?難しかった人向けに物語を最初から簡単に解説
※この記事には映画『オデュッセイア』の最初から最後、犯行ではなく物語全体の結末まで重大なネタバレがあります。
映画『オデュッセイア』を見終わったものの、
「結局どんな話だったの?」
「時間が前後して分からなくなった」
「神とか怪物とか多すぎた」
という方もいるのではないでしょうか。
複雑に見えますが、物語の基本はとてもシンプルです。
戦争へ行った父親が、20年ぶりに妻と息子のいる家へ帰る話。
です。
ここでは細かい神話をできるだけ抜きにして、最初から最後まで順番に整理します。
まず一言で言うと?
主人公オデュッセウスはイタカという国の王です。
戦争へ行きます。
戦争は10年続きます。
勝ちます。
家へ帰ろうとします。
でも、そこからさらに10年帰れません。
そして最後にようやく家へ戻ります。
これが『オデュッセイア』です。
①オデュッセウスには妻と息子がいる
故郷イタカには、
妻ペネロペ。
息子テレマコス。
がいます。
オデュッセウスが戦争へ行った時、テレマコスはまだ小さな子どもでした。
②トロイア戦争へ行く
ギリシャ軍とトロイの戦争へオデュッセウスも参加します。
戦争は約10年間。
最後にギリシャ軍が使ったのが、
トロイの木馬。
です。
③木馬の中へ兵士を隠す
巨大な木馬をトロイ側へ渡し、中へギリシャ兵を隠します。
トロイの人々は自分たちで木馬を城へ入れます。
夜になると兵士が出て、トロイは陥落します。
戦争は終わります。
▶ 『オデュッセイア』トロイの木馬とオデュッセウスの関係は?トロイア戦争から帰還までを解説
④今度こそ家へ帰る
ここから『オデュッセイア』の長い帰還が始まります。
目的はただ一つ。
イタカへ帰る。
それだけです。
⑤でも海で次々と問題が起きる
怪物に襲われる。
仲間が死ぬ。
船を失う。
神の怒りを買う。
その繰り返しです。
⑥一つ目の巨人ポリュペモス
一行は一つ目の巨人ポリュペモスに捕まります。
仲間を食べられます。
オデュッセウスたちは巨人の目を潰して逃げます。
⑦でもポリュペモスの父が海神ポセイドン
これが大問題です。
ポセイドンは海の神。
オデュッセウスは海を渡って帰らなければなりません。
つまり、
海の神を敵に回した状態で海を旅する。
ことになります。
⑧魔術師キルケ
次にキルケという女性が現れます。
仲間を豚へ変えます。
しかしオデュッセウスは仲間を人間へ戻させます。
その後キルケは、今後の旅について情報を与える人物になります。
⑨冥界へ行く
「家への帰り方」を知るため、オデュッセウスは死者の世界へ向かいます。
そこで予言者テイレシアスに会います。
重要な警告を受けます。
太陽神の牛だけは絶対に食べるな。
です。
▶ 『オデュッセイア』冥界へ行ったのはなぜ?死者に会う場面の意味を解説
⑩セイレーンの歌
セイレーンは歌によって船乗りを誘惑します。
仲間は耳を塞ぎます。
オデュッセウスだけは自分を船へ縛り、歌を聞きます。
誘惑には負けますが、縄があるので歌の方へ行けません。
⑪スキュラとカリュブディス
次は、どちらを選んでも危険な海峡です。
スキュラ側へ行けば6人が死ぬ。
カリュブディス側へ行けば船ごと全滅する可能性がある。
オデュッセウスは6人を失う道を選びます。
▶ 『オデュッセイア』スキュラとカリュブディスとは?究極の二択をわかりやすく解説
⑫仲間が禁止された牛を食べる
一行は食料がなくなります。
目の前に牛がいます。
でも神の牛なので絶対に食べてはいけません。
オデュッセウスは止めます。
それでも仲間たちは空腹に耐えられず食べます。
⑬船が破壊され、仲間は全滅
神の怒りを買います。
船が嵐と雷で破壊されます。
オデュッセウス以外の仲間は全員死亡。
ここから完全に一人になります。
▶ 『オデュッセイア』オデュッセウスの仲間はなぜ全滅した?死亡までの経緯を整理
⑭カリュプソの島で7年間
漂流したオデュッセウスがたどり着くのがカリュプソの島です。
ここで7年間。
つまり帰還10年間の大部分を過ごします。
映画版では、蓮によって戦争や家族の記憶まで薄れかけます。
⑮それでも「家へ帰る」ことを思い出す
ペネロペ。
テレマコス。
イタカ。
オデュッセウスは、自分に帰る場所があることを取り戻します。
そして再び海へ出ます。
その頃、イタカではどうなっていた?
オデュッセウスが20年帰らないため、
「もう死んだ」
と思われています。
妻ペネロペのもとには大勢の求婚者が集まっています。
⑯ペネロペは再婚を先延ばし
求婚者たちは宮殿へ居座ります。
でもペネロペはすぐ一人を選びません。
機織りを使った策略などで時間を稼ぎます。
⑰息子テレマコスも父を探す
テレマコスは父をほとんど知りません。
それでも、
「父は本当に死んだのか」
を知るため旅へ出ます。
その中で少年から大人へ成長していきます。
⑱ついにオデュッセウスがイタカへ帰る
約20年ぶりです。
しかし、
「王が帰ったぞ!」
とは言いません。
乞食のような姿へ変装します。
⑲なぜ変装する?
宮殿には敵が大勢います。
誰が味方なのかも分かりません。
そこで正体を隠したまま、家の状態を調べます。
▶ 『オデュッセイア』なぜ変装して故郷へ戻った?妻にも正体を明かさなかった理由
⑳犬アルゴスだけは気づく
人間には分からない。
でも昔飼っていた老犬アルゴスだけは主人だと気づきます。
主人の帰還を確認した直後、アルゴスは死にます。
㉑テレマコスと父子で協力
オデュッセウスは息子へ正体を明かします。
そして父子で、宮殿を取り戻す計画を立てます。
㉒ペネロペが弓の試練を出す
求婚者たちへ、オデュッセウスの弓を使った試練を課します。
でも誰も満足に扱えません。
最後に乞食姿のオデュッセウスが弓を手にします。
㉓オデュッセウスが弓を張る
当然、自分の弓です。
扱えます。
ここで、
「この男は普通の乞食ではない」
ことが明らかになります。
㉔求婚者との戦い
オデュッセウスは正体を現します。
テレマコスとともに求婚者たちを倒します。
20年間占拠されていた自分の家を取り戻します。
㉕ペネロペとも再会
ペネロペも夫だと確認します。
映画版では、弓や、20年前に渡したアテナのピンなどが本人確認の重要な要素になります。
ここで終わりではないのが映画版
普通なら、
王が帰った。
妻と再会した。
めでたしめでたし。
で終わりそうです。
しかしノーラン版は違います。
㉖オデュッセウスは王位へ戻らない
映画版では、オデュッセウスは再び以前と同じ王になることを選びません。
息子テレマコスへ王位を譲ります。
㉗ペネロペと再び旅立つ
そしてオデュッセウスはペネロペと一緒にイタカを離れます。
20年かけて帰ったのに、また出ていく。
一見すると不思議です。
結局この映画は何を描いていた?
ここからは考察です。
表面上は、
「家へ帰る話」。
です。
しかし映画版では、
「戦争から帰って、本当に以前の自分へ戻れるのか」
という話になっています。
オデュッセウスは帰るまでにすべてを失う
大勢の仲間。
船。
軍隊。
英雄としての自信。
過去の自分。
最後には一人になります。
それでも家へ帰ります。
でも家も20年前のままではない
息子は大人。
妻も20年を生きた。
国も変わった。
自分自身も変わった。
だから、
「帰る=昔に戻る」
ではありません。
テレマコスへ王位を渡す意味
オデュッセウスはトロイア戦争の世代です。
テレマコスは次の世代。
父が同じ権力へ戻るのではなく、息子へ未来を渡します。
最後の旅は最初の旅と違う
最初は、
「家へ帰るための旅」。
でした。
最後は、
「過去を受け入れたうえで、新しく生きるための旅」。
と考えることができます。
▶ 『オデュッセイア』最後はどうなった?オデュッセウスの帰還とラストを解説
超簡単に全部まとめると
戦争へ行く。
↓
10年戦う。
↓
木馬でトロイを落とす。
↓
家へ帰ろうとする。
↓
怪物や神々のせいで帰れない。
↓
仲間が全員死ぬ。
↓
一人になる。
↓
それでも家へ帰る。
↓
息子と一緒に家を取り戻す。
↓
妻と再会。
↓
王位を息子へ渡す。
↓
妻と新しい旅へ出る。
これがノーラン版『オデュッセイア』です。
まとめ|難しく見えても「家へ帰る父親の話」
神々。
怪物。
戦争。
時間の前後。
さまざまな要素があるため難しく見えます。
しかし中心だけ見ると、
戦争に行った父親が、長い時間をかけて妻と息子のもとへ帰る。
非常にシンプルな物語です。
そして映画版がその先に描いたのは、
「家へ帰れても、20年前の人生には戻れない。それでも人はその先へ進まなければならない」
という物語なのではないでしょうか。
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『オデュッセイア』を原典でも読みたい方へ
映画で大筋を理解したあとに原典を読むと、映画では省略された島や人物、神々の介入、オデュッセウス本来の策略家としての姿までさらに楽しめます。
『オデュッセイア』上巻
『オデュッセイア』下巻
イタカへの帰還、変装、弓の試練、求婚者との決戦、ペネロペとの再会まで物語の結末をじっくり読むことができます。
